近年、国内外でのSUV市場はさまざまな新型モデルやフルモデルチェンジが相次いでいます。国内市場では、トヨタの7車種を筆頭に多くのSUVが乱立していますが、トヨタはなぜSUVにこれほどまでの力を入れているのでしょうか。

まさにトヨタはSUV王国状態?

 トヨタのモデルラインナップは、ほかの国産自動車メーカーと比べると豊富な品揃えです。なかでもSUVジャンルには、ボディサイズやニーズによってさまざまなモデルが設定されています。

 さらに、2020年にはさらに「ハリアー」や「ランドクルーザー」のフルモデルチェンジ、新型モデル「Tjクルーザー」の追加などが噂されています。なぜ、トヨタはSUVにこれほどまで力を入れるのでしょうか。

 トヨタのSUVラインナップ(登録車)は、「ライズ」、「C-HR」、「RAV4」、「ハリアー」、「ハイラックス」、「ランドクルーザープラド」、「ランドクルーザー(200系)」の7車種となります。

 次点のスズキは、軽自動車と登録車を合わせた「ジムニー」「ジムニーシエラ」、「ハスラー」、「クロスビー」、「SX4 S-CROSS」、「エスクード」の6車種をラインナップします。

 また、マツダと三菱は4車種。そのほかの国産メーカーは、2車種から3車種となり、トヨタのSUVラインナップが吐出して多いことが分かります。

 2019年登録車年間販売台数のSUV上位5車種で見ると、全体14位・ホンダ「ヴェゼル(5万5886台)」、全体15位・トヨタ「C-HR(5万5677台)」、全体16位・トヨタ「RAV4(5万3965台)」、全体24位・日産「エクストレイル(3万6505台)」、全体25位・「ハリアー(3万6249台)」です。

 また、同年12月の単月販売台数のSUV上位5車種では、全体2位・トヨタ「ライズ(9117台)」全体8位・RAV4(5759台)、全体15位・C-HR(3577台)、全体16位・ダイハツ「ロッキー(3514台)」、全体16位マツダ「CX-30(3226台)」と、C-HR以外は2019年に発売された新型モデルとなります。
 
 昨今では、SUVにも細かなニーズが求められるようになり、各社でコンパクト/ミドル/ラージといったサイズ感でモデルを設定しているようです。

 しかし、トヨタは7車種もSUVモデルが存在していますが、同ラインナップ内でユーザーの取り合いは起きないのでしょうか。トヨタの販売店スタッフは次のように話します。

「来店されるお客さまのなかには、RAV4とC-HRを比較する人もおります。扱いやすいボディサイズ、都会的な外観デザイン、お求めやすい価格などにこだわるお客さまはC-HRを選びます。

 一方で、C-HRでは後席や荷室が狭いと不満を感じるお客さまは、価格は少し高いですが、車内空間に余裕のあるRAV4を購入されます。RAV4は4WDのメカニズムも充実しているので、悪路走破性でRAV4が選ばれることもあります」

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 このようにSUVのラインナップを増やすと、車種単体ではターゲットユーザーが被り、販売台数の低下に繋がる可能性があります。

 しかし、トヨタブランドとして見ると豊富なラインナップを誇る方が、他社と比較することなくトヨタ内で完結できるのです。

なぜ、トヨタのSUVモデルは売れるのか

 トヨタ以外のSUVモデルもそれぞれ特徴的な性能や機能などの個性を持っているため、決してトヨタ車に劣っている部分はありません。

 しかし、それでもトヨタのSUVラインナップは登場から一定数経過しても堅調な販売台数を保っています。その要因には、いくつかのポイントがあるといえます。

 現在、トヨタの店舗は4つの販売チャネル(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)を持っており、それぞれSUVモデルの取り扱いが異なるのです。

 販売チャネルが異なることにより、他メーカーの販売店で扱いきれる車種以上にひとつのジャンルでさまざまな車種を展開することができます。

 また、トヨタ系の販売店は全国に約5000店あるといい、対する日産やホンダが2000店、マツダ・スバル・三菱は500店から1000店といわれ、その販売網の差が販売台数に直結しているといえるのです。

 しかし、トヨタは2020年5月には全販売チャネルで全車種を扱うと決まっており、「個性があった販売チャネルの強みが薄れるのではないか」ともいわれています。

 そんななか、全国に先駆けて2019年4月より全車種を取り扱っている都内のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。

「以前までのように、ミニバンやSUVに決まった車種しか扱えないのとは違い、全車種を扱うことによって、お客さまからするとどこの店舗でも自由に選べるというメリットが出てきます。

 さらに選択肢が広がったことで、ハリアー(トヨペット店)、RAV4(ネッツ店・カローラ店)という垣根がないので、じっくり比較できるのです。

 SUVに求めるニーズが細分化されたことで、3列シート車、アウトドア向け、サイズ感、デザインなどさまざまな個性をもったモデルをトヨタブランド内で提供出来ることは強みだと思います」

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 また、「プリウス」や「アクア」に興味を持ったユーザーが、RAV4やC-HRのハイブリッド車に流れることもあるようで、SUV以外のジャンルからもトヨタブランド内でクルマを選ぶ人は少なくないといいます。