プジョー・シトロエン・ジャポンは、2019年10月18日にシトロエンの新コンセプトMPV「BERLINGO(ベルランゴ)」の特別仕様車、「デビューエディション」を発表、翌19日9時よりオンライン予約注文申し込みの受付を開始します。

人気の理由はデザインだけじゃない? 新型「ベルランゴ」の特徴とは

 2019年10月19日は、プジョー・シトロエン・ジャポンにとって驚きの一日となりました。トールワゴンタイプのボディを持つシトロエン新型「ベルランゴ」のオンライン予約注文をおこなったところ、午前9時に開始してからわずか5時間半で初回予約枠が満枠となり、完売してしまったのです。

 車両価格(消費税込)は325万円と、決して安価なクルマではないにもかかわらず、なぜそこまで注文が殺到したのでしょうか。

 ベルランゴは全長4403mm×全幅1848mm×全高1844mm、ホールベースが2785mm。2列シートの5人乗りモデルです。トールワゴンスタイルで、海外ではMPV (マルチ・パーパス・ヴィークル)と呼ばれるボディカテゴリに該当します。

 排気量1.5リッターのディーゼルエンジンと日本のアイシン・エイ・ダブリュ製の8速ATを搭載し、最高出力は130馬力、最大トルク300Nmを発揮します。

 人気の秘密は、なんといってもシトロエンらしいユニークで大胆な外観デザインでしょう。日本のミニバンやSUVとは一線を画する、独創性を感じます。

 また、インテリアでは、「モジュトップ」が特徴的です。大型パノラミックガラスルーフと、その中央を前後に貫くようにして配置された収納スペースは、日本メーカーの商品企画会議では絶対に承諾されないような、常識を超える発想だと思います。

 ラゲッジルームの上部にも収納スペースが確保されており、リアシートとテールゲートどちらからもアクセスできて便利です。

 初代ベルランゴは1996年にデビューし、欧州でのレジャーヴィークルの先駆者と呼ばれました。2008年に第二世代、そして2018年に第三世代へと進化しています。日本では第三世代からの市場導入となります。

 筆者(桃田健史)は、日本初公開となったベルランゴの実車を見てみましたが、売れる理由は内外装のデザインだけではなく、シトロエンが強調するコンフォート性にもあると感じました。

 コンフォート性とは、乗り心地だけではなく、車内での居心地の良さ、さらには所有することでの心地よさにも通じますが、ベルランゴはそこにも優れています。

 人気のベルランゴは急遽日本向けの生産枠が新たに確保され、第2回オンライン予約が2019年11月30日の午前9時から始まります。納車開始時期は、10月19日に予約された初回分は2020年の初頭から随時、また11月30日に予約された第2回の分は2020年春頃からユーザーの手に届くそうです。

 ベルランゴが日本初公開された場所は、東京都・世田谷区にある複合施設の二子玉川ライズで2019年11月27日から12月1日にかけて開催された無料イベント「コンフォート・ラ・メゾン・シトロエン」でした。

 東京モーターショー2019に未出展となったプジョー・シトロエン・ジャポンが、シトロエンブランドを強化するために独自に開催したイベントです。

 初公開のベルランゴのほかにも、「C3エアクロスSUV」や「C5エアクロスSUV」など、計4つの現行モデルと、ジュネーブモーターショー2019でワールドプレミアした小型EV「AMI ONEコンセプト」などを展示。

 会場全体を大きい住宅のようなデザインとして「シトロエンの家」を演出しました。そのなかで、居心地の良いコンフォートな空間を体験してもらおうというのです。

シトロエンが日本市場で人気急上昇! その訳は?

 シトロエンのブランド戦略の先頭に立っているのが、シトロエン部門CEO(経営責任者)のリンダ・ジャクソン氏です。今回のイベントのためにフランス本社から来日し、メディア向けにプレゼンテーションをおこないました。

 それによりますと、1919年のシトロエン創業から99年目となる昨年(2018年)まで、累計販売台数は約5000万台。2018年は世界全体で約104万6000台を販売しました。

 全世界での販売台数は2014年から4年連続で下落しているものの、主力市場の欧州においては好調で、2013年から2018年まで連続で右肩上がりとなり、2018年には82万5000台を記録。5年間で28%の伸びを示しました。

 さらに、日本市場においては近年人気が急上昇しており、2019年の累計が4000台を超えて、昨年比で51%増となる見込みです。これは、欧州市場の伸びを上回る大躍進です。

 こうした日本でのシトロエン人気に対して、記者会見に同席した日本国内でのフランス車販売会社の関係者は、次のように話します。

「モデルの趣向をSUVやMPVに思い切り寄せたことが奏功しています。若者から70歳代まで、シトロエンを含むフランス車人気は確実に拡大していると強く感じます」

 とはいえ、日本の輸入車市場全体でみると、フランス車の存在感はけっして大きくありません。

 日本自動車輸入組合(JAIA)が公表している統計情報によりますと、2019年度上半期(4月から9月)での販売台数トップは、メルセデス・ベンツの3万1742台(シェア17.94%)です。

 2位以下は、BMWが2万4136台(13.64%)、フォルクスワーゲンが2万3526台(13.30%)、アウディが1万3162台(7.44%)、MINIが1万2677台(7.16%)と上位はドイツ車が独占しています。

 フランス車では、プジョーが5343台(3.02%)、ルノーが3218台(1.82%)、そしてシトロエンが2195台(1.24%)に留まっていて、フランス車すべてを足してもMINI単独の台数にも及びません。

 しかし、そんななかで登場したベルランゴがきっかけとなって、日本市場でのフランス車人気を一気に引き上げる可能性は、否定できないと思います。