工事現場にある工事用信号は、工事中の道路を片側交互通行にするためのものですが、それを無視した場合、交通違反になってしまうのでしょうか。

工事用信号を無視したら違反になる?

 道路工事などの現場では、工事用信号(仮設信号)と呼ばれる簡易的な信号機が使われています。この工事用信号を無視したら通常の信号機のように交通違反になってしまうのでしょうか。

 工事用信号とは、主に工事中の道路で片側交互通行が必要な場合に利用されています。

 道路交通法第5条第2項によれば、「公安委員会は信号機の設置又は管理に係る事務を政令で定める者に委任することができる」とあります。

 また、道路交通法第7条では、「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。」ともあります。

 つまり、道路交通法が定める信号機とは、「公安委員会が設置した信号と警察官の手信号のふたつのみであり、工事用信号は信号機には含まれないのです。

 そのため、工事現場の信号を無視しても法的な効力はないといえますが、交通社会においてのマナーやモラルの観点、そして事故の可能性から無視しないほうがいいでしょう。

 実際に工事現場で交通整理を行った経験もある工事関係者は、工事用信号について次のように話します。

「場所にもよると思いますが、工事用信号は、交通誘導員を置かないと警察署の許可が下りない場合もあります。私も経験したことがありますが、深夜に工事用信号を使うと、急いでいるクルマがフライングをしたり、工事用信号に気づかないこともあります。

 知り合いの誘導員には、工事用信号と誘導員が停止のサインを送っている状態でクルマが信号を無視し、目の前で事故が起こったという例もあるようです。

 その際は誘導員の責任にはならなかったようですが、ひとつ間違えば大事故になりますので、誘導員や工事用信号に従い、無理をせず安全な運転を心がけてほしいです」

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 工事用信号を無視することそのものが違反になるわけではありませんが、それによって事故などが起きた場合は、交通事故として責任を問われることになります。

 交通誘導は、企業や道路工事関係者がおこなっているもののほかにも、警察官が手信号でおこなっている場合もあります。これは法的に認められている行為なので無視した場合には信号無視と判断され交通違反になります。

工事用信号に種類がある?

 工事用信号には、赤青のランプしかないものもあれば、青信号になるまでの残り時間が表示されるものもあります。

 工事用信号の製作やレンタルを手がける、山口県下関市の株式会社ヨシミエレクトロニクスでは、交通量をリアルタイムに検知し、信号のサイクルを自動調整する「スーパー・スムースくん」や、峠道など交通量の少ない山道で、センサーによって信号を変える「リゴーくん」などの製品を製造、レンタルしています。

 また、富山県富山市の株式会社ソーラー信号機では、太陽光発電によって動く「ソーラー信号機」を販売しています。

 前出の工事関係者は、工事用信号について以下のようにも話しています。

「タイマーや、センサーのついた工事用信号は、ドライバーが待ち時間を見られるため、ストレスを与えづらいメリットがあります。

 誘導員だけで交通整理をしていると、いつまで停止しなければいけないのか見通しが立たず、待っているクルマもイライラしてしまうことがあるようです。

 誘導員の指示を待たず、発進してしまいそうになる場合もあるので、工事用信号は大切な役割を担っていると思います」

 ヨシミエレクトロニクスのホームページによれば、工事による片道走行区間において渋滞が発生すると、ドライバーからクレームが発生することもあるそうです。

 同社製品の「スーパースムースくん」では、基本的にはどちらの車線も赤信号とし、クルマが近づいてきた場合に、対向車線にクルマがいないことをセンサーで確認して、信号を青にしています。そのため、赤信号による待ち時間が大幅に短縮され、カウントダウン機能も無いとのことです。