一部マニアには熱狂的に支持されている「ウニモグ」。ハードな作業車両であるウニモグゆえに、クラシックな個体となると美車は非常に少ないのだが、格納庫に長らく保管されていた軌跡の個体が出現した。

ドイツ軍に正式採用された「ウニモグ」とは

 そもそもの始まりは、当時のダイムラー・ベンツ社で航空機エンジンの開発責任者だった、アルベルト・フリードリッヒによって1945年に描かれた、農業用の原動機付き多目的車両の図面だった。

 第二次世界大戦に敗れたドイツでは、航空機の開発などをおこなうことはもちろん不可能であり、フリードリッヒは農業用の車両として1台の4輪車を設計するが、それは誰の目にも農業用とは見えないモデルだった。

 1946年になると、その農業用車両は完成し、ドイツ語で「Universal Moter Great(多目的動力装置)」の頭文字から「UNIMOG」という車名が与えられた。1948年には本格的な生産が、工作機械メーカーのボーリンガー社で開始される。

 もちろんカスタマーは農業関係者ばかりではなかった。ウニモグにはいろいろなアタッチメントを取り付けることが可能で、さまざまな作業機メーカーがウニモグ用のアタッチメントを開発し始めたのだ。

 1950年代にはすでに累計生産台数は600万台を突破し、生産はボーリンガーからダイムラー・ベンツへと引き継がれることになった。

 参考までにフロントグリルにスリーポインテッド・スターが輝くようになったのは1953年モデルからである。それまでソフトトップのみだったラインナップにハードトップ仕様(401/402型)が追加設定されたのもこの年からだ。

 1955年には高性能版の404型(Sシリーズ)がドイツ軍に正式採用され、翌年411シリーズへとモデルチェンジされることになる。

「ウニモグ」は、公道走行可能な究極のオフローダーだ!

「さらに大きく、そしてさらに強力なウニモグを!」という要望に応えて誕生したのが、今回RMサザビーズの「オートワールド・オータム・セール」に登場した、「ウニモグ406」だ。

●1974 メルセデス・ベンツ「ウニモグ406デュアルキャビン」

 デビューは1963年のことで、それはロングホイールベース仕様の416シリーズと同時のデビューだった。生産は1988年まで継続されるが、出品車はそのなかでも353台しか生産されなかったドッペルカビン(デュアルキャビン)モデルである。

 RMサザビーズの調査によれば、すでにこのうち少なくとも100台は、タフな使用の連続によって廃車になってしまったが、140台ほどはまだ現役で、何かの仕事に従事しているはずだという。

 出品車は、1974年にドイツ陸軍に納入されたモデルで、格納庫に保管されたまま、1980年まで時折航空機のトーイング用として使用されたのみだったという。

 その限られた試用期間や用途こそが、現在の美しい保存状態を証明する何よりの証拠といってもよいのだろう。

 出品者は2017年にこのウニモグを発見。2019年には公道を走行するためのTUV(テュフ・ライランド)の認証のすべての措置が講じられ、ヴィンテージカー証明書も取得された。

 トルクコンバーターが付いた6速トランスミッション、NATOの前後牽引ヒッチ、デュアルブレーキシステム、そして2万2000kgもの容量を持つリアの牽引ヒッチ。

 はたしてこのウニモグをどのように使うのか。その用途はまさに無限大だ。どのようなオフロードカー、あるいはSUVのイベントにいっても、このウニモグが最強の存在となることは、誰もがそれを認めるところだろう。

 現在(2020年9月17日現在)、エスティメートが620万円−870万円でセール中である。