兵庫県三田市を拠点とする野球の関西独立リーグ球団「兵庫ブルーサンダーズ」(ブルサン)の女子チームがこの春、本格始動した。選手の4人は市内の人気洋菓子店「パティシエ・エス・コヤマ」(ゆりのき台5)で正社員として働きながら練習に励んでいる。原動力は「野球が好き」。マイナー競技と言われる女子野球に懸け、地域に支えられながら夢を追い続ける選手に話を聞いた。(山脇未菜美)

 3月17日午前、アメニスキッピースタジアム。がっしりとした男子選手に混じり、一つくくりの小柄な女性がバッティングに打ち込んでいた。身長150センチ。外野手の前田桜茄(はるか)さん(23)だ。

 「もっと引っ張った方がいいですかね」。真剣な顔つきで積極的にコーチとやり取りする姿勢はチームの刺激となり、このたび初代キャプテンに選ばれた。

 午後2時には女子選手3人と洋菓子店の店頭に立つ。「いらっしゃいませ!」。初めて経験する接客業だが、持ち前の明るさと気配りは客にも好評だ。店はスポンサー企業の一つで「野球をきわめようとする人は別の道でも活躍できる」と仕事ぶりに太鼓判を押す。

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 沖縄県出身で、小学3年の時、姉に誘われて野球を始めた。中学野球部では唯一の女子選手。俊足を生かして、代走や守備固めでグラウンドを駆け回った。

 鹿児島県の神村学園で野球を続け、18歳で女子プロリーグ球団「レイア」(京都府)に入団。同リーグ「埼玉アストライア」と「愛知ディオーネ」で過ごした昨季は主に1番打者として30安打6打点、10盗塁を記録した。

 ところが、プロ5年目だった昨年11月、リーグが資金繰りなどで選手を大量に手放すと、前田さんも「戦力外」を告げられた。

 まだ打てるしまだ走れるのに…。何日泣いてもどうにもならない。そんな時、ブルサンから誘われた。「もう一度、挑戦したい」と心を決めた。

 3月から三田市内で暮らす。これまでと違って男子選手と一緒に練習するが、「女子はパワーやスピードで及ばなくても、技術は負けていない」と笑顔。「理想のバッティングや守備ができるように、どんどん良い部分を教え合って成長につなげたい」と前向きだ。

 目の前の目標は、関西女子硬式野球リーグ(ラッキーリーグ)での全国優勝だ。「好きな野球を続けて、多くの人に応援してもらうチームにしていきたい」

【兵庫ブルーサンダーズ女子チーム】2019年2月に発足したが、当初は6人しか集まらず練習もままならなかった。ブルサンは「勝ちを目指すか、楽しくプレーするか、チームの立ち位置が定まっていなかった」として、勝負にこだわるチーム編成に。女子プロ野球の退団選手らにも呼び掛け、13人がそろった。今季からラッキーリーグに参戦する。