熊本城の復旧工事にかかわらず、市民らが城内を見学できるように新設する特別見学通路について、熊本市は通行を始める4月29日に向けて急ピッチで工事を進めている。床材が東側から半分ほど張られ、通路西側の鉄骨部分の仕上げにかかっている。

 通路は備前堀の北側から本丸御殿までの約350メートル。地面からの高さは約5〜7メートル。空中回廊のようなイメージで、来場者は足元で進められる復旧工事も含めて城内を見渡すことができるようになる。

 「熊本城内は建築や土木の現場にとって、特殊な条件下にあると言える」と、市の熊本城総合事務所で建築を担当する城戸秀一さん(45)は指摘する。

 その理由は、城内が国の特別史跡であり、地下遺構を守るため基本的に掘削ができないことにある。そのため、通路は通行者の安全を確保しながら、できる限り軽量化して遺構に影響しないように造ることが求められる。

 遺構保存のため、通路の支柱を立てる基礎部分は地面に金網を敷き、砕石とコンクリートを敷設した。通路下は工事車両が行き来するため、支柱同士は一定の間隔が必要となる。間隔は狭い所で約6〜7メートル、最も広い部分では約50メートルある。

 支柱の数を少なくすると通路全体の軽量化につながることから、アーチなど複数の構造を組み合わせているのが特徴だ。

 設計は日本設計九州支社(福岡市)、施工は「安藤・間・武末・勝本建設工事共同企業体」が担っている。

 昨年10月に始まった城内の特別公開は、工事が休みの日曜・祝日(原則)に限られているが、特別見学通路は平日でも利用することができる。ただし、通路はあくまで復旧工事に伴う仮設物。市が文化庁に提出した現状変更によると、通路は2039年3月末に撤去される。(飛松佐和子)