現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界各地で開催予定だったモーターショーが相次いで中止となっています。モーターショーには各メーカーからコンセプトカーが出展されますが、なかには市販化したモデルも存在。そこで、これまで東京モーターショーに出展されたコンセプトカーのなかから、市販化が期待されたモデルを5車種ピックアップして紹介します。

東京モーターショーで話題となったコンセプトカーを振り返る

 各自動車メーカーが、いま持っている技術力や商品を展示してお披露目するモーターショーは、毎年、世界各地で開催されています。

 しかし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大以降、相次いでモーターショーが中止となっており、コンセプトカーがお披露目される機会はほとんどありません。

 そこで、近年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカーのなかから、市販化が期待され、大いに話題となったモデル、5車種をピックアップして紹介します。

●ホンダ「スポーツEVコンセプト」

 記憶に新しい東京モーターショー2019では、ホンダの小型EV「ホンダe」の国内販売モデルが展示され、2020年には日本で発売予定となっています。

 そのホンダeはもともと東京モーターショー2017で「アーバンEVコンセプト」として、日本初公開されていましたが、同時に展示されたもう1台のEVが「スポーツEVコンセプト」です。

 その名のとおりEVのスポーツカーとして開発された2ドアクーペで、デザインコンセプトはホンダeと共通のイメージとなっています。

 詳細なスペックは明らかになっていませんが、次世代のスポーツカーデザインを提案するスタディモデルとしてつくられました。

 外観はロングノーズ・ショートデッキの、クラシカルなスポーツカーをイメージしたファストバックスタイルで、仮にエンジンを搭載するならば間違いなくFRと想像できるフォルムです。

 アーバンEVコンセプトが、ほぼそのままのデザインでホンダeとして市販されたことを考えると、スポーツEVコンセプトの市販化も期待されましたが、現状はその動きはありません。

●ダイハツ「DN コンパーノ」

 ダイハツは軽自動車とコンパクトカーを主力商品としているメーカーですが、かつて「コンパーノ スパイダー」という、まるで欧州車のような美しいデザインのオープンスポーツカーを販売していました。

 コンパーノ スパイダーのベースとなったのは1963年発売された小型乗用車の「コンパーノ」で、当時のダイハツを代表するモデルです。

 コンパーノは2ドア/4ドアセダンを基本として、ステーションワゴン、バン、ピックアップトラック、そして前出の2ドアオープンと、同じシャシでさまざまなボディタイプをラインナップする画期的なモデルでした。

 当時は1車種で多くのボディタイプを持つのは珍しくありませんでしたが、コンパーノのようにオープンカーからバンまで展開したクルマはほとんど無いでしょう。

 このコンパーノをイメージさせるコンセプトカーが、東京モーターショー2017で展示された「DN コンパーノ」です。

 外観はキャビンが流麗なファストバッククーペのようで、サイドラインから下は、ボクシーな4ドアセダンというユニークなフォルムです。

 パワートレインは1リッタークラスを想定していたようですが、まさに現在販売中のコンパクトSUV「ロッキー」が1リッター直列3気筒ターボエンジンを搭載しています。

 さらにロッキーは2WDならば車重が970kgから980kgと軽いので、ロッキーのコンポーネントを流用すれば、スポーティな軽量コンパクトセダンをつくることも、十分に可能ではないでしょうか。

●マツダ「ビジョンクーペ」

 東京モーターショー2017で公開されたマツダ「VISION COUPE(ビジョンクーペ)」は、モーターショー以外にもさまざまなイベントに展示されたほか、テレビCMにも登場するなど、単なるコンセプトカーとしてだけでなく、マツダを象徴するイメージリーター的存在です。

 外観のデザインは、日本の美意識の本質を突き詰め「エレガントで上質なスタイル」をつくり上げることを目指すマツダのデザインコンセプト「魂動デザイン」をさらに深化させ、シンプルかつスピード感あふれる美しい4ドアクーペのフォルムを実現。

 内装も立体の深みと前後方向への軸によって、スタイリッシュでありながらもフラッグシップにふさわしい高級感を演出。

 マツダは東京モーターショー2019に、ビジョンクーペの進化モデルは出展しませんでしたが、かつてから「新型のクーペモデルを開発しているのではないか」という噂は絶えません。

 その噂の根拠には、直列6気筒エンジンの開発をアナウンスしたことや、クーペモデルに関する特許申請があります。

 ビジョンクーペのロングノーズは、まさに直列6気筒エンジンの搭載を予感させるのではないでしょうか。

市販目前といわれるも、お蔵入りとなった小型FRスポーツとは!?

●トヨタ「S-FR」

 トヨタはスバルと共同開発したFRライトウェイト・スポーツモデル「86」を2012年に発売。そしてトヨタはさらなるFRスポーツモデルとして、86よりも小型の「S-FR」を東京モーターショー2015に出展します。

 S-FRは、日常使いのなかでもクルマとの対話ができる楽しさをコンセプトとしたエントリーモデルとして提案。

 外観はシャープな印象の86に対し、ボディ全体が丸みをおびたファニーな印象です。さらに、ボディサイズが全長3990mm×全幅1695mm×全高1320mmと86よりもひとまわりコンパクトに設定されています。

 エンジンのスペックは不明ながらフロントミッドシップに搭載し、前後重量配分の最適化と4輪独立サスペンションによって、優れたコーナリング性能を実現したといいます。

 その後、S-FRは2016年の東京オートサロンにもレース仕様が展示されるなど、市販化に向けて大きな期待が高まりました。

 実際に東京モーターショーに展示されていた時点で、内外装のクオリティはコンセプトカーの域を超えており、市販に向けて動き出したとの噂がありましたが、残念ながら中止されたようです。

●日産「IDx NISMO」

 東京モーターショー2013で日産ブースに展示され、時期FRスポーツのプロトタイプではと注目されたのが「IDx」です。

 それまでも日産は「シルビア」の後継車をイメージさせるコンセプトカーをモーターショーに出展しており、いよいよ現実味をおびたと期待されました。

 IDxのスタイルは2ドアクーペで、公式にはアナウンスされていませんが、デザインは「510(ゴーイチマル)」の愛称で呼ばれる3代目「ブルーバード」をモチーフしたと、容易に想像できます。

 エンジンは直列4気筒でフロントに搭載しリアを駆動するFRを採用するあたりも、510ブルーバードを彷彿とさせていました。

 バリエーションはスタンダードモデルと、スポーティな「IDx NISMO」を設定。IDx NISMOはクラシカルなオーバーフェンダーが装着され、外装のカラーリングもアメリカのレースで活躍したダットサン「510」のワークスカーをモチーフにしています。

 内装はハイテクな装備とクラシカルなデザインが融合した、いわゆる「ネオクラシック」なイメージを採用。

 公開当時の反響も大きく、日産のラインナップから消えてしまった小型FRクーペの復活を期待させるものでしたが、現時点では実現していません。

 ちなみに、ローマ数字で510を表すと「DX」となりますから、やはりIDxは510ブルーバードをオマージュしていたようです。

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 コンセプトカーには大きくわけて2種類あり、ひとつは市販を視野にいれたモデルで、もうひとつは市販をまったく考えず、デザインや技術のスタディモデルです。

 公開された時点では、市販化されるかは不明ですが、今回紹介した5車種のように、現実味があるコンセプトカーが出ると、ワクワクが止まりません。

 新型コロナウイルスの影響はまだまだ続きそうな勢いで、しばらくは世界中でモーターショーの開催は難しい状況なため、新たなコンセプトカーの登場は期待できませんが、いつかまたワクワクできる日を楽しみにしましょう。