1990年代に登場した280馬力の国産スポーツカーのひとつ、三菱「GTO」は、強力なライバル車がひしめく同クラスに登場した新世代のスーパー4WDスポーツです。はたしてGTOはいったいどんなクルマだったのでしょうか。

ハイテク満載のフラッグシップスポーツ登場

 日本がバブル景気真っ只中だった1990年に、「スタリオン」の後継車として登場したのが三菱のフラッグシップスポーツカー「GTO」です。

 北米市場を意識したGTカーとして開発されたGTOは、全長4555mm×全幅1840mm×全高1285mmのワイド&ローな3ドアファストバッククーペで、そのルックスはアメリカンスポーツと並べても引けを取らない堂々としたものでした。

 エンジンやシャシは4ドアセダンの「ディアマンテ」と共有し、全グレードで4WDを採用した新世代のスポーツカーとして開発。

 搭載されたエンジンは3リッターV型6気筒DOHCで、自然吸気が最高出力225馬力を発揮し、ツインターボは280馬力を誇りました。

 GTOツインターボには室内のスイッチで排気音を変えることが可能な「アクティブエグゾーストシステム」や、高速走行時に可動する可変リアスポイラーとフロントスカートからなる「アクティブエアロシステム」が装着されていました。

 4WDシステムは「走る・曲がる・止まる」をより高めるために、4輪すべてを制御する「オール・ホイール・コントロール理念」に基づき、前後トルク配分を45:55に設定したフルタイム4WDとなっています。

 サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット、リアがダブルウィッシュボーンで、タイヤの駆動力を最大限に活かすために電子制御アクティブサスペンション(ECS)と、中高速域で後輪と前輪を同方向に操舵する全輪操舵システム(4WS)が組み合わされました。

 1993年のマイナーチェンジでGTOツインターボは、最高出力こそ280馬力のままでしたが高過給圧によるトルクアップや、国産車初のゲトラグ製6速MTも採用したことで走行性能が向上し、高速道路での中間加速では日産「スカイラインGT-R」を凌駕していたといわれています。

 また、このマイナーチェンジでは、リトラクタブルタイプから固定式のプロジェクタータイプのヘッドライトに変更し、フロントフェイスが刷新されました。

重量級スポーツカーにふさわしい装備を搭載

 GTOツインターボでは車両重量は1700kgの重量級ボディに対応するため、日本車で初めてアルミ製4ポッド異径対向ピストンブレーキキャリパーを採用。さらに1992年のマイナーチェンジでは、ブレーキディスクを17インチ化し、リアブレーキに対向2ポットキャリパーが装着されました。

 そして、1994年のマイナーチェンジでは、4WS、オートクルーズ、フォグランプ、ABSなどをオプション設定として60kg軽量化した「ツインターボMR」が登場。

 ブレーキ冷却導風板が備えられていただけでなく、レーシングカーに採用されていたAP社製6ポッドブレーキキャリパーがオプションで用意されるなど、常にブレーキ性能の向上を模索していたようです。

 室内には調節機構も備えたサイドサポート付きのバケットシートが装着され、真正面の大型メータークラスターには視認性の良いタコメーターとスピードメーターをレイアウトし、ダッシュボード中央には左から電圧計、油圧計、過給圧計の3連サブメーターをセット。

 ドライバーを包み込むようインパネまわりのデザインも、スポーツカーとして上手く演出されていました。

 まさに「和製スーパーカー」のルックスが魅力のGTOでしたが、車両重量が重く、前後重量配分は60:40とフロントヘビーとなり、タイトターンなどではアンダーステアが強くなることもありました。

 当時の三菱が持つハイテク技術をすべて盛り込んでも、スポーツカーとしては満足できるドライブフィーリングを得ることはできませんでしたが、少々の天候不良など気にすることもなく高速道路を快適にクルージングできるGTカーとして考えれば魅力的なクルマです。

 そして、細かな変更が繰り返された後、2001年に販売を終了。後継車はありませんでした。