2020年9月16日に世界初公開された日産新型「フェアレディZ」のプロトタイプのメーターには、いくつかの数字が表示されています。これらの数字は、どのようなことを意味しているのでしょうか。

総走行距離「1969km」は何を意味している?

 2020年9月16日9:30(日本時間)、ついに日産「フェアレディZ」のプロトタイプが世界発表されました。グローバルでの車名は正式に発表されていませんが、予想通り「NISSAN 400Z」で決まりかもしれません。

 新型Zは同年9月17日から神奈川県横浜市にある日産パビリオンで一般向けの公開が始まり、筆者(加藤久美子)もさっそく実車を見に行ってきました。

 パビリオンに入るとまず、1969年にデビューした初代フェアレディZが出迎えてくれます。横には発表されて間もない新型「アリア」が並び、そして奥に新型フェアレディZプロトタイプがスポットライトを浴びて展示されていました。

 平日にもかかわらず、家族連れや多くの方々が発表間もない新型Zを見に来ていました。

 なお、銀座プレイス内にあるギャラリー「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」では1/4サイズの新型フェアレディZプロトタイプの模型が展示されました。

 新型フェアレディZプロトタイプのメーターには総走行距離や航続可能距離など、いくつかの数字が表示されたのですが、これらの数字には新型Zのヒントとなる意味が隠されているようです。

 新型フェアレディZプロトタイプに装備されている12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイには、下記のような数字が表示されています。

・走行距離(積算距離):1969km
・航続可能距離:370km
・ENG OIL TEMP(油温):100℃
・ENG OIL PRESS(油圧):400kPa
・WATER TEMP(水温):90℃
・DIFF OIL(デフオイル):130℃

「1969」「370」「130」など、フェアレディZに関心がある人ならこの数字の意味がお分かりかと思いますが、どのような意図があるのでしょうか。

 このプロトタイプ車両は実際に走行が可能とのことですが、1969kmという数字は実際の総走行距離ではありません。

 1969という数字は、初代フェアレディZ(240Z)が先代の「ダットサン・フェアレディ」のあとを継いで発売された、Zの歴史が始まった記念すべき年を意味しています。

 積算距離を表すオドメーターの数字に1969を使ったことは、1969年からずっと続いているZの歴史を新型になっても引き継いでいくという意味も込めているのでしょう。

 もちろん、油圧計や水温計、残可能走行距離に使うには不自然な数字なので使うとしたら積算計しかないといえばそれまでですが、初代フェアレディZのデザインコンセプトが引き継がれているところが多々あります。

 ちなみに、新型フェアレディZプロトタイプには、もう一か所「1969」という数字が刻まれている箇所があります。それはリアウィンドウの一番下です。

「Since 1969」とは「1969年からZの歴史が始まった」ことを意味しています。

「370」と「130」が意味するものは? 気になる「400」という数字は?

 航続可能距離370kmとデフオイル130℃は、どのようなことを示唆しているのでしょうか。

 航続可能距離とは、残りのガソリンであとどれくらい走行できるかということを表すものですが、ここにある「370」とは、現行フェアレディZ(Z34系)のことを意味しています。

 いままさに走っているZという意味も兼ねているのかもしれません。

 フェアレディZとしては通算6代目のモデルとなるZ34系は、日本以外のほとんどの国では「NISSAN 370Z」という車名で販売されています。

 370は3.7リッターエンジンのことで、先代モデルとなるZ33は海外では「350Z」という車名でした。Z34は排気量を200cc増やして3.7リッターとなったことで、350Zから370Zへと車名が変わっています。

 そしてDIFF OIL(デフオイル)130℃の「130」とは1969年から1978年まで続いた初代フェアレディZ(S30系)に続く、2代目フェアレディZの型式名「S130」の数字を意味しています。

 一方、ENG OIL TEMP(油温)の100、WATER TEMP(水温)の90は何を意味しているのか不明でした。

 関係者に聞くと「それっぽい数字を入れただけでは」という意見が多かったのですが、90はもしかしたら比較されがちなトヨタ「GRスープラ(A90)」のことなのかもしれません。

 そしてENG OIL PRESS(油圧)の「400」という数字は、じつはもっとも重要なことを示している可能性があります。

 日産ではまだ公式には発表していませんが、新型Zのグローバルでの車名は「Z400」になる可能性が濃厚です。

 とくに海外メディアでは「Z400」として当たり前のように紹介しているケースが多くみられます。

 5代目・6代目のZは海外では「フェアレディZ」ではなく、5代目Z33系は日産「Z350」、現行のZ34系は「Z370」と、「Z+3ケタの数字(排気量)」の車名となっています。

 同様に、Z400は4リッターエンジンが搭載されることを意味しているのでしょうか。

 それは違うようです。新型Zに搭載されるエンジンについて、日産自動車は公式に「V6ツインターボエンジン」であると発表しています。

 日産が現行車へ搭載するエンジンで、V型6気筒ツインターボエンジンといえば、日本では2019年9月にマイナーチェンジした「スカイライン」の最強モデル「400R」に積まれている「VR30DDTT」エンジンがあります。

 コンパクトで軽量な3リッターV型6気筒ツインターボエンジンで、先んじて米国で販売されるインフィニティ「Q50」に搭載されており、日産史上最高の進化を遂げたV6エンジンと評価されています。

 なお、この400Rの「400」とは排気量ではなく最高出力405馬力を意味しています。

 新型フェアレディZに搭載されるエンジンがスカイライン 400Rとまったく同じとは限りませんが、メーターパネルの数字「400」が示す通り、海外名は400Zになることはほぼ間違いないと思われます。

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 新型フェアレディZ プロトタイプのステアリング右側のセンターディスプレイを見ると、「Can’t Wait This NISSAN NEXT Z」という曲が流れている設定になっています。「日産の次期Zが待ち遠しくてたまらない!」という曲名です。

 さらに、画面の右上にある時計表示は2:40を指しています。これは初代フェアレディZのか「240Z」を表す数字であることは間違いないでしょう。なかなか小ワザがきいています。

 ほとんど誰も気にしないようなトリビア的な数字にも、新型フェアレディZに対するエンジニアの思いや1969年から始まる歴代Zの集大成として開発されたことが伝わってきます。