役目を終えた救急車は一般人が買えるのでしょうか。もう使えなくなっている故障車であってもマニアにとっては宝物。救急車を個人や法人で購入するための方法や注意すべき法律について紹介します。

救急車の中古車は個人で買えるのか?

 緊急性の高い病気や怪我の症状が病気が懸念される場合、公共交通機関や自家用車ではなく、救急車で病院に行くことが望ましいとされています。とくに、過疎地域では、救急車はなくてはならないクルマとして、重要な役割を果たしています。

 動く病院としての機能すら持つ救急車ですが、自家用車として購入することはできるのでしょうか。

 大手中古車サイトでは、実際に中古車として販売されている救急車を見ることができ、日産「エルグランド」をベースにした2011年式の日産「パラメディック」が、車体価格約240万円で販売されているほかにも、トヨタ「ハイエース」をベースにした救急車が販売されています。

 しかし、もしも購入した救急車を公道で走らせる場合、ランプを取り外したり、サイレンが鳴らないよう加工したりする必要があります。

 例えば、救急車の赤色灯は、「道路運送車両の保安基準」第140条において「灯火で照明部の上縁が地上2.5m以下のもの又は灯光の色が赤色である灯火を備えてはならない」と定められています。つまり、赤いランプは取り外さなければ違反となってしまうのです。

 救急車は緊急自動車であり、緊急自動車の備える赤色灯(警光灯)については同法の第231条において、「警光灯は、前方300mの距離から点灯を確認できる赤色のものであること」とも定められています。

 救急車は緊急自動車であり、緊急自動車の備える赤色灯(警光灯)については同法の第231条において、「警光灯は、前方300mの距離から点灯を確認できる赤色のものであること」とも定められています。

 そのため、所属名称や無線機といった一部の機材も、そのまま使用することはできなくなります。もし、赤色灯などの装備や機材をそのままにして走行した場合、当然ですが道路交通法違反となってしまいます。

 また、中古車店以外にも、「オークション」などを通じて救急車を購入する方法もあります。

 救急車は、「地方自治体」や「医療機関」が所有するものがあります。持ち主が地方自治体の場合は、地方自治体の方針に従い、オークションに出品されることがあります。

 ヤフーが提供しているサービスに「官公庁オークション」と呼ばれる自治体や官公庁が出品するオークションがあり、国税庁、都道府県、市町村が売却をおこなっています。

 官公庁オークションは、ヤフーの提供しているオークションサイト「ヤフオク!」の一部ではあるものの、官公庁オークションへの事前の参加申込が必要なほか、通常の入札とは異なる部分もあるため注意が必要です。

 2011年には、現役を引退した神奈川県三浦市の救急車が官公庁オークションに出品されました。その際に、医療機器などは取り外された状態でしたが、購入時の価格は車体だけで約1400万円だったといわれています。

救急車ならでは? 車中泊ニーズにマッチ?

 救急車は、乗用車に比べて非常に広い室内空間を持っています。

「ストレッチャー」と呼ばれる、患者を車内へ運び入れるための大型のタンカが入るスペースや、救急救命士が救急救命処置を行えるよう、高いルーフを持っています。

 ハイエースがベースとなる「ハイメディック」では、成人男性が立っても頭上に余裕がある室内空間を確保。また、救急救命処置に必要な室内灯も付いており、夜でも車内は充分な明るさを保つことができます。

 さらに、車内にはコンセントなどの電源も備わっており、電子機器を使うことも可能です。こうした充実した装備も、救急車が中古車として高い価格を付けている原因といえるでしょう。

 電源や室内灯などの装備は、車中泊として欠かせない装備であるため、救急車の中古車を購入するユーザーのなかには、救急車をベースにキャンピングカーへ改造する人もいるようです。

 救急車と同じ緊急自動車である「消防車」も、中古車として放出されることがあります。そのなかには、日本ではなく海外へ行くクルマもあり、愛知県東海市によれば、アフリカのマラウイ共和国へ消防車が寄贈されたこともあるようです。