好景気の時代はクルマもバカ売れ! イケイケのバブル期に登場した国産アッパーサルーン4選

好景気の時代はクルマもバカ売れ! イケイケのバブル期に登場した国産アッパーサルーン4選

のちに「バブル景気」と呼ばれる、1980年代後半から1990年代前半まで続いた未曾有の好景気。そのころ、日本の自動車メーカーは、世界に追いつけ追い越せとばかりに数々の名車を市場に送りました。そんな数ある「バブルカー」のなかから、今回は高級サルーンを紹介します。

3ナンバーの高級サルーンが続々と登場、抜群の人気を誇ったバブル時代

 1988年ごろから1992年ごろまで続いた好景気を、俗に「バブル景気」といいます。

 業績好調の国産自動車メーカーは、世界のクルマに追いつけ追い越せとばかりに、ニューモデルの開発に費用を惜しみなく投資しました。その結果、1980年代前半までの日本車とはまるで比べものにならないくらいクオリティの高いモデルを次々と生み出しました。

 これらは日本市場だけでなく、世界の市場でもヒットしたモデルもありました。高級車市場といえば、当時からメルセデス・ベンツやBMWなどのドイツブランドが席巻していましたが、とくに北米市場で日本車のブランド認知が高まるきっかけになったのも、バブル時代に開発されたさまざまなモデルのおかげです。

 今回は、そんなバブル時代に登場した、国産高級サルーンを紹介します。

●日産「シーマ」(初代、1988年発売)

 日産の初代「シーマ」は、Y31型「セドリック/グロリア(Y31型)」と同じプラットフォームを使用した、3ナンバー専用ボディを持つ4ドアハードトップサルーンです。

 当時はマークII 3兄弟と呼ばれたトヨタ「マークII/クレスタ/チェイサー」など、いわゆるハイソカーと呼ばれるモデルがブームになっていました。

 そうした時代の流れのなか、3ナンバー専用のワイドボディを持つ高級車として登場したのが、初代シーマです。全長4890mm×全幅1790mm×全高1380mmと堂々たるスリーサイズでした。

 エンジンは3リッターV型6気筒。自然吸気の「VG30DE」型とターボの「VE30DET」型の2機種を設定。自然吸気は200馬力、ターボは255馬力を発生していました。

 シーマは、一番安いグレードでも383万5000円、最上級グレードでは500万円を超えるモデルでしたが、時代の流れに乗り大ヒット。「シーマ現象」と呼ばれるブームを巻き起こしました。バブル期を代表する高級サルーンとして知られています。

 シーマは、1991年8月に2代目へフルモデルチェンジされました。ただしバブル景気の崩壊によるその後の不景気などもあり、2代目シーマは初代ほどヒットしませんでした。

 しかしシーマは日産を代表する高級サルーンとして、その後も代を重ねていきます。現在販売されているシーマは、2012年に発売が開始された5代目モデルです。

●三菱「ディアマンテ」(初代・1990年発売)

 三菱の初代「ディアマンテ」は、三菱初の3ナンバー専用4ドアハードトップサルーンです。

 スペイン語で「ダイヤモンド」の意味を持つ車名であるディアマンテは、その名のとおり三菱(社章は「スリーダイヤ」)を代表する高級サルーンとして登場しました。

 全長4740mm×全幅1775mm×全高1410mmとロー&ワイドなボディで、「小型車の枠を超えたワールドサイズの上級小型車」と謳われたクルマでした。

 このクラスのサルーンは、当時発売されていた80系トヨタ「マークII/クレスタ/チェイサー」も、Y31系日産「セドリック/グロリア」も後輪駆動(FR)でしたが、ディアマンテは前輪駆動(FF)方式を採用、ライバルにない室内のゆとりを生み出しました。

 ディアマンテのヒットを機に、トヨタ「ウィンダム」や日産「セフィーロ」など、FFベースのサルーンが登場します。

 ディアマンテは逆スラントノーズのスタイリッシュな外観も人気でしたが、クラス初のフルタイム4WDシステムや世界初の機能を持ったトラクションコントロールシステム、四輪操舵(4WS)システム、アクティブコントロールサスペンションなど、当時の三菱の技術を余すところなく採用した先進性も人気となった要因でした。

 エンジンは電子制御可変吸気システム付きのV型6気筒で、175馬力を発生する2.5リッターDOHC、210馬力の3リッターDOHC、125馬力の2リッターSOHCの3種類が用意されました。

 発売当時の車両価格は199万8000円から396万6000円。1995年にはフルモデルチェンジされ2代目に進化しましたが、バブル崩壊による景気後退により、販売台数は激減します。2005年には販売終了、ディアマンテの車名は消えてしまいました。

北米の高級車市場に果敢に挑んでいったバブル時代の高級サルーン

●トヨタ「セルシオ」(初代、1989年発売)

 バブル期の高級サルーンを語る上で、トヨタの初代「セルシオ」の存在もかかせません。

 当時のプレミアムブランド市場は、メルセデス・ベンツやBMWなど、欧州メーカーの独壇場で、日本車はあくまでも大衆車としての立ち位置に過ぎませんでした。

 トヨタは、そんなプレミアムブランド市場に参入するために、アメリカで新たに「レクサス」ブランドを設立します。その最上級モデルとして開発されたのがレクサス「LS400」で、このモデルの日本向け仕様車がトヨタ「セルシオ」です。

 セルシオは、トヨタのフラッグシップとして「ワールドワイドに通用する世界トップレベルのハイパフォーマンス・ラグジュアリーカーの創造」を基本コンセプトとして開発されました。

 LSは、北米マーケットにおいて大ヒット。北米においてレクサスブランドの礎を築きました。高い品質は、その後の世界中の高級車設計にも影響を与えることになり、高級車の新たな標準をつくったとまでいわれました。

 日本においては、最上級グレードの「C Fパッケージ」仕様が620万円と、ドライバーズカーとしては高額なモデルになったのにもかかわらず、こちらもヒットしました。1989−1990年の日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。

●日産「インフィニティQ45」(1989年発売)

 日産「インフィニティQ45」は、1989年に登場した日産のフラッグシップサルーンです。

 1989年、日産は北米市場で高級ブランド「インフィニティ」を立ち上げました。これはトヨタの「レクサス」ブランドやホンダの「アキュラ」ブランドと、誕生の経緯は似ています。

 そのインフィニティブランドでのフラッグシップモデルとして、立ち上げ当初に発売されたモデルが「Q45」です。日本ではインフィニティブランドの展開をしていないため、日産「インフィニティQ45」という車名になりました。

 全長5090mm×全幅1825mm×全高1430mmとフルサイズのボディは、同時期に日本で登場したセルシオよりも全長で約10cmほど大きいモデルでした。

 外観は、当時の一般的な高級サルーンが大型のメッキグリルを採用していたのに対し、インフィニティQ45はグリルレスのフロントデザインを採用したのが特徴です。

 搭載エンジンは4.5リッターV型8気筒の「VH45DE」型。北米仕様は300馬力を誇りましたが、日本仕様では自主規制値である280馬力に抑えられました。

 足まわりにはフロント、リアともにマルチリンクサスペンションがおごられ、さらに油圧式アクティブサスペンションも用意されるなど、まさに「技術の日産」にふさわしい、当時最先端の技術があますことなく採用されました。車両価格は520万円から用意されました。

 当時の日産は、「901運動」という名前の社内プロジェクトがありました。これは「1990年代に技術の世界一を目指す」というもので、1980年代後半から1990年代前半にかけて登場した日産車を対象に技術開発がなされました。

 R32型「スカイラインGT-R」やZ32型「フェアレディZ」、P10型初代「プリメーラ」、初代「シーマ」など、この時期、日産から数々の名車が登場しましたが、このプロジェクトから生まれたフラッグシップモデルが、インフィニティQ45となります。

 グリルレスのデザインは斬新でしたが、日本市場ではあまり受け入れられず、マイナーチェンジでフロントグリルが付けられました。1996年、北米で2代目「Q45」にフルモデルチェンジされましたが、1997年、その2代目Q45が日本で2代目「シーマ」として販売されることになり、日本においては「インフィニティQ45」という車名はなくなりました。

※ ※ ※

 バブル期には、高級サルーンだけでなく、当時の技術の粋を集めたスポーツカーや高級クーペが登場しています。いまでは考えられないくらい贅沢な素材やメカニズムを搭載したそれら国産モデルは、その後の世界のクルマづくりに影響を与えたものも少なくありません。

 どのモデルもすでに登場から約30年が経っているため、今回紹介した4台も、中古車市場で程度の良いクルマは多くありません。開発者の熱い魂が詰まったこれらの名車を見ると、イケイケだった当時を思い出す人も多いのではないでしょうか。


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