J3ロアッソ熊本は今季、高校生年代のユースチームからMFの小島圭巽(けいたつ)と田尻康晴、FW樋口叶(かける)をトップチームに昇格させた。同時に3人が昇格するのは過去最多で、近年はJ1チームへ移籍するユース出身者も出ており、目標とする「育てながら勝つクラブ」へと着実に歩みを進める。小中高校年代の育成組織を統括する藤原英晃アカデミーダイレクター(59)と、中山貴夫ユース監督(45)に戦略などを聞いた。(河北英之)

 −3選手の昇格をどう受け止めますか。

 藤原「非常にうれしい。彼らと練習した後輩たちのモチベーションアップにもつながる」

 中山「育成型クラブを目指す上で大きな成果。だが、昇格させるのが最終目標ではない。トップチームの戦力になってもらわないといけない」

 −ユース出身者では、2018年に嶋田慎太郎がJ2大宮、19年に米原秀亮が当時J1だった松本へ移籍しました。

 藤原「世界へと羽ばたくにはステップアップは重要。また、移籍金で私たちのクラブが潤って環境改善につながれば、育成の生産性が高まる」

 −ユースチームはどんなサッカーですか。

 中山「常に主導権を握り、攻め続けるプレーを求めている。トップチームとほぼ同じサッカーで昇格した3人も違和感なくやれている。クラブとして(戦術の)方向性が定まっている」

 −ユースチームはプリンスリーグ九州に所属しています。その上には高校生年代最高峰のプレミアリーグがあります。

 中山「熊本の有望な中学生は高校進学時に県外へ流出している。プレミアリーグに上がる戦力を整えるためには、トップチームを含めクラブの力を高める必要がある。J1のユースチームと比べて施設などで勝てない面はあるが、選手を伸ばす指導力は負けない自負がある」

 −練習環境は。

 藤原「専用グラウンドがなく練習場確保に悩んでいる。ユースは県民総合運動公園のスポーツ広場を優先使用させてもらっているが、ピッチ全面を使えるのは週に1時間程度。県サッカー協会などの協力を得ながら良い環境にしたい」

 −中学生のジュニアユースチームは熊本市に加え、昨年は阿蘇で発足しました。来月は人吉でも設立予定です。

 藤原「地方では部活動チームが減っているので、子どもたちが夢を追い続けられる環境をつくりたい。ユースからジュニアユース、ジュニア(小学生)まで一本筋を通して運営し、年代に応じた指導法を積み上げたい」

 −目標を教えてください。

 中山「アカデミーへの入団希望者を増やすためにも指導者が力を一層付ける必要がある。ユースからは複数をトップに毎年昇格させたい」