トヨタグループの総合商社である豊田通商株式会社は、アフリカ市場で新型「スターレット」を発売すると2020年9月1日に発表しました。日本では1999年まで販売されていた小型車の名前が21年ぶりに復活することになります。日本メーカーの海外専売車の名前には、日本で販売していたクルマの名前を復活させている事例がほかにもありますが、その狙いはどのようなものなのでしょうか。

21年ぶりに登場! 新型「スターレット」 命名の狙いとは

 トヨタからアフリカ市場での営業業務の全面移管を受けている豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は、トヨタ新型「スターレット」を同市場で発売すると2020年9月1日に発表しました。日本で1999年まで販売されていたコンパクトカーの車名が21年ぶりに海外で復活することとなります。

 スターレットのように、日本で販売されていたクルマの名前が海外で再度使用される場合が度々ありますが、その狙いとはどのようなものなのでしょうか。

 豊田通商は南アフリカを皮切りに、アフリカ47か国で新型スターレットを順次販売する計画です。

 新型スターレットはトヨタが新たに開発した車種ではなく、OEM車として販売されます。OEM元モデルは、スズキのインド法人であるマルチ・スズキが生産する「バレーノ」で、インドからアフリカに輸出されます。

 なお、かつてスズキはバレーノを日本にも輸出し、2020年7月頃まで販売されていました。

 豊田通商が、アフリカ市場で販売する小型車を「スターレット」と名付けた狙いは、いったいどのようなものなのでしょうか。豊田通商広報部の担当者は次のように話します。

「スターレットは英語で『小さな星』『スターの卵』を意味する言葉で、『アフリカの新車市場でスターになってほしい』という願いを込めて名付けました。

 またもうひとつの理由として、もともとスターレットという名前が現地で一定の知名度があったということが挙げられます。

 以前から、日本の中古車はさまざまな業者によってアフリカ市場へ輸出されており、品質の高さから現地で人気がありました。

 日本製のスターレットも輸出されていたことから、アフリカの人々にとってもスターレットという名前は聞いたことがあり、親しまれているのです」

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 アフリカ市場で、日本の高品質な中古車として知られていたスターレットが、新車としても親しまれる存在になるのか、注目されます。

名車「レビン」も中国で復活! 採用された背景とは?

 スターレット以外にも、日本で販売されていたクルマの名前が海外で再度使用される例は多くあります。

 例えば、ホンダが2008年まで販売していたコンパクトミニバン「モビリオ」は、アジア新興国市場向けの新たなコンパクトミニバンの車名に用いられ、2014年から販売されています。

 同じような事例として、現在はホンダの新興国向けセダンの車名に使われる「シティ」や、日産がミャンマー市場およびUAE(アラブ首長国連邦)市場で販売するセダンの車名として生き残る「サニー」などがあります。

 そしてトヨタも、「カローラシリーズ」のスポーティグレードとしてかつて存在した「レビン」の名前を中国で復活させています。

 中国には、トヨタの合弁会社として「一汽トヨタ」「広汽トヨタ」のふたつが存在しますが、現行型カローラセダンの中国仕様の名前について、一汽トヨタ版はそのままカローラと名付けられ、広汽トヨタ版はレビンと名付けられているのです。

 レビンの名前を中国で再び用いた背景についてカローラのチーフエンジニアである小西良樹氏は次のように説明します。

「中国では、日本でも社会現象化した漫画『頭文字D』の影響から、レビンやトレノという車名の知名度は高いといいます。

 また、レビンは稲妻などの意味を持ちますが、中国の方々は稲妻といった言葉を好む傾向にあるようで、そのような背景からレビンという車名を採用しました」

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 新型スターレットの事例からも分かるように、日本車の名前の知名度は、多くの日本人が想像する以上に高いのかもしれません。