かつてのクルマのウインカーは点滅するだけでしたが、その後流れるように点灯するウインカーが流行りました。しかし最近では、デイライトとウインカーの機能を兼ねるダブルファンクションタイプが登場しました。

続々と採用される新しいタイプのウインカーとは?

 長い間、クルマに備わる純正ウインカー(ターンシグナル)はただ点滅するだけでした。しかし10年ほど前、突如として「シーケンシャルウインカー」という新しいタイプが誕生しました。

 シーケンシャルウインカーとは、横長のウインカーが内側から外側へ向かって流れるように光る仕掛けです。

 そのアイデアは、日本ではかつてデコトラのドレスアップとして流行したことがありましたが、量産市販車へ採用されたのは筆者(工藤貴宏)の調べた限り、2009年に発表されたアウディ「A8」でした。

 採用した理由についてアウディは、「個性を高めるほか、視認性が高くて安全につながる」と説明します。

 その後アウディの多くのモデルに採用され、2014年末の法改正では「連鎖式点灯方向指示器」として日本でも正式に認可されています(それまでは基準が定められていないグレーな状態)。

 それを受けて、レクサスやトヨタなど国産ブランドへ採用が広がり、いまではホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」など軽自動車にも採用されました。

 しかし昨今、シーケンシャルウインカーとは異なる、新たなスタイルのウインカーが増えているのです。それは、ダブルファンクションのウインカーです。

 ダブルファンクションとは、デイライトとウインカーの機能を兼ねる仕掛けで、通常はデイライトとして透明または白く点灯。

 ウインカーとして点滅する際は、オレンジに光るだけでなく、ウインカーが点滅する側のデイライトが消灯する仕掛けとなっています。

 このダブルファンクションのウインカーは、デイライトと兼ねるという機構ゆえにフロントのみに採用。

 ヘッドライトユニットに組み込まれる場合と、ヘッドライトとは独立してバンパーに備えるパターンがあります。

 ボルボやミニといった欧州車に採用されているほか、国産車で積極採用しているのがトヨタです。

 2020年6月に発売された新型「ハリアー」や「C-HR」の最新モデル、「ヤリス」「ヤリスクロス」など採用が拡大しています。

 また2020年秋にデビューするホンダ新型「N-ONE」は、ヘッドライト周囲を取り囲むように組み込まれて独自の丸目スタイルを演出したり、スバル新型「レヴォーグ」も「コ」の字のデイライトがウインカーとしての機能も果たします。

 なかには、アウディやジャガー、ランドローバーの最新モデルなど、シーケンシャルかつダブルファンクションのウインカーもあり、ますます増えそうな気配です。

ふたつの機能を持たせるメリットは?

 デイライトとウインカーをダブルファンクションにするメリットとは、どのようなことなのでしょうか。

 インポーターや開発者に確認してみたところ、ふたつのライト機能を兼ねることで、デザインをスッキリできるというメリットがあるようですが、決定的な答えは得られませんでした。

 LEDの数が減らせてコストを軽減できるのかと思いきや、「基本的にはデイライトとウインカーは別のLEDを光らせるので、部品点数を減らせるわけではない」といいます。

 実用面からのアプローチというよりは、“新しさ”や“個性”を演出するための仕掛けという意味合いが強いのかもしれません。

 ウインカーの進化といえば、シーケンシャルウインカーや一般的なダブルファンクションのウインカーとも異なる、個性的な光り方をするウインカーを組み込む車種もあります。

 それはマツダ「CX-30」に組み込まれた「ディミングターンシグナル」と呼ばれるものです。

 その特徴は、ウインカーが「パッ」と点灯して「じんわり」と消えること。光源はLEDですが、本来は点灯だけでなく消灯も瞬時で光が残らないのがLEDの特徴です。

 マツダは、「マツダらしいウインカーの表現をしたいという考えにはじまり、生き物の鼓動をイメージさせるような演出から生まれた」と説明します。

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 ウインカーはここ数年で従来とは異なる光り方をするようになりました。そして、クルマの表情により多くの変化をつけたともいえるでしょう。

 そんなウインカーの変化はLEDの採用があったからこそ進化したといえますが、今後はさらにいろんなスタイルが登場するに違いありません。