兵庫県香美町香住区境の今子浦海岸で「但馬赤壁(せきへき)」が夕日に照らされて赤く染まる様子を撮影しようと、写真愛好家らが連日のように訪れている。6月11日に本紙写真企画「イロドリ」で燃え立つような1枚が紹介されたことをきっかけに急増。太古から続く地球の営みを刻んだ雄大な姿が人気を呼んでいる。7月上旬ごろまで楽しめるという。(金海隆至)

 幅約100メートルにわたってそびえ立つ断崖絶壁。大陸から日本列島が離れ始めた約2千万年前、火山活動でできた溶岩の地層が荒波に削られて出来たという。1年で昼の時間が最も長い夏至(6月21日)の前後数週間、西から夕日が差し込み、絶壁や上空の雲を赤々と照らす光景が見られる。

 地元の香住区中央公民館(同町香住区香住)は1985年の完成以来、ホールの緞帳(どんちょう)に但馬赤壁の図案を採用。現地には案内看板もなく、知る人ぞ知る名勝だったが、本紙に掲載以降、香住観光協会には京阪神などから「いつまで見られるのか」「宿を手配したい」といった問い合わせが相次いだという。

 地元の写真愛好家(62)=同町=によると、赤壁が赤く染まるには幾つかの条件があるという。夕日を雲が遮らないこと、崖の上空に雲が出て光の反射が見込めること、そして「最後まで諦めずに粘ること」だそうだ。「日没間際でも、水平線から空を焼くような日が差す時がある。1日来ただけでは難しい。毎日のように通わなければ」と話す。

 カメラを構えず眺めていた豊岡市の男性(77)は「本格的に雨の日が続く前に来た。イメージを焼き付けて絵に仕上げたい」と日に焼けた顔をほころばせた。