トヨタの高級ブランドとして知られるレクサス。そのブランドを象徴するアイコンとして採用されるのが、「スピンドルグリル」です。最近では、ひと目でレクサスと分かるほど認知されたデザインですが、そもそもスピンドルとは、何を意味しているのでしょうか。

レクサスを象徴する「スピンドルグリル」とは

 BMWの「キドニーグリル」、アウディの「シングルフレームグリル」、そしてロールスロイスの「パルテノングリル」など、いくつかの自動車メーカーはブランドを象徴する特徴的なデザインのフロントグリルを持っています。
 
 それは個性を主張するためであると同時に、あえて強調することで同じブランドにおいて広く展開し、ブランドの存在感を高めるという意味もあるでしょう。

 一方でユーザーからは主張が激しいデザインに対して賛否両論があるのも事実。ひと目でそのブランドが分かるものの、エントリーモデルから上級モデルまでの似たようなデザインになることで、差別化が分かりづらいという声もあります。

 また、昨今の国産メーカーも日産が「Vモーショングリル」、スバルが「ヘキサゴングリル」、そして三菱が「ダイナミックシールド」など表情の統一を図っていますが、日本のブランドでもっとも浸透しているのはレクサスの「スピンドルグリル」です。

 上下に対して幅の狭い“くびれ”を持つことで、砂時計のようになっているのが特徴です。レクサスではすべての車種に採用され、すっかり定着しています。

 ところで、そんな「スピンドルグリル」ですが、「スピンドル」というあまり耳なじみのない言葉にはどんな意味があるのでしょうか。

 スピンドルには「回転する軸」といった意味があり、広義としてパソコン関係ではモーターに加えてハードディスクなどモーターで回転する装置を指すこともあります。

 なかには、工作機械の「旋盤」を思い浮かべる人もいるかもしれません。旋盤とは対象物を回転させながら削るなどの加工するために使われるものです。

 しかし、レクサスのスピンドルグリルは「回転する軸」に関連したものをモチーフとしていますが、モーターや旋盤とは関係ありません。

 レクサスのスピンドルグリルは「紡錘(ぼうすい)」と呼ばれる、織物につかう道具をイメージしたもの。紡績機で糸を巻き付けるための回転部分で、いうなれば「糸巻き」のことです。

 レクサスの開発関係者は「『スピンドルグリル』という名称を使うことになった当初、それが世界各国で何を表現するために使われていか、どんなイメージを持たれているのかも調査した」といいます。

スピンドルグリルはいつから採用されたのか

 そんなスピンドルグリルが最初に市販車に採用されたのは一般的には2012年にデビューした4代目(日本国内では2世代目)の「GS」といわれていますが、実際にはその前年にデビューした「CT」のフロントグリルも控えめながらスピンドル形状になっています。

 2017年秋にデビューした現行型の「LS」からは、グリル内のパターンを「和」をイメージしたメッシュに変更。

 数千個に及ぶ面で構成される緻密なデザインは、コンピューター上で全体のバランスを整えたうえで、線1本、面ひとつひとつに至るまで手作業でつくり上げていったそうです。

 ところで、BMWのキドニーグリルやアウディのシングルフレームグリルは、新型車が登場するたびにその大きさが拡大しているのが話題となりますが、レクサスでも例外ではありません。

 前出のLSや大型SUVの「LX」では驚くほど大きなスピンドルグリルを組み合わせています。なかでも最大なのは、レクサス初のミニバンとして中国や東南アジアで販売がスタートした「LM」。天地高がLSの約1.5倍にもなるという驚きのサイズです。