クルマに給油する際、慣れている自分のクルマでも左右のどちらに給油口があるか忘れがちです。給油口の位置にはあるルールがありましたが、どのようなものなのでしょうか。

時代の流れと共に、給油口の位置は移動している?

 普段乗り慣れないレンタカーはもちろん、いつも乗っている自分のクルマでも「給油口はどっち?」と迷ってしまうことがあるでしょう。給油口の位置に基準は存在するのでしょうか。

 自動車学校では教えてもらえないものの、知っておかないと困ってしまうのが給油口の位置です。現在ではメーカーや車種によって給油口の位置が左右どちらにもありますが、なぜ統一されていないのでしょうか。

 実は、クルマの給油口については、「左右」はもちろん「前後」にも設置することができるのです。

 国土交通省が2005年11月9日に公示した「道路運送車両の保安基準の細目定める告示」によれば、同法第18条7項において、「燃料タンクの注油口及びガス抜口は、排気口の開口方向になく、かつ、排気管の開口部から300mm以上離れていること」とされています。

 つまり、給油口は、クルマのマフラーの出口から300mm以上離れていれば大丈夫ということになります。

 車種によって温度は異なりますが、マフラーの温度は数百度にも達するといわれ、もしもマフラーに、燃料が触れてしまえば大惨事になる可能性があるのです。

 そのため、高熱を帯びるマフラーと引火物である燃料を入れる給油口は、できるだけ遠ざける必要があり、マフラーの反対に設置されていました。

 近年は、ガソリンスタンドの給油ノズルや、燃料タンクの性能が向上しているため、燃料を入れ過ぎてこぼれてしまうということはめったに起こらなくなりました。

 マフラーの耐熱性能も向上しており、火災を防止するためにマフラーと給油口の位置関係を決めるという考えは薄まっているようです。

 また、コンパクトカーよりも排気量の大きい車種やスポーツタイプのクルマでは、マフラーが左右どちらにも装備されている場合があります。

 例えば、日産「スカイライン」は左右にマフラーがあるほか、コンパクトカーであるトヨタ「ヤリス」はマフラーが片側のみですが、ヤリスをベースにしたスポーツモデルの「GRヤリス」では、左右にマフラーを備えているのです。

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 クルマの給油口が左右どちらにあるのかは、車内からも確認することができます。

 ガソリンメーターの給油マークに矢印があり、右側を向いていれば給油口は右側、左側を向いているなら左側に給油口があります。

 ただし、2000年以前のクルマや、給油口が隠されたようなデザイン性の高いモデルの場合は、ガソリンゲージ横に矢印が無いこともあるため注意が必要です。

給油口の位置は日本ならではの理由もあった?

 クルマの給油口やマフラーの配置は、「道のどちらを走るか」にも影響を受けているとされています。

 日本は、英国や英国連邦の国と同じく、クルマは左側通行となっています。歩道もクルマの左側にあります。

 マフラーが右側にあると、マフラーから出る熱や排気ガスが歩行者に当たってしまうことから、国産車はマフラーが右側についていることが多く、給油口が左側、つまり歩行者側にあることが多いとされています。

 道路の違いによる影響は、バイクにも見ることができます。

 例えばバイクを動かす場合、日本や英国では左側からバイクを押します。そのため、国産バイクでは、押す人に当たらないよう車体の右側にマフラーがあるバイクが少なくありません。

 しかし、右側通行の国では事情が逆転し、車体の左側、つまり日本では歩行者側にマフラーが設置されています。

 右側通行の国であるドイツ・BMWのバイクでは、「R nineT」が実際に歩行者側にマフラーを装備しています。

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 給油口は、クルマのデザインや構造によっても制約を受けることがあります。

 BMWなど、もともと右側通行の国で作られていたクルマでは、燃料タンクなどの構造から「右ハンドルにできても、左側給油にできない」ということもあります。