日産「ノート」と「マーチ」は、同じ日産のコンパクトカーでありながら、販売状況には大きな差ができてしまいました。いったいなぜでしょうか。

車内の広さだけじゃない? マーチ低迷の理由とは

 近年、日産を代表するコンパクトカーとしては「ノート」が挙げられますが、かつては「マーチ」が同社のコンパクトカーラインナップのなかで注力されていた時期がありました。

 しかし、近年はノートとマーチの販売状況に大きな差があるようです。いったい、どのような要因があったのでしょうか。

 マーチは初代モデルが1982年に発売された歴史の長いモデルであるのに対し、ノートは2005年に発売されたコンパクトカーです。それぞれの現行モデルは、マーチが2010年に発売された4代目で、ノートが2012年に発売された2代目です。

 どちらも発売から長い期間が経過したモデルではありますが、日産は2020年5月28日に同社の次世代モデルを予告する動画「NISSAN NEXT: From A to Z」を公開。

 海外専売モデルも含めた12車種を18か月以内に登場させると予告しましたが、このなかには「N」が頭文字の新型ノートが含まれていました。

 一方、動画では「M」が入る演出もあったものの、マーチ自体は表記されていません。マーチではなく、頭文字がMのまったく関係ない新型車が投入されるのでは、と見られています。

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 初代ノート発売以降の両車の年間販売台数(日本自動車販売協会連合会発表)は、2010年までノートの方が多かったものの、それほど差は大きくありません。

 2011年はモデル末期だったノート(販売台数4万6475台)に対し、新型車効果で売れ行きを伸ばしたマーチ(販売台数5万274台)が販売台数で逆転しました。

 しかし、その後マーチは販売台数が下落し、2011年は4万6475台だった販売台数は、2018年には1万2122台まで落ち込みました。

 一方、ノートは現行モデルが発売された2012年は8万5330台を記録し、翌2013年は、14万7634台を記録。

 その後、毎年約10万台以上をコンスタントに販売したほか、2017年(13万8905台)と2018年(13万6324台)には大きく販売台数が伸び、2年連続で13万台以上を記録しました。2018年は日産初の登録車販売ランキング1位となっています。

 2019年は11万8472台を記録し、ミニバンの「セレナ」やSUVの「エクストレイル」と並んで日産の主力車種としての立ち位置を盤石なものにしました。

 新型車効果で発売直後に販売台数が伸びるのは自然ですが、販売台数が下落したマーチに対して、なぜノートはモデル末期まで安定して売れ続けたのでしょうか。

 日産の販売店スタッフに聞くと、次のようにコメントします。

「マーチより車内が広いこともありますが、人気が続く要因としては2016年に追加されたハイブリッド仕様『e-POWER』の存在が大きいと思います。おすすめする我々としても、ついているとすすめやすいですし 、お客さまもマーチより積極的に選びやすいです」

 また、衝突被害軽減ブレーキがノートには装備されるのですが、マーチに無いことも大きいでしょう」

 e-POWERは他社のハイブリッドシステムとは構造が異なる「シリーズ式」であることから、日産のコンパクトカーラインナップ内のみならず、他社のコンパクトカーに対しても大きく差別化できる技術です。

 別の販売店スタッフにも話を聞くと、「ノートは元々販売実績が良かったのですが、『e-POWER』の登場によって『売れているクルマ』の常連となりました」とコメントします。ノートならではの付加価値があることが、両車の明暗を分けたといえるでしょう。

 なお、マーチに衝突被害軽減ブレーキの設定が無いことに関して販売店に聞くと、近日中に衝突被害軽減ブレーキ含む安全装備の拡充や法規対応を含む一部改良が予定されており、それに伴い2020年6月時点で新規受注を一時中止しています。

 一部改良までは在庫車のみの対応ということですが、販売店によっては、在庫車も売り切れている場合もあります。

新型「ノート」はどんな仕様で登場する?

 コンパクトカーの人気モデルの動向について、大手自動車メーカー広報担当者は、次のように話します。

「コンパクトカー自体に大きな変化はありませんが、時代に合わせてさまざまな部分の改良や進化をしています。もちろん、売れるクルマを作らなければいけないためです。商品の価値を高める施策は日々おこなわれています。

 そのなかで、最近の人気モデルの多くには、共通してハイブリッド仕様の設定があります。『ちょうど良い立ち位置』のコンパクトカーにハイブリッドという付加価値がつくことで、売れるモデルになっているといえます」

 2019年の登録車販売台数ランキングを見ると、トップ20にランクインしたノートを含む7台のコンパクトカーのうち、5車種にハイブリッド仕様が設定されていました。

 また、2020年2月に発売されたトヨタ新型「ヤリス」やホンダ新型「フィット」にもハイブリッド仕様が設定されています。

 どちらもハイブリッドシステムを大きく進化させており、とくにフィットは先代の1モーター式ハイブリッドシステム「i-DCD」から、2モーター式ハイブリッドシステム「e:HEV」へと変更。大きな進化を遂げています。

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 そう遠くない将来に登場する新型「ノート」は、ハイブリッドシステムが進化するのか、またはそれ以外の新たな高付加価値をつけて登場するのか、いまから目が離せません。