2020年上半期はコロナ禍により、新規登録台数は前年よりも減ったものの、それでも車名別で輸入車ナンバーワンなのがコンパクトカー「MINI(ミニ)」だ。いままで輸入車といえばVW「ゴルフ」が人気だったものの、ここ数年はミニが1位であり続けている。その人気の理由はなんなのだろうか。

コンパクトクラスにプレミアムという価値を提供

 MINI(ミニ)が人気だ。

 日本自動車輸入組合(JAIA)の統計によると、2016年に外国メーカー車モデル別新車登録台数で1位になって以来、4年連続でモデル別ナンバーワンを獲得している。

 2020年の上半期はコロナ禍のため、前年比67.4%の8473台(2020年1月から6月)と新規登録台数は苦戦しているものの、それでも2位のフォルクスワーゲン「ゴルフ」の5792台、3位のメルセデス・ベンツ「Aクラス」の5547台と比較しても、ダントツだ。

 そんなミニ人気の理由はどこにあるのだろうか。

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 ミニは2002年3月2日に日本に初上陸した、比較的新しいブランドだ。ドイツのプレミアムブランドであるBMWが新たに開発をおこない、同社初のFFモデルとして展開された。ブランド名はミニ(MINI)だが、登録上は「BMWミニ」と表記される。

 日本で初登場した際には、「ミニ・クーパー」および「ミニ・ワン」という3ドアハッチバックの展開だった。それにもかかわらず、日本上陸した初めての年の2002年には、すでに1万台を超えた1万24台という新規登録台数を記録。そこからボディラインナップを増やしていくのと並行して台数も伸び続け、2018年には2万5984台という記録をつくっている。

 じつは2015年までは、27年連続でVWゴルフが輸入車ナンバーワンだった。また同じく2015年まで、輸入車ブランド別販売台数は15年連続でフォルクスワーゲンが獲得していた。

 2020年上半期を振り返ると、モデル別販売台数はミニが1位、ブランド別販売台数では2万4994台でメルセデス・ベンツが1位となっている。

 フォルクスワーゲンもブランド別で2位、モデル別でもゴルフが2位と健闘してはいるものの、「輸入車といえばゴルフ、輸入ブランドといえばフォルクスワーゲン」という時代が長く続いたことを思えば、一抹の寂しさもある。

 国産メーカーのモデルが性能や燃費が向上し、さらに輸入車よりもリーズナブルな価格で購入できるということを考えれば、人々が輸入車に求めるものが変わってきているといえるのではないだろうか。つまり、輸入車にプレミアム感を求めるユーザーが増えてきたということが考えられる。

 ミニはBセグメント、Cセグメントといわれるコンパクトカテゴリーのモデルだが、プレミアムブランドでもある。もちろん車両価格もそれなりにするが「小さくても良いもの」を求めるユーザーニーズに合った商品展開をおこなっているのも人気の理由のひとつといえるだろう。

豊富なボディラインナップとエンジンラインナップ

 もうひとつの理由は、「ネオ・クラシックなデザイン」だろう。

 アレック・イシゴニスが設計した初代ミニ(現行ミニのMINIに対し、初代ミニはminiと表記されることが多い)は、1959年から製造が開始されたが、1990年以降はそのメインマーケットは日本で、晩年は製造されるミニのほとんどが日本向けの仕様だったという。

 そんな初代ミニのデザインや、そのヒストリーまでも引き継ぐ現行ミニに対して、最初から愛着を持つユーザーは多い。フィアット500が、往年のチンクエチェントのデザインを現代風にアレンジしたことで日本においても成功したように、ミニもそのネオ・クラシックデザインが人気の秘訣といえる。

 2002年に日本上陸した新生ミニから数えると、現行型は3代目となるが、3代を横比較するとフロントフェイスのデザインもかなり変化しているのがわかる。ただし、ミニはミニ、初代のイメージを色濃く残したデザインは、誰が見てもミニだとわかるものだ。

 ミニが人気の理由、最後はボディラインナップの豊富さだ。

 3ドアハッチバックのみで開始されたミニだが、現在ではオーソドックスなミニらしい「3ドア」、3ドアをベースにホイールベースが延長され後席スペースも広がった「5ドア」、ソフトトップを持ち4シーターの「コンバーチブル」、観音開きのドアが特徴の「クラブマン」、そしてSUVの「クロスオーバー」と揃っている。

 さらにはワン/クーパー/クーパーSのガソリンエンジンモデルだけでなく、クーパーD/クーパーSDというディーゼルエンジンモデル、クロスオーバーに用意されたPHEVなど、パワートレインも豊富に用意されている。さらにスポーツ派にはJCW(ジョン・クーパー・ワークス)もある。

 つまり、さまざまな人のライフスタイルに合った、さまざまなボディのミニを提供することができるのだ。これこそがミニが輸入車ナンバーワンの地位を獲得した原動力だといえる。

 それらすべてのミニ・ラインナップが、「BMWミニ」としてまとめてカウントされているということも大きい。

 ただし、2020年上半期の輸入車2位になるVWゴルフも、5ドアハッチバックの「ゴルフ」だけでなく、ワゴンの「ゴルフヴァリアント」、7シーターミニバン「ゴルフ トゥーラン」、クロスカントリー「ゴルフ オールトラック」、スポーツモデルの「ゴルフGTI」「ゴルフR」「ゴルフGTE」、ピュアEVの「e-ゴルフ」を含めた数字だ。

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 2020年7月12日に発表されたリリースによると、ミニの2020年上半期の世界新車販売は11万8862台と、前年同期比で31.1%のマイナスとなった。

 これは世界的な新型コロナウイルス感染拡大によるものだが、前年2019年の世界新車販売は、2018年比で4.1%減の34万6639台と、右肩上がりだったミニがここにきて勢いが停滞しているのはちょっと気になるところだ。