2000年に日本でチャイルドシートの使用が法律で定められてから、20年が経過します。チャイルドシートの安全性も向上し、着用率も向上していますが、それでも誤った使い方をしているケースも多いといいます。正しく着用するには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。

チャイルドシートの安全基準とは?

 日本でチャイルドシートの使用が法律で定められて、2020年4月でちょうど20年になります。

 チャイルドシートは自動車部品と同様、国土交通省がその安全性を厳しく審査して型式指定がおこなわれています。

 日本は2012年7月から国連欧州経済委員会が定めるUN(ECE)基準を採用しており、現在はECE R44(以下R44)とECE R129(以下R129)のいずれかの安全基準を満たしたチャイルドシートだけが、日本での新規販売を許可されています。

 最新のR129(i-Size)はR44基準の安全性をさらに高めた内容で、ISO FIXで取り付けられるチャイルドシートを対象にしています。

 R44では、体重10kgくらいまで後ろ向きで使用することが必要でしたが、R129(i-Size)では基準が体重から身長に変更され、後ろ向きで使う目安は生後15か月で身長が76cmまでとされており、生後15か月過ぎても身長76cmを超えてない場合は前向き使用厳禁となります。

 また、R129(i-Size)で認証を得たシートは、「少なくとも83cmまで後ろ向きで使える構造であること」と定められています。

 つまり新しいR129(i-Size)では、できるだけ長い間後ろ向きで使うことを推奨しているため、後ろ向きが前提の乳児専用シートはシート自体のサイズが大きくなっています。

 現在、日本で販売されているR129基準のチャイルドシートのなかにも、身長100cmから105cmくらい(4歳頃)まで後ろ向きで使えるシートもあります

 JAFや国交省のチャイルドシートに関するガイドにも記載がないので、ほとんど知られていませんが、2017年2月に「背もたれのないジュニアシート」(座面だけのブースターシート)は、身長125cm・体重22kg以上で使うことが国連欧州経済委員会によって義務付けられました(UN/ECE R44/04 S11)。

 それまでは、幼児用チャイルドシート(体重18kg・身長100cmまで)を卒業したら、すぐに背もたれのないジュニアシートを使っても良いことになっていましたが、側面衝突や横転時にはとくに危険ということで改正されています。

 座面だけのブースターシートは、クルマのシートベルトを身長145cmから150cm以下の子どもでも使えるように座る位置を上げたもので、最近人気の「スマートキッズベルト」や「マイフォールド」など、肩ベルトの位置を下げて子どもの体に合わせて使う携帯用ジュニアシートも同様です。

 いずれも「対象年齢3歳以上・身長100cm・体重15kg以上で使用可能」と記載されていると思いますが、こちらは2017年2月以前の「旧基準」となります。

 使用が禁止されているわけではありませんが、安全のためには「身長125cm・体重22kg以上」で使うことをお勧めします。

 とはいえ、タクシーや高速バスなどを利用する際に重宝する製品であるのは確かですし、車両シートベルトをそのまま使うよりははるかに安全性が高いので、緊急時に使う場合はやむを得ないでしょう。

安全基準を満たさないチャイルドシートに注意

 R44やR129の安全基準を満たさないチャイルドシートは、本来、日本では販売されることはないはずですが、通販サイトなどで販売されていることもあります。

 安全基準に関する正しい知識を持たない販売業者が扱っていることもあり、「安いから」「コンパクトで持ち運びが簡単だから」という理由で、知らずに購入する人が後を絶ちません。

 カーシェアリングやレンタカーの利用が増えていることもあって、軽くて扱いやすい携帯用チャイルドシートへのニーズは高まっているといえるでしょう。

 しかし、これらの安全性未認証のチャイルドシートはすべて「布」でできており、強い衝撃に到底耐えられるものではありません。国交省の衝突実験テストでも、布製のベルトがちぎれて子どもが座席から放りだされる恐ろしい結果となりました。

 ちなみに、これら布製チャイルドシート数種類が販売されていたアマゾンでは、2015年頃までさかのぼって購入者全員に使用をやめて破棄を指示し全額を返金しています。そのほかの通販サイトでも販売中止の措置を取り始めています。

 緊急用や携帯用ということであれば、前述した「スマートキッズベルト」や「マイフォールド」はコンパクトで持ち運びがしやすく、国が定めたECE R44/04基準にも適合しており、最低限の安全性は確保されているといえます。

 一方で、最新の安全基準R129i-Sizeを満たした安全性の高いチャイルドシートであっても、使い方を間違えていると事故の際に子どもの命を守れません。

 チャイルドシートの間違った使用方法とはどのようなものなのでしょうか。

 チャイルドシートがクルマの座席に正しく取り付けられていても、子どもを座らせた後のハーネス(チャイルドシートについているベルト)の締め方が緩いことがあります。この場合、衝撃を受けるとハーネスの間から子どもだけがすっぽ抜けることがあります。

 同様に、寒い時期ダウンジャケットなど厚い上着を着たまま座らせるのも危険で、ハーネスと子どもの体の間に分厚い防寒着があることによって、子どもの体を守るハーネスの拘束力が100%ではない状態になっているのです。ハーネスは指2本入るくらいにきっちり締めます。

 エアバッグのある助手席に乳児用の後ろ向きシートを付けてしまうのも間違いです。

 後ろ向きシートはエアバッグのない後部座席で使用します。日本車にはほとんどありませんが、助手席エアバッグのON/OFFスイッチがあるクルマでは、エアバッグが展開しないようにすれば、助手席で後ろ向きシートを使用することができます。

 1歳近くになっても新生児用パッドを使っている人がいるようですが、新生児用パッドは生後6か月くらいで外してください。赤ちゃんの体とシートの間にすき間ができて危険です。

 また、身長76cm未満、体重10kg未満など、体格に合っていないのに前向きでの使用はやめた方がいいです。極力後ろ向きで使用するのが安全です

 加えて、前述のとおり、2017年2月以降は、背もたれのないブースターシートは身長125cm・体重22kg以上での使用が義務付けられているため、身長100cm程度で背もたれのないジュニアシートに座らせてはいけません。

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 2019年8月に公表された最新データによると、6歳未満のチャイルドシート使用率が、調査開始以来初めて7割を超えました。その一方で、乳児・幼児における着座状況は6割から7割前後に誤りがあることがわかっています。

 なかにはチャイルドシートを固定せず、座席の上にただ置いているだけというケースもあったそうです。

 チャイルドシートの安全基準が高まっても、使用時にミスがあっては子どもの命は守れません。チャイルドシートは正しく使用することが、重要だといえます。