トヨタ「カローラ」はオジサン車から脱却!? スポーティになった新型が若者ウケを狙う理由

トヨタ「カローラ」はオジサン車から脱却!? スポーティになった新型が若者ウケを狙う理由

2019年9月にフルモデルチェンジしたトヨタ「カローラ」は、スポーティなデザインやボディの拡大などにより、若々しいスタイルに一新されました。これまではおじさんが乗るクルマというイメージが強く、購入者も高齢層が多かったのですが、新型カローラはなぜ若返ったのでしょうか。

日本とグローバルで違う「カローラ」のイメージ

 2019年9月17日より新型となったトヨタ「カローラ」の販売が開始されました。

 発売から1か月でのカローラシリーズ全体の受注は、約2万2000台(カローラ約5400台、ツーリング約1万3700台、スポーツ約3000台)を記録。2018年9月の月販(8732台)の2.5倍という好調な滑り出しとなっています。

 新型カローラの特徴は、スポーティなデザインとボディサイズが拡大して3ナンバーになったことでしょう。また、コネクティッド機能の充実もポイントのひとつです。

 正直、おじさん向けのイメージが強かった従来の「カローラ」とは違って、新型は若々しく生まれ変わりました。

 これまでよりも若い人に向けてイメージチェンジを図っているように思われますが、なぜ、カローラは新型になって若返ったのでしょうか。

 ひとつめの理由は、従来のユーザーの高齢化でしょう。

 2019年1月から9月に販売された従来型の内訳を調べてみると、セダンボディの「カローラアクシオ」の販売のうち、個人購入の3分の2が男性です。セダンの購入者の年齢では、30代以下はわずかに5%、60代以外が75%も占めています。

 同じようにステーションワゴンの「カローラフィールダー」の購入者は4分の3が男性で、30代以下は20%、40代から50代が40%、60代以上も40%でした。

 そのため、カローラ全体の個人購買層の平均年齢は60代以上といわれていました。この先も長くカローラを販売していこうというのであれば、当然、若い世代の購買層の獲得は必須となります。

 ちなみに、カローラの購買層が高齢化した理由は、日本市場への最適化です。じつのところ、世界市場で販売されるカローラと日本市場向けのカローラは仕様が異なっていました。

 新型カローラシリーズの開発を担当したチーフエンジニアの上田泰史氏は、次のようにコメントしています。

「カローラは、常にその時代のお客さまのニーズ、地域のニーズに合わせ、変えることをいとわず開発してきたクルマです。そんなカローラだからこそ、世界で、日本で、多くのお客さまに永く愛されてきました。

 新型カローラシリーズは、『TNGAプラットフォームを採用し、スポーティなデザインと気持ちの良い走り』でお客さまの期待を超え、『先進の安全装備、コネクティッド』で、豊かで安全・安心なカーライフをサポートします」

※ ※ ※

 日本で販売されるカローラは、数世代前から、日本専用モデルが用意されていました。日本のユーザーは、カローラの過去50年にわたる栄光の歴史とともに歩んできた高齢者たちです。

 一方、世界市場でカローラを購入するのは、新たにクルマに接するという人たちが多いです。ASEANでのカローラは高級車であり、中国でのカローラは「レビン」を用意したように、若者向けのクルマとなっているのです。

累計生産台数4750万台という偉大な歴史を誇るカローラ

 カローラが若返ったふたつめの理由は、その歴史の偉大さにあるでしょう。カローラはあまりに偉大すぎて、簡単に販売終了させるわけにはいかないモデルになりました。

 1966年に発売された初代モデル以来、33年間も年間販売台数ナンバー1を守り、累計生産台数は4750万台を突破。この数字はトヨタ創業約80年の歴史で、過去に販売したトヨタ車のうち、約5台に1台がカローラだったということになります。

 現在の巨大なトヨタの礎を築いたのがカローラであり、その存在がなければ、いまのトヨタの姿も違ったものになったはずです。

 そのようなクルマを、「売れなくなったので、やめましょう」とは、なかなかいえるものではありません。

 さらにいえば、日本にはカローラ店という存在があります。販売会社の社名が、そのものずばりカローラです。

 以前カローラの誕生50周年イベントを取材したことがありますが、そのときの販売会社は、「まだまだカローラをたくさん売る」というやる気満々の様子でした。

「カローラを長く、たくさん売りたい」、その結果として新型カローラが若返りを図ったということでしょう。

 とはいえ、旧来の高齢なユーザーが、若々しく生まれ変わった新型カローラを購入するのかという問題がありますが、これに対するトヨタの答えが、旧型となった「カローラアクシオ/フィールダー」の併売です。

 また、ボディサイズが大きくなったとはいえ、新型カローラの全幅は1745mm。これは現在のベストセラーカーである「プリウス」の1760mmよりも小さいです。

 国内で販売される新型カローラは、世界市場向けと同じスポーティなデザインとなっていますが、じつは今回もボディは日本専用設計です。ドアミラーを畳んだときのサイズ拡大は、片側5mmに抑えられています。最小回転半径も先代モデルと同等の5mを確保しました。

 ドアの内装の厚みを薄くして乗り降りしやすくするなど、使いやすさには最大限に配慮されています。

 また、カローラは法人顧客が多く、カローラアクシオで約7割、カローラフィールダーで約6割も占めています。そうした法人顧客は、若々しいデザインに文句をいうことはないはずです。

※ ※ ※

 ハッチバック、セダン、ワゴン、旧型という具合にワイドバリエーションになるのは、長いカローラの歴史からすれば珍しい話ではありません。

 かつては、セダン、クーペ、ハードトップ、リフトバックが併売されていた時代もありました。ハッチバックもあるし、「カローラスパシオ」の名で背の高いハイトモデルも存在していました。商用は「カローラ・バン」として別系統になっており、現在の「プロボックス」に続いています。

 さらにいえば、販売会社の異なる「カローラスプリンター」も存在していました。カローラのクーペであった「レビン」には、デザインを変えた「トレノ」という兄弟車もあったのです。スポーツカーの「86」も、ルーツはカローラでした。

 そんな歴史を鑑みれば、シリーズ内に若々しい「カローラスポーツ」があり、一方で落ち着いた雰囲気の旧型のカローラが併売されていてもおかしくはありません。

 偉大なカローラの歴史を終えることは許されす、そのためにも若返りは当然のことだといえるでしょう。


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