熊本県菊池市の一般社団法人「ジュニアサポート」が運営する障害児通所支援事業所で昨年6月、放課後等デイサービスを利用する児童への身体的虐待があったことが15日、市への取材で分かった。

市は障害者虐待防止法に基づく調査を実施しており、児童1人への虐待があったと認定。現在も改善指導を続けている。県は市の報告を受け、児童福祉法に基づく行政処分も視野に調べている。

 同法人は2017年に設立。同年に菊池市隈府の事業所、19年には同市泗水町の事業所が放課後等デイサービスの指定を受け、障害のある児童生徒を放課後や休日に受け入れている。現在は菊池市と合志市の一部の計約40人が利用している。

 市などによると、虐待したのは同法人の男性代表理事(57)で、当時は泗水町の事業所の児童発達支援管理責任者だった。発達障害のある男児が別の子のコップを割ったことを理由に激高し、男児を個室に連れ込んで顔を平手打ちしたという。

 市に7月、通報があり発覚。市は8月に職員への聞き取り調査を実施し、平手打ちについて身体的虐待と認定した。男児は現在、施設を利用していないという。

 男性代表理事は熊本日日新聞の取材に「右手でたたいたことは間違いない。情熱が空回りしてしまった」と言っている。(植木泰士、木村恭士)

●「怖い」訴えるこどもも

 「怖い。行きたくない」−。男児に身体的虐待をしていたことが分かった菊池市の障害児通所支援事業所「ジュニアサポート」。放課後等デイサービスを利用した別の児童は、運営法人の代表理事から長時間の叱責[しっせき]を受けたという。児童の母親は「子どもは泣いておびえていた」と話し、専門家は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)に発展する恐れもある」と指摘する。

 関係者によると、代表理事は子ども同士のトラブルが起きると、無関係の子どもも含めた全員を強く叱責[しっせき]。壁をたたいたり、ランドセルを蹴り飛ばしたりといった威圧的な行為もあったという。

 この児童は「怖い」と周囲に漏らしたことで、個室で40分以上問いただされたという。母親は「施設に通う日は、朝起きた途端に泣きだすこともあった」と話す。代表理事と同年代の大人におびえるようになったという。

 一方、代表理事は物を蹴る行為などは「していない」と否定。身体的虐待については「親の意向を踏まえ、厳しく指導しただけだ」と主張している。

 九州ルーテル学院大の河田将一教授(特別支援教育)は「人権上の問題だ。どう喝や暴力的行為は、親が同意していても許されない。行政は監査能力を高めるべきだ」と指摘している。

 放課後等デイサービス 児童福祉法に基づく福祉サービス。県や政令市の指定を受けた事業所が、6〜18歳の障害児を放課後や休日に受け入れ、専門的な支援を提供する。厚生労働省は2015年に支援の質を確保するためのガイドラインを策定。子どもの最善の利益を保障する役割などを求めている。