ライトウェイトスポーツカーで有名なロータスが、自社が生産した車両の来歴を証明するドキュメントを発行するプログラム「Certificate of Provenance」を開始した。これで、ロータスの歴代名車の市場価格が高まるかもしれない!?

ついにロータスもクラシック事業に乗り出した!

 いまや自動車界のプレミアムブランドの多くが、本社運営のクラシック部門を設けていることは、VAGUE読者なら周知の事実であろう。

 例えば「ポルシェ・クラシック」ではパーツの供給からレストアまで引き受ける一方、「フェラーリ・クラシケ」や「FCAヘリテージ」では、クラシックモデルの正統性を認証するドキュメントの発行をおこなう。

 また「ランボルギーニ・ポロストリコ」では、自社内のレストア事業を大々的に展開。そして「ジャガー・クラシック」や「Q byアストンマーティン」では往年の名作の継続生産に着手するなど、メーカーによって方法論は様々だが、いずれも「クラシック」事業に乗り出している。

 そんな状況のもと、ライトウェイトスポーツカーの世界を長らくリードしてきたロータスも、このほど自社が生産した車両の来歴を証明するドキュメントを発行するプログラム「Certificate of Provenance」をスタート。

 その記念すべき認証車第1号として、ロータスの創設者であるコーリン・チャップマンが最後の「カンパニーカー」として愛用したヒストリーを持つ、「ターボ・エスプリ」を公開した。

●3つのドキュメントと素敵なプレゼント

「For The Drivers」と銘打たれた、素敵な「ロータス プレゼンテーションボックス」に収められた来歴証明書は、あらゆる時代のロータス車のオーナーとエンスージアストにアピールするよう作り込まれている。

 この証明を求める幸福なオーナーは、自ら申請するばかりでなく、友人や家族からのサプライズ的なプレゼントとしても受け取ることができるという。

 プレゼンテーションボックスの要であるドキュメントは、いずれもプレミアム紙に印刷された3枚のシートで構成されることになっている。

 まずひとつめは「出生証明書」。シャシナンバー(VINコード)やボディカラー、仕様など詳細のスペックが記される。この証明書には、当該車両がヘセル工場をラインオフし、ロータス社の営業チームに渡された日付も記載されているという。

 ふたつめは「生産仕様書」。ロータス・アーカイブに残されている、詳細な車両情報を参照して作成されるこのドキュメントは、エンジン、トランスミッション、スタンダード装備、オプションのエクストラ装備など、車両に関するより詳細な情報が記されている。

 そして3つめは、ロータス・カーズ社CEOであるフィル・ポップハム氏が署名した顧客への個別の「レター」。ロータスの遺産を入手・維持していることへの感謝に加えて、現在のロータス最新情報なども記されているとのことである。

 この3つのドキュメントは黒いシンプルな封筒に入れられ、プレゼンテーションボックス内の上部にセットされる。またその下には、オーナーの名前と車両の出生証明書の情報が刻印されたアルミ製のプラーク、レザーで作られたロータスのキーリング、ロータスの歴史上でもっとも重要な9つのモータースポーツの栄冠を刻んだ、カーボンファイバー製のブックマークと4つのバッジ、そしてロータス特製のインクペンなど、ロータス愛好家にはたまらないコレクターズアイテムが納められているという。

 Certificate of Provenanceは、ロータスの正規ディーラーを通じて世界中で申請できるとのこと。申請費用は、英国では170ポンド+送料とされるが、英国以外の地域では価格に変動の可能性もあるとのことだ。

「鉄の女」サッチャー元首相が運転した「エスプリ・ターボ」とは?

 ロータス・カーズ社発行の「Certificate of Provenance」を受ける第1号車となったのは、1981年型ターボエスプリ。初登録はその年の8月1日で、英国の登録プレートは【UVF 464X】。登録名義は、ロータス社であった。

 そして、今回作成された出生証明書によると、開祖コーリン・チャップマンが当時独占的に使用していたことが明らかになっている。

●コーリン・チャップマン自身が愛用したターボ・エスプリ

 この個体は、メタリック・シルバーダイヤモンドのペイントと「ターボ・エスプリ」デカールで仕上げられている。

 メーカーオプションの追加パーツには、赤いフル本革レザーのインテリアやエアコンディショナー、ヘッドライナーに組み込まれたパナソニック社製オーディオシステムなども含まれる。

 しかも、このターボ・エスプリがユニークなのは、チャップマンが自身の快適さと運転の楽しみを向上させることを期したリクエストに応じて、いくつかの実験的な特別装備を備えていることだろう。

 この特別装備でまず挙げるべきは、パワーステアリングである。この車両はパワステを搭載した初のエスプリであった。さらに、サスペンションの仕様変更とローダウン化、ブレーキのアップデート、さらにはBBS社製鍛造アロイホイールなども特別装備されていた。

 加えてこのターボ・エスプリには、歴史的なトピックも存在する。初登録に先立つ1981年8月5日、当時英国の首相であったマーガレット・サッチャーがノーフォークを訪問した際に、チャップマンは彼女をヘセルのロータス本社に招くことに成功。最新のロータス社ラインナップをアピールするために、この個体を存分に活用したという。

 チャップマンとの会談のあと、ヘセル本社工場敷地内の有名なテストコースにて、サッチャー首相はこのクルマを自らテストドライブ。この時の様子を取材した地元メディアは、「The Iron Lady(鉄の女)」ことサッチャー首相が「このクルマに乗って、どこかに行きたくなっちゃうわね」と語ったと報道している。

 このターボ・エスプリは、コーリン・チャップマンが1982年12月に急逝したのち、1983年7月にロータスから放出・販売され、以後は個人オーナーのもとで、わずか1万1000マイルのマイレージを重ねつつ、定期的にメンテナンスが施されてきたという。

 そのモニュメント的な1台を、近年ロータス・カーズが見つけ出して入手に成功。入念なレストレーションが施されたのち、ロータス・カーズ社のコレクションとして、恒久的に保存されることになったというのだ。

「Certificate of Provenance」プロジェクトの責任者である、ロータス・カーズ社のフィル・ポップハムCEOは、今回全世界に配信されたプレスリリース内で、以下のようにコメントしている。

「ロータス・アーカイブは、完全にカタログ化された情報のデータベースであり、あらゆる時代のあらゆるロータス各モデルに関する、豊富な知見に基づく事実をご提供できます。

 これは世界中のロータス・オーナーにとって、最高の贈り物になると確信しています」

 さらに、唯一無二のターボ・エスプリについては「このターボ・エスプリは、私たちのコレクションのなかでも特筆すべき1台であり、ファンの皆さまにお見せすることを、今から楽しみにしています」と語った。

 現時点では、日本おける申請についてのアナウンスはなされていないのだが、世界でもっともロータスを愛する市場のひとつである日本のオーナー諸氏にとっても、このプロジェクトは気になるに違いない。

 興味のある方は、近くのロータス正規ディーラーに問い合わせてみることをお勧めする。