トヨタは、2020年4月1日に自社の認定中古車ブランドを「トヨタ認定中古車」へ統一しました。さらに、将来的には他自動車メーカーの公式中古車サイトとの連携も図る計画だと説明します。トヨタが始めた中古車ビジネスの改革は、今後クルマの買い方をどう変化させていくのでしょうか。

トヨタは中古車ビジネスをどう変化させる?

 中古車を皮切りに、自動車業界のタブーが一気に崩れていきそうです。トヨタは、認定中古車ブランドの「T-Value」「T-Valueプレミアム」「T-Valueハイブリッド」「T-Valueプレミアムハイブリッド」を、2020年4月1日に「トヨタ認定中古車」へ統一しました。

 同時に、「トヨタ認定中古車」サイトも刷新し、将来的には他のメーカーの公式中古サイトとの連携を図ります。こうしたトヨタの変化によって、今後クルマの買い方はどのように変わっていくのでしょうか。

 今回の変更にあわせて、トヨタはネット上でのビジネスも一気に強化します。

 2019年6月から11府県で試験的におこなっていた、全国の店頭在庫をユーザーが最寄りの販売店で商談・購入できるサービスを、2020年年央から全国で展開します。あわせて、オンラインでの商談と注文も開始します。

 中古車の売り方が変われば、中古車の仕入れや流通も変わります。

 仕入れの基盤となる、オートオークションのオンライン注文などのデジタルシフトを一気に推進。「オークション会場の一部で、トヨタとの資本関係にあるダイハツ、マツダ、スバル、日野のコーナーを設置する」と具体的な他メーカー名称を明らかにしました。トヨタ関連会社のトヨタユーゼックなどが実行部隊です。

「いつか来る」と長年に渡り自動車業界でいわれてきた、メーカーの枠を超えたマルチブランド販売が、トヨタによってまず中古車市場から始まります。こうしたトヨタの大きな動きに、中古車流通大手やオークション大手は戦々恐々です。

 今回の中古車での新戦略は、トヨタの販売大変革のうち「ひとつの駒」に過ぎません。マルチブランド販売は、新車でも本格化する可能性が極めて高くなってきました。

 周知の通り、2020年5月1日付で、全国でトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の全店舗で、すべてのトヨタブランド車を購入できるようになります。

 これを、全国のトヨタ車を販売する独立系企業では「事実上の4系統ディーラー網の統合」と捉えていて、道府県と都下では各社が「生き残りをかけた熾烈な交渉」を繰り広げています。独立系に先立ち、トヨタ直系である東京都の販売4系統が合併して、トヨタモビリティ東京が2019年4月1日に発足しています。

 トヨタ販売系列はレンタリースを含めると全国で約6000店舗ありますが、ディーラー網統合による店舗の大幅な再編は必須です。

 ここに、前出の中古車ビジネス新戦略もつながっていると、業界関係者なら誰もが考えるわけで、そうなれば将来的に、トヨタの新規ディーラーやネット上で、ダイハツ、マツダ、スバル、日野の新車が購入できることになってもおかしくありません。

「サブスク」モデルも加速? トヨタの新たな動きとは

 一連の動きについて、トヨタが表向きに使っている名称が「町いちばん」です。

「町いちばん」について、取締役・副社長(当時)のディディエ・ルロワ氏は2019年12月に詳細な説明をトヨタのウェブサイトに公開しています。

 このなかで、「日本におけるビジネス変革のイメージ」という図表があります。

 全世代のユーザーと地域のトヨタとの絆を強化するため、所有(新車・サービス・中古車)と利用(法人・レンタカー・KINTO・シェアリング)をつなげる、という戦略です。

 毎月使用料や保険料など込々のサブスクリプションモデルであるKINTOは、まだ十分に普及している状況ではありません。それでも、対応車種や中古車へとKINTOを拡充できるのは、前述のようにトヨタは新車と中古車の流通で新しいビジネス基盤を構築しているからです。

 このほかの直近でのトヨタの大きな動きといえば、3月末にNTTと業務資本提携を結び、次世代の町づくりであるスマートシティでのデータプラットフォームの共同開発を発表しています。

 4月に入り、電子マネー決済、QRコード/バーコード決済を複合的に搭載するキャッシュレス決済アプリ「トヨタ ウォレット」を先行のiOS版に次いでアンドロイド版でも無料提供も開始しました。

 こうしたさまざまな動きはすべて、しっかりとつながっているのです。

 買う・売る・借りる・貸す・使う…、ユーザーとクルマとの関係が新たなるステージに入るのは、もう時間の問題です。