熊本県宇土市西部の網田地区に移住した夫婦が、出会いの場でもある地域の素晴らしさを伝えたいと会員制交流サイト(SNS)で発信を続けている。合志市出身で社会保険労務士の原田真吾さん(29)と大阪府出身で料理人の真由美さん(46)。網田での同居を始めて1年、11日には婚姻届を提出した。交流する住民らも2人の暮らしを温かく見守っている。

 出会いは2018年4月、JR網田駅の構内だった。真吾さんは1カ月前に東京でのサラリーマン生活を辞めて、祖父母宅だった網田の空き家に移住したばかり。東京在住だった真由美さんは、宇城市の知り合いを訪ねた帰りだった。

 熊本行きの列車内で2人は意気投合。その後、連絡を取り合うようになり、交際に発展した。「持続可能性を意識した暮らしをするという共通の考えがあった」と2人。遠距離恋愛を経て、真由美さんも網田へ移住した。

 15年間も空き家だった築50年以上の木造2階建ての家に、ネコ5匹と暮らす。周囲には野菜や果実、魚や貝があふれる。自然の豊かさを実感する毎日だ。「何より人が素晴らしい」と口をそろえる。真由美さんは、そんな網田の魅力をSNSで発信。それを見た知り合いのカップルも網田に移住したという。

 昨年末、住民たちの協力で、出会った網田駅のカフェで人前式を開いた。衣装は真吾さんの手縫い。指輪は、金属アレルギーの真由美さんのため、海岸で見つけた流木や貝殻でこしらえた。庭に咲く花で髪飾りを作った。

 カフェを運営する団体メンバーで、式を手伝った浦本晴美さん(54)は「『網田は何もない』と離れる人も多い。2人は住民も気付かない豊かさを教えてくれる」と話す。

 今後について、真由美さんは「食を交えた地域活性化に取り組み、空き家利用の促進につなげたい」。真吾さんは「豊かな暮らしを実践して、社労士として新しい働き方を提案していきたい」と話している。(西國祥太)