日本を代表する高級ミニバンといえばトヨタの「アルファード/ヴェルファイア」が有名です。3代目となる現行モデルは、年々改良を加えられて魅力を増していますが、同時に純正カスタマイズブランドの「モデリスタ」も進化し続けているといいます。どのようにして魅力に磨きをかけているのでしょうか。

なぜアルヴェルはモデリスタ仕様が多いのか

 アメリカで生まれたミニバンは日本で独自の成長を遂げています。今もさまざまなラインアップが存在しますが、自他ともに認めるフラッグシップといえばトヨタ「アルファード/ヴェルファイア(通称:アルヴェル)」です。

 現行モデルは2015年に登場した3代目です(ヴェルファイアは2代目)。開発コンセプトは「大空間高級サルーン」でミニバンではなく、高級車のひとつとして開発されています。

 外装デザインは高級セダンが並んでも引けを取らない迫力あるフロントマスク、内装はさまざまなシートアレンジを用意。最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」はリムジンも顔負けのゆったりしたセカンドシートを採用しています。

 走りの部分もリアにダブルウィッシュボーン式サスペンションや高張力鋼板の採用拡大や構造用接着剤の導入によるボディ剛性強化も相まって、快適性と操安性を高次元でバランスさせました。

 2017年にマイナーチェンジがおこなわれ、内外装の変更やパワートレインの刷新(V型6気筒)、第2世代の「トヨタセーフティセンス」の採用など商品性も大きくレベルアップ。買い取り価格が高いことから、従来モデルからの“箱替え”も多いと聞いています。

 さらに2019年の一部改良ではスマートフォン連携の9インチディスプレイオーディオや車載通信機(DCM)の標準化、電動サイドステップのオプション設定など各種装備の充実などがおこなわれました。

 そんなアルヴェルですが、豊富なディーラーオプションが用意されているのもポイントです。そのなかでも一番人気なのがメーカー系カスタマイズの先駆者ともいえる「モデリスタ」です。

 モデリスタの設立は1997年でトヨタの量産モデルでは対応できない“ワンオフ”モデルの開発・製作・販売をおこなうオートクチュールが発端で、まさに“カスタマイズ”のために生まれたブランドなのです。

 当然、アルヴェルのアイテムも数多く設定されていますが、そのなかでも高い人気を誇るのが「エアロキット」。モデリスタの強みはトヨタ直系であることからベース車と同時にアイテムがリリースされていますが、実はベース車の改良に合わせてアップデートがおこなわれています。カスタマイズはトレンドがあり、クルマより素早い進化が求められます。

 2019年の一部改良のタイミングで追加されたアイテムは、新デザインの「フロントスポイラー」と「アルミホイール」です。

 まずフロントスポイラーはモデリスタの十八番である「メッキ」を強調しながら、従来の押し出し感のあるデザインから品格を高めたデザインへと変更されています。

 車両をより低く立体的に見せるサイドスカート、双胴船をイメージしたメッキ加飾を大胆に使用したメッキ加飾とスクエア形状の二本出しテール(スポーツマフラーとマフラーカッターが選択可能)は従来品から変更ありませんが、変更されたフロントスポイラーとのバランスも申し分ありません。もちろん従来品も継続販売されているので、好みに合わせて選択することが可能です。

 さらにセットオプションの「アドバンスドフェイススタイル」や「クールシャインキットプレミアム」などをプラスすると、全体がより煌びやかに仕上がるでしょう。

モデリスタはもはや純正グレードともいえる存在?

 アルヴェルのエアロキットの購入者は30代から40代が多いそうで、平均年齢はノーマルのそれに対して10歳近く若返り。また、一般的にはアフターパーツは装着率5%を超えると“成功”といわれますが、アルヴェル用のエアロキットの装着率は何と約20%となり、つまり大ヒット商品です。

 そういう意味ではモデリスタ仕様はアフターパーツではなく標準車のなかの1グレードといったほうがいいかもしれません。

 エアロキットをより際立たせるタイヤ&ホイールセットは19/20インチで計3種類を用意。デモカーは20インチ仕様ですが、19インチの5本ダブルスポークは先進感/スポーティさをアップさせた新デザインを採用しています。

 インチアップによりタイヤの偏平率は低くなるので乗り心地は硬めの方向に変化します。この辺りは好みが分かれますが、そんなときはモデリスタと同じくトヨタ直系のカスタマイズブランド「TRD」の機能パーツがお勧めです。

 アルヴェルにはドアスタビライザー&ブレースセット、メンバーブレースセット、パフォーマンスダンパーセットを用意。

 サスペンション変更しなくてもハンドリング/乗り心地がレベルアップする事は、筆者(山本シンヤ)も体験済みです。

 一方、内装は外観に比べると控えめです。メッキと並んでモデリスタの十八番である「ヒカリモノ」が中心で、LEDルームランプセット、LEDスマートフットライト(スライドドアの開閉に連動して足元を照射)、ラゲージLED(バックドアの開閉に連動、明るさ3段階調整式)が用意。これらはドレスアップ効果だけでなく機能性も高いので、ぜひ装着したいアイテムのひとつです。

 モデリスタの強みはカスタママイズの基本となる「カッコいい」、「個性的にしたい」を、純正用品でもサードパーティでもない絶妙なバランスの立ち位置で実現している点にあります。

「他人と同じでは嫌」と「品質/精度はトヨタクオリティ」という、カスタマイズの「本音と建前」をバランスよく両立させている事こそが、人気の秘密といえるでしょう。