加齢とともに飲み込む機能が衰える「嚥下[えんげ]障害」は、誤嚥性肺炎や窒息などの原因になりやすい。一方、飲み物に「とろみ」をつけることで食道への落下が緩やかになり、誤嚥の予防効果を上げることができるという。飲み物にボタン一つで手軽にとろみを付けられる新型のカップ式自動販売機やサーバーの設置が、県内でも始まっている。

 1月末、熊本市北区八景水谷のコインランドリー店に、県内初のとろみ機能付きカップ式自販機が設置された。コーヒーやカフェオレ、ココアなど全9種類のうち7種類の飲料に、ホット・アイスを問わずとろみを付けることができる。

 とろみの濃さは日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づいて3段階。とろみの有無や濃さをボタンで選ぶ。追加料金は不要だ。冷たい抹茶ラテに一番濃いとろみを付けて飲んでみると、ジェル状のスイーツのよう。とろみなしと比べて味に変化はなかった。

 とろみ機能付き自販機は、自販機の管理運営会社「アペックス」(愛知県)と栄養補助食品メーカー「ニュートリー」(三重県)が共同開発。医療機関でも採用されているニュートリーのとろみ材を混ぜて飲料にとろみを付けている。

 アペックスによると病院や福祉施設などでは従来、利用者の飲み物1杯ごとに、とろみ材を混ぜて提供。手間がかかる上に混ざり方にむらが出たり、作る人によって濃さが異なったりしていたという。

 担当者は「自販機は1分ほどで均一なとろみを付けられるため時短につながる。人の手を介さないため衛生的にも良い」と強調する。

 両社は2分で最大2リットルの水やお茶にとろみを付けるサーバーも開発しており、県内では2カ所の病院が導入しているという。担当者は「医療や介護現場の人手不足を少しでも補いたい。自販機、サーバーともに県内の設置を進めていきたい」と話している。

 問い合わせはアペックス西日本熊本支店TEL096(380)0666。(深川杏樹)