核家族化の進む現代でミニバンの3列シートは本当に必要なのでしょうか。人気ミニバンを販売するディーラーマンが教える「ミニバンの3列目の必要性」を紹介します。

時代が変わっても健在? 今のミニバンは何が人気?

 ファミリー層からの需要が高いミニバンですが、その大きな特徴としては「3列シート」が挙げられます。しかし、現代は未婚化や少子高齢化といった社会問題によって、家族の人数が減ってきています。では、そんな現代でもミニバンの3列シートは必要とされているのでしょうか。

 厚生労働省が発表した2018年版の国民生活基礎調査の概況によると、日本全国の世帯数は約5099万世帯となっていますが、「独身世帯」と「夫婦のみ」の世帯の合計は約2600万世帯と、半数以上を占めています。

 また、「児童(18歳未満の未婚の者)」のいる世帯は、全世帯のうちの22.1%となる約1120万世帯であるうえに、児童数「1人」は約511万世帯、「2人」は約455万世帯、「3人以上」は約160万世帯と、子どもの数が2人以下である家族が8割以上となっています。

 しかし、ファミリーの数や構成に変化があるにも関わらず、未だにミニバンやSUVでは、7人/8人が乗る想定の3列シートの設定があり、一定の人気があります。

 では、ファミリーカーの3列目は本当に必要で、実際に人が乗るために使われているのでしょうか。

 人気のコンパクトミニバン「シエンタ」やミドルミニバン「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」を展開するトヨタの販売店スタッフは以下のように話します。

「子どもが1人や2人いるというお客さまなら、2列モデルのあるミニバンでも、3列目を設定される方は多いです。ですが、子どもの友達の送り迎えに『備えるため』や、『せっかくだから』といった理由がほとんどで、日常的に使う人は少ないように感じます」

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 絶対に必要ではなく「あったら便利」程度に捉えるユーザーは多いようで、3列目の本来の目的とされる「ファミリーが子どもを乗せる」という使い方は、メジャーとはいえなくなっているようです。

 とはいえ、ミニバンの人気は健在です。日本自動車販売協会連合会によると、2019年の登録車販売台数ランキングのTOP10には、3位シエンタ、5位日産「セレナ」、8位ヴォクシー、9位ホンダ「フリード」がランクインしています。

 現在、ミニバンはどのような使われ方をしているのでしょうか。2019年にランキング9位となる8万5596台を販売したフリードや、「ステップワゴン」を販売するホンダの販売店スタッフは以下のように話します。

「最近はアウトドアブームということもあり、荷物をたくさん詰めることからミニバンを選ばれるお客さまが増えました。そのなかには、車中泊の際に荷室に布団を敷くのが面倒なため、あえて3列目を倒してベッド代わりにするという方もいらっしゃいます」

 アウトドアのための「荷物置き」としてや、ベッド代わりになるという「使い勝手」が、近年のミニバンにおいて重要な要素のようです。

意外?こんなところにもミニバン需要が。

 総務省の発表によると、単独世代を含まない親族世帯のなかでも、「核家族」世帯の占める割合は増加の一途を辿っているようです。

 また、その傾向はこれからも続いていくとのことで、2035年頃には親族世帯のうち89%が核家族世帯になると予測されています。

 これはミニバンにとって死活問題にも思えますが、どうやらミニバンの需要は大家族に限ったものではないようです。

 近年、夫婦が実家の近くに住む「近居」が増えており、この層からの需要も高まっているとのことです。

 近居が増えたきっかけは、2011年の東日本大震災といわれています。高齢の両親にとって子ども夫婦が運転してくれるミニバンは、まさにライフラインといっていいほどの助けになることでしょう。大人数での移動に適したミニバンの活躍の場は、「非常時」にもあるようです。

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 過去と比べると、支持層に多少変化があったミニバンですが、アウトドアや震災などの非常時に備えた需要は高まっており、今まで以上に活躍の場を広げたともいえます。

 もはやミニバンの3列目は「子どもを乗せるための座席」ではなく、さまざまな用途であらゆるものを乗せることができる「機能的な荷室」と呼ぶべき存在なのかもしれません。