トヨタ新型「ヤリス」は、先代モデルにあたる3代目「ヴィッツ」から、車両価格が向上しています。一見、割高感を感じますが、装備と照らし合わせると実際のところはどうなのでしょうか。

約9万円の値上がり!? トヨタ新型「ヤリス」を旧モデルと比較

 トヨタが2020年2月に発表した新型「ヤリス」は、139万5000円から249万3000円(消費税10%込、以下同様)という価格帯ですが、先代モデルにあたる3代目「ヴィッツ」の2020年時点の価格は120万3400円から226万8200円(GRモデル除く)となっています。

 モデルチェンジに伴って割高になった印象を受けますが、コストパフォーマンスなどを考慮したとき、実際のところはどうなのでしょうか。

 新型ヤリスと3代目ヴィッツの価格では、エントリーグレードと最上級グレードだけではなく、全体的に価格が向上しています。

 例えば、トヨタが新型ヤリスと3代目ヴィッツの量販グレードとして設定している「ヤリス Xグレード」と「ヴィッツ Fグレード」で比較すると、2WD・ガソリンモデルの場合、新型ヤリスは159万8000円(1.5リッター)で、3代目ヴィッツは150万9200円(1.3リッター)と、価格が向上しています。

 なお、同グレードの2WD・ハイブリッドモデルで比較した場合、新型ヤリスは199万8000円、3代目ヴィッツは185万3500円と、こちらも価格が高くなっています。

 果たして新型ヤリスは、3代目ヴィッツと比較して価格に比例する性能となっているのでしょうか。トヨタは2台の価格差について次のように説明しています。

「新型ヤリスの1.5リッターガソリンモデルのXグレードと、3代目ヴィッツの1.3リッターガソリンモデルのFグレードでは、8万8800円の価格差があります。

 しかし、新型ヤリスでは運転支援システム『Toyota Safety Sense』やディスプレイオーディオ、カーテンシールドエアバッグ、運転席・助手席サイドエアバッグなどの装備が新たに装備されています。

 また、新型ヤリスのプラットフォームやパワートレインは新開発されたもので、上質な乗り心地とスムーズな加速を実現。排気量や最高出力なども向上しています。

 新型ヤリスは、最新の安全技術と装備を充実させたうえでの価格設定となっています」

歴代ヴィッツも徐々に値段が上がっていった? その歴史とは

 新型ヤリスの価格について、決して高いとはいいきれないということがわかりますが、じつはヴィッツも初代モデルから3代目モデルにかけて価格帯が向上しています。

 1999年に発売された初代ヴィッツの発売当初の価格は83万円から138万円(消費税含まず)。2代目モデルでは設定のない3ドアモデルもラインナップされていました。

 その後、2005年に発売された2代目ヴィッツの発売当初の価格は105万円から159万6000円(消費税5%込)。そして、2010年発売の3代目ヴィッツの発売当初の価格は106万円から179万円(消費税5%込)です。

 一見するとクルマの高価格化が進んでいるように見えますが、中身を見るとそうとはいえません。

 例えば、2代目ヴィッツではトヨタで初めて55km/hに速度を上げて、2トンクラスの車両との全方位カーツーカー衝突試験をクリアした衝突安全ボディ「GOA」を採用。

 さらに新開発プラットフォームによって空間効率も向上したほか、新開発のサスペンションやブレーキ、さらに改良型のトランスミッションとなる新「Super CVT-i」を採用するなど、基本性能が向上しています。

 そして3代目ヴィッツでは、従来のシステムから大きく改良された新開発のアイドリングストップシステムを搭載。当時クラストップの低燃費となる26.5km/L(10.15モード)を達成するなど、時代が求める環境性能をさらに強化し、商品力に磨きをかけています。

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 新型ヤリスと歴代ヴィッツの例に限らず、最近の新車価格が上がっている印象を持つ人も少なくありませんが、ただ価格だけが上がっているわけではありません。

 メーカーはより魅力ある商品を提供すべく、日々開発をおこなった結果といえるのです。また、近年は前述の「Toyota Safety Sense」のような運転支援システムなどによって価格が上がっているという事情もあります。