熊本県八代市古城町の本田登さん(74)宅に、長崎県五島市の崎山小の子どもたちが風船に結び付けて放ったヒマワリの種が舞い降りた。海を越え、約160キロの旅を経て届いたことに運命を感じたという妻マツ子さん(77)。種を植え、同校との交流も始まった。

 同小は人権教育の一環で花運動に取り組み、子どもたちが育てて採取した種を昨年12月3日、紙袋に収めて約60個の風船で放った。ビニールで覆った袋には種を数個ずつ入れ、「子どもたちが育てた命です」とのメッセージも添えた。

 マツ子さんが自宅の庭に落ちた袋を見つけたのは、同20日。種は1個だったという。登さんが5時間半に及ぶ大手術を受けた直後で、「病気が良い方向に向かうんじゃないかと運命的なものを感じた」とマツ子さん。

 その通り、登さんは順調に回復。マツ子さんが1月下旬、同小に感謝の手紙を送ったところ、全児童53人から手紙が届いた。熊本まで種が飛んで行った驚きや喜び、登さんの体調を気遣う言葉がびっしり並んでいた。夫妻は「大勢の孫が一度にできた気分。いつか五島に行けたらうれしい」と目尻を下げる。

 2月下旬、夫妻は種を植木鉢に植えた。毎朝、「早く芽を出してね」と声をかけながら水をあげている。「飛んで来てくれてありがとう」。黄色い大輪の花が咲く日を待ちわび、今度は写真を撮って子どもたちに贈る予定だ。(元村彩)