サスペンションのスプリングを交換して車高を高くしたり低くしたり、バンパーの交換で全長を長くする、フェンダーの拡大によって全幅を広くするなど、後からクルマのサイズ変更は可能です。一方で、大胆にボディに手を入れ、ボディサイズの変更をおこなったクルマが存在。そこで、大胆な手法でサイズ変更したクルマを3車種ピックアップして紹介します。

メーカーならではの方法でボディサイズを変更したクルマたち

 クルマのカスタマイズの手法として、ボディサイズの変更があります。サスペンションのスプリングを交換して車高を高くしたり低くしたり、バンパーの交換で全長を長くする、フェンダーの拡大によって全幅を広くするなど、さまざまです。

 そうした改造はクルマを買ってからも可能で、一定の寸法を超えてもきちんと届け出をすれば合法的におこなえます。

 一方、パーツの交換ではない手法でボディサイズを変更したクルマが存在。そこで、大胆にサイズ変更したクルマを3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「クラウンエイト」

 1955年に誕生したトヨタ初代「クラウン」は、まだ庶民にとってマイカーが夢の時代とあって、発売当初から憧れの存在になりました。

 そして、1962年には2代目にモデルチェンジ。ボディサイズが全長4610mm×全幅1695mm×全高1460mmと、小型乗用車枠の上限近くまで大型化されて、高級車らしい重厚さが増しています。

 この2代目をベースに、国産乗用車初の2.6リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載した「クラウンエイト」が、1964年に派生車として追加されました。

 クラウンエイトは運転手が乗車するショーファードリブンを想定して開発されたモデルで、主に法人の役員専用車やハイヤー向けに販売。

 ボディサイズは全長4720mm×全幅1845mm×全高1460mmと、2代目クラウンに対してホイールベースを50mm、前後トレッドを160mm、全長を120mm、全幅を150mm拡大することで、それまでの国産車にはない堂々とした外観と広い室内空間を実現しています。

 また、V型8気筒エンジンはエンジンブロックなどが先進的なアルミ合金製で、スムーズな回転と高い静粛性を誇り、トヨグライド2段自動変速機、パワーステアリング、クルーズコントロール、パワーウインドウ、電磁ロックドア、ライトコントロール、電動式三角窓など、贅沢な装備と共に高級車にふさわしい仕上がりとなっていました。

 クラウンエイトの価格は東京店頭渡しで165万円。クラウンのトップグレード「カスタム」のAT車が114万円でしたから、ちょうど初代「カローラ」1台分にあたる50万円ほど高額でした。いまなら200万円から250万円の差といったところです。

 その後、1967年に初代「センチュリー」が登場するまで販売され、生産終了時までの総生産台数は3834台でした。

●日産「セドリック ロイヤルリムジン」

 海外、とくにアメリカでは、VIPが乗るクルマとして「リムジン」がポピュラーな存在です。リムジンはショーファードリブンカーで、全長(ホイールベース)を長くすることでリアシートの居住性を高めていますが、多くは架装業者によってベース車のシャシを切って伸ばす手法で製作されています。

 国産メーカーではあまり馴染みがないジャンルのクルマで、過去に三菱やトヨタ、日産が、わずかながらリムジンを販売していました。

 なかでも日産には、パーソナルセダンの「セドリック」をベースにしたリムジンが存在。オーテックジャパンが7代目セドリックをカスタマイズした「セドリック ロイヤルリムジン」です。

 1987年に発売されたセドリック ロイヤルリムジンは、シャシを切って600mm伸ばしてつなぎ直す手法で製造された「ストレッチリムジン」です。

 リアの居住空間は広大で、前席と後席の間にパーテーションを設置した仕様では、後席専用のテレビやオーディオセット、ミニバーなどを装備。

 外観では専用のフロントグリルが装着され、長くなった分のBピラーに小窓が設けられています。

 当時の価格は1000万円からで、装備や内装の仕様により価格が変動し、顧客の多くは法人だったといいます。

 また、同じくオーテックジャパンが1996年に発売したモデルで、ホイールベースを150mm延長して大型のリアドアを装着した「セドリック/グロリア ブロアムL」というモデルもあり、こちらは主にタクシーやハイヤーとして使われていました。

メーカー製「チョップドトップ」なクルマとは!?

●ホンダ「N-BOXスラッシュ」

 2011年に発売された軽ハイトワゴンのホンダ初代「N-BOX」は、ライバルを上まわる広い室内空間に実現したことで大ヒットしました。

 そして2014年には、N-BOXをベースに全高を1670mmまで低くしてクーペをイメージしたフォルムの派生車、「N-BOXスラッシュ」が登場。

 N-BOXスラッシュは、アメリカで見られるカスタマイズの手法である「チョップドトップ」のように、各ピラー部分を短くすることで全高を下げています。

 さらに、リアドアがN-BOXのスライドドアに対してヒンジドアに変更されるなど、フロント部分以外のボディパネルと、すべての窓を新規で製作。

 内装も色や素材にこだわり、5つの世界観を表現した5パターンが用意されており、オーディオも8スピーカー+サブウーファーが搭載され、ディーラーオプションで内装の不要な微振動を低減する「デッドニングキット」が用意されていました。

 ほかにも、電動パーキングブレーキや、パワーステアリングのアシスト力を選択できる「モード切り替えステアリング」など、N-BOXスラッシュのみに搭載された装備が数多く存在するなど、かなりこだわったつくりとなっています。

 その後、2代目N-BOXが発売された後も、初代をベースにしたままN-BOXスラッシュは継続して販売されていましたが、2020年2月に販売を終了しました。

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 国産メーカーのクルマのボディサイズは、3ナンバー、5ナンバーといった日本独自の制限や、生産設備の制約も考慮されて設計されています。

 ほかにも、カーフェリーの運賃が全長4mを超えると高くなることから、コンパクトカーは極力4mに収まるように設計されていたり、多くの機械式立体駐車場に全幅1800mm、全高1550mmという制限があるため、これに対応しています。

 なかでもユニークなのがBMWで、かつて日本仕様の「3シリーズ」はドアノブを日本専用品に変更して全幅を1800mmに変え、初代「ミニクロスオーバー」では、ルーフアンテナのマウントを日本専用品とすることで、全高を1550mmに収めていました。