BMW「3シリーズ」といえば、Dセグメントのセグメントリーダーとして確固たる地位を築いている人気モデルだ。現行型で7代目となる3シリーズだが、2世代前の5代目「E90」型は、中古市場でだいぶこなれてきた感がある。そんなE90型3シリーズの魅力を紹介しよう。

永島譲二氏がデザインしたE90型3シリーズ

 BMW「3シリーズ」は現在7代目に入っている。

 3シリーズの各世代は、ほぼ7年ごとにフルモデルチェンジするのがルーティンになっており、いま、先代や先々代3シリーズという6年から10年落ちの中古車の価格が手ごろになってきているため、当時憧れだったクルマに乗れるチャンスがある。

 今回は先々代のE90の3シリーズに焦点を当てて研究してみよう。

 その前に簡単に3シリーズの歴史を振り返っておく。歴代3シリーズは、以下のように型式で呼ばれることが多い。

初代3シリーズ E21型(1975年〜)
2代目3シリーズ E30型(1982年〜)
3代目3シリーズ E36型(1990年〜)
4代目3シリーズ E46型(1998年〜)
5代目3シリーズ E90型(2005年〜)
6代目3シリーズ F30型(2012年〜)
7代目3シリーズ G20型(2019年〜)

 今から10年前の2010年に販売されていたのは、5代目の3シリーズになる。E90のモデル後半になり、熟成してきた時期のモデルであるが、2020年の中古車相場は、程度によっては100万円を切るものもあり、手を出しやすい価格になってきた。

 E90のエクステリアデザインを担当したのは、BMW AGのデザイン部門に所属する永島譲二氏である。彼はこのE90の前には初代「Z3」(E36/7)、4代目の「5シリーズ」(E39)のエクステリアも担当したことでも知られている。

 クルマのデザイナーになっても、1車種も担当したことがない人がほとんどだから、永島氏のようにBMWだけで3車種も担当したというのは、いかに彼が優秀かがわかる。じつはBMWの前にルノーにいたことがあり、そのときは「25」(ヴァンサンク)の後継車である「サフラン」をデザインした実績もある。

 担当は勝手に手を挙げて決まるわけでもなく、上司が決めるわけでもない。社内でコンペがあり、まずは2次元の絵を書いて順に勝ち進んでいき、残った中で3次元のモデルを作って競い合うのだ。最終的には取締役会でゴーサインが出て、そこから実際の作業に入る。

 今でも輝きが失せないE90であるが、デビュー当時はそのデザインに違和感を覚える人もいた。うちの妻がそうだった。我が家ではE30、E36を2台、E46と3シリーズばかりを乗り継いできたが、次のE90がデビューしたのを見て「顔が変」と言った。

 そのことを直接永島氏に伝えたら、「そうでしょうね。そんな人がいてもおかしくないです」と応えた。

 その理由を尋ねると、「最初からみんなが『良い』というデザインはすぐに飽きられちゃうんです。BMWは、ひとつのモデルで7年持たせなくちゃいけない、10年経っても街にはたくさん走っている。そのときにも古臭く見えないためには、最初は違和感があるくらいがちょうどいいんです」と、クルマに乗りながら平然と話してくれたことが今でも記憶に残っている。

 それから2年後、3シリーズツーリング(E91)を買って、妻は何の違和感もなく乗っていた。

程度の良いE90を見つける方法

 E90からフロントサスペンションは、上級車と同じダブルリンクストラットになり、ますます走りの質感も高まっている。

 320iは4気筒エンジン、330iは6気筒エンジンだ。4気筒でも十分に走り、フロントが軽いからハンドリングも軽快だ。いつでも力強く走りたいなら6気筒を選ぶといい。このころの330iは、まだターボエンジンではなく自然吸気で、その滑らかさは他メーカーのモデルにはない魅力を持っている。

 E90は、iDriveも備えている。2001年にデビューした7シリーズ(E65)に初めて搭載したコントロールシステムと同じものが、2005年登場E90型3シリーズにも装備された。

 最新のiDriveは音声入力もできるようになって進化しているが、当時のiDriveも慣れてくると使いやすい。ただしナビの地図データは古くなっているため、アップデートしなければ使えないかもしれないということは覚悟しよう。

 このころにはヘッドライトも明るいキセノンライトが付くようになったので、安全性も向上している。

 リモコンキーに関しては、色々なことができるので、これも操作の仕方を覚えると便利に使える。たとえば、ロックを長押し(キーのBMWマークを押し続ける)すると、開いている窓ガラス、サンルーフが自動で閉まるとか、逆にドアロック解除ボタンを長押しすると窓が全部開くという裏技がこの時代からあった。

 ドアミラーの調整スイッチを運転席側にしておくと、ATセレクターを「R」に入れたときに助手席側のドアミラーが少し下向きになり、車庫入れがしやすくなるという技も使える。下向きにしたくないなら、調整スイッチを助手席側にしておけば勝手に動かない。

 中古車展示場に行ったときに走行距離をチェックしたければ、ドアが開いていればキーがなくても見る方法がある。それはトリップメーターのゼロ戻しボタンを押すだけ。10数秒表示してくれるから試してみるといい。

 Mスポーツは車高が15mm低くなって、タイヤとホイールもインチアップしているから、見た目はスタイリッシュだ。

 ただし乱暴に乗られたクルマを選ばないようにしたいところだ。ブレーキローターがギザギザでレコード盤のようなスジが入っている中古車はオススメできない。後々タイヤを交換するとか、スタッドレスタイヤを履くという予定があるなら、Mスポーツよりもノーマルグレードを買ったほうが安く上がる。

 ATはトラブルがあると軽く50万円以上かかってしまうから、そこは試乗してチェックするといい。エンジンをかけて暖まった状態になってから、PレンジからDレンジに操作したとき、ギアがつながるまでに時間がかかる中古車は選ばないほうがいいだろう。

 Dレンジに入れたとき、ガクンというショックが大きいのは、プロペラシャフトのジョイントやデフギアのバックラッシュ(遊び)が大きくなっている可能性があるので要注意。

 試乗して変な音がしないことも重要なチェック項目だ。