アメリカのユタ州で、5歳の男の子がクルマを運転して問題となったニュースが日本でも大きな話題となりました。しかし、実は過去には日本でも、子どもがクルマを運転してしまうという同様の事例があります。子どもがクルマを運転してしまった場合、どんな違反になるのでしょうか。

5歳の男の子が一人で運転? その目的はランボルギーニ購入だった!

 2020年5月4日、アメリカのユタ州で5歳の子どもがクルマを運転して公道を走っていたことがニュースで報道され、世界的に話題となりました。地元警察官がユタ州内の幹線道路をパトロール中に不自然な蛇行を繰り返す中型SUVを発見、飲酒運転や医療上の緊急事態だと判断してクルマを止めると、運転席に乗っていたのは幼い男の子だったという事件です。

 彼がクルマを運転する発端となったのは、ランボルギーニでした。男児は、母親がランボルギーニを買ってくれないことに腹を立て、自ら購入を試みるべくカリフォルニア州まで向かうつもりだったと話します。しかし、警察官の話によると彼の財布には3ドルしか入っていなかったようです。地元テレビ局によれば、彼がクルマで移動した距離は約3.2キロとのことでした。

 この問題について、現時点では具体的な処罰をくだされていないものの、幼い子どもの運転で公道を走らせる行為は非常に危険だと判断されました。今回は、幸い事故が起こらなかったものの、大きな事故に繋がりかねない状況だったため、両親の刑事処罰も検討されています。

 実は、日本でも同様のニュースが過去に報じられています。2008年7月、岐阜県内で9歳の男の子が軽自動車を運転するトラブルが発生。地元警察によると「無人の軽自動車が走っている」と通報が入ったため、現場に急行して少年を保護しました。

 現場付近のコンビニエンスストアには、通報のあった該当車が不自然な形で停車しており、職務質問をするために近づくと運転席に9歳の男の子が座っていたようです。「運転手は誰?」と訪ねたところ、少年は自ら運転したことを認めました。

 少年の証言によると、自宅駐車場にあった父親のクルマを持ち出し、祖母の家に向かう道中だったようです。クルマの操作方法は、運転する父親の姿を手本にしたり、ゲームで覚えたと話しました。信号を守って低速走行をしているほか、交通量の少ない休日だったことあり、大きな事故を起こさずに済んだようです。

 少年は深く反省していたため事件化はせず、両親へはクルマのキー管理について厳重注意をおこなってことなきを得ました。

 以上のように、国内外でも多くの事例がある「子どもの運転」ですが、日本ではどのような法律が適用されるのでしょうか。

 まず、道路交通法第64条「無免許運転等の禁止」に抵触する恐れがあります。また、罰則対象となるのは運転者本人だけではありません。同条の2項と3項では、無免許者に対して車両を提供してはならないことや、無免許だと知りながら運転を要求または依頼してはならないと定めています。

 罰則内容はすべて共通とされ、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となっています。

 過去には幼い子どもにハンドルを握らせて運転をさせたことで起訴され、父親に罰金30万円がくだされた事例もあります。この事件は、子どもの運転を撮影した動画をSNSにアップしたことで明らかになりました。

 行政処分で済むような軽い交通違反ではなく、刑事処分となる重大な違法行為です。無免許運転を「しない」だけでなく、相手が子どもであっても「させない」ようにしましょう。

 なお、運転席はチャイルドシートを設置できないため、「幼児用補助装置使用義務違反」にも罰せられる可能性もあります。こちらは、反則金はなく、違反点数は1点となります。

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 5歳の幼い子どもがクルマを運転するニュースが世界を騒がせるなか、実は日本でも同じようなトラブルが起こっていました。アメリカでの事件を他人事のように感じていた人もいるかもしれませんが、知らない間に子どもがクルマを操作していたり、させていたりする可能性があります。

 免許を持たない子どもの運転は、多くの命を危険に晒す行為であり、死亡事故に発展するリスクがあります。そうならないためにも法律を再認識し、親や周りの大人が管理を徹底しましょう。

アメリカには「教習所がない」のも関係が?

 今回、話題になった5歳の男児は日常的にクルマを運転していた可能性が高いといわれています。日本よりもクルマ社会が根強くあるアメリカでは、幼い子どもに運転をさせる習慣があるようです。

 その大きな理由には、「免許制度」が大きく関係しています。

 アメリカには日本のように自動車教習所というものがありません。教習員がユーザーのもとまで出張する教習サービスはあるものの、基本的には筆記試験を受けた後、実技試験に合格すれば免許を取得することができます。

 もちろん公道での練習は禁止されていますが、自宅の敷地内などの私有地であれば保護者同伴で練習することが可能となっています。

 また、アメリカは州によって運転可能な年齢も異なります。なかには、18歳になるまで保護者同伴という条件付きであるものの、14歳から免許取得な州もあるようです。そのため、地域によっては、自宅の敷地内で小さい頃からバイクやクルマに乗せているケースも多いようです。

 しかし、危険であることは確かです。アメリカのテキサス州では、子どもにクルマの運転をさせたことによる死亡事故が起きています。

 当時14歳だった少女は、父親を助手席に乗せて運転の練習をしていたところ、散歩をしていた男性を轢いてしまい、被害者の男性は即死とのことでした。この事件では、少女の父親が過失致死と子どもを危険に晒した罪で逮捕されています。

 国や地域によって、運転可能な年齢や免許制度は異なりますが、子ども責任は親の責任となるのは万国共通なようです。