JR九州は、台風や豪雨で浸水被害が想定される九州新幹線の車両基地、熊本総合車両所(熊本市南区富合町)の浸水対策をまとめた。土地のかさ上げや止水板の設置といったハード整備は行わず、記録的な大雨が予想される前に車両を高架上に退避させる方法で被害の最小化を目指す。

 浸水対策の取りまとめは昨年10月、台風19号の影響で長野市にあるJR東日本の新幹線車両基地に大規模な浸水被害が出たのがきっかけだ。

 国土交通省によると、「千年に1度」の規模の豪雨で浸水が想定される新幹線車両基地は全国に7カ所ある。熊本車両所も含まれており、同省熊本河川国道事務所が2017年5月に公表した緑川の「洪水浸水想定区域図」では、想定できる最大規模の降雨(12時間雨量595ミリ)があった場合、1〜3メートル浸水すると予想されている。

 同省は昨年12月、浸水の可能性があるこれらの基地を持つJR各社に対策を報告するよう指示。その際に「数十年〜200年に1度」の大雨で浸水が想定される2カ所については土地のかさ上げなどハード面の対策を前提に、一方で「千年に1度」の豪雨で浸水が想定される熊本などは車両避難を軸に検討するよう、それぞれ求めた。

 この方針に基づき、JR九州がまとめた対策によると、降雨量などの気象データや緑川の水位変化から河川氾濫の可能性を総合的に判断。車両を高架上に避難するため、乗務員の手配やダイヤ調整といった必要な準備を進めるという。

 同社によると、熊本車両所には所有する新幹線車両19編成のうち夜間には最大14編成を留め置く。いざという時の避難場所は駅や本線上を想定しているが、「その時々の運行状況や気象予報に応じて決定する」(広報)としている。

 運転再開時には、河川水位の状況などを踏まえて基地敷地内の安全を確認した上で避難車両を戻す。ただ運転再開までに時間がかかるといった難点もあり、利用者に対して作業状況や運転再開の見通しなどについて情報提供に努める方針だ。

 国交省鉄道局は「近年は雨の降り方がひどくなっており、浸水被害の軽減に向けた取り組みが不可欠」と強調。車両避難で運行への影響が生じることについて「国民の理解醸成に努めたい」としている。(宮崎達也)