最近のトヨタは、「ライズ」「カローラ/カローラツーリング」「ヤリス」「ハリアー」「ヤリスクロス」など続々と新型モデルが登場するなか、往年の人気車「プリウス」もまだまだ現役のようです。なぜ、プリウスは堅調に売れ続けているのでしょうか。

一部改良と、元王者の「格」で踏ん張る?

 2019年から2020年にかけてトヨタの新型車の躍進が続いており、「カローラ(セダン)」「カローラツーリング(ワゴン)」、「ヴィッツ」を一新したコンパクトカー「ヤリス」など、大ヒット車種が続々と登場しています。
 
 その一方で、往年の人気車「プリウス」はカローラやヤリスに反比例する形で徐々に販売台数を落としているものの、新車市場で見ればまだまだ売れ筋モデルです。

 現行プリウスは、2015年に登場した4代目モデルです。

 発売当初は、「歌舞伎顔」と呼ばれるフロントマスクが賛否を呼びましたが、2018年におこなわれたマイナーチェンジでデザインを一新した結果、2019年には普通車販売台で首位に輝きました。

 しかし、その後2019年夏頃にはトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」が販売台数上位となり、秋頃には前述のカローラシリーズやコンパクトSUVのトヨタ「ライズ」が登場。そして、2020年2月にヤリスが登場したことが影響して、プリウスの販売台数が落ちているのです。

 とくに、カローラシリーズとヤリスは、プリウスのターゲットユーザーと被る部分があり、カローラ(セダン)はプリウスと似たようなパッケージにも関わらず、最新機能や価格帯がプリウスより抑えられています。

 また、ヤリスはプリウスよりも下のクラスですが、プリウスが得意とする燃費性能において、それを凌駕することもあり、その面ではライバルとなっているのです。

 直近の販売台数では、カローラシリーズは、1位を4回、それ以外もトップ5を維持しており、ヤリスも1位を5回、それ以外もすべてトップ3圏内となるなど、好調な販売となっています。

 ほかにも、前述のライズをはじめ元祖ラグジュアリーSUV「ハリアー」やヤリスのSUV版ともいえる「ヤリスクロス」(ランキングではヤリスに含まれる)が相次いで登場したことで、王者プリウスの存在感が薄れているのは事実です。

 2019年夏頃から順位を下げていますが、最低でも14位とトップ15を維持しているうえ、直近の2020年9月も11位と健闘しています。

 なぜ、プリウスはここまで踏ん張れているのでしょうか。トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。

「プリウスは、2020年7月に一部改良がおこなわれ、安全装備面が改良されました。

 そのなかで、トヨタ車として初めて急なアクセル時に加速を抑制する『プラスサポート』がオプションとして追加されたほか、安全装備に特化した特別仕様車が追加され、これらが注目を集めています。

 この一部改良が直接的に販売へ影響しているというより、安全対策への意識の高さにより再注目されているという印象です」

プリウスが踏ん張れるワケは、安全に対する意識と培った信頼の結果!?

 2020年7月1日、プリウスは安全装備と給電機能を中心とする一部改良がおこなわれました。

 安全機能の「Toyota Safety Sense」において、「プリクラッシュセーフティ」の検知範囲拡大や、「レーダークルーズコントロール」の機能が向上したほか、急アクセル時加速抑制機能である「プラスサポート」をオプションとしてトヨタ車で初設定しています。

 さらに、今回の改良にあわせ、さらなる安全・安心機能を充実させた特別仕様車「S“Safety Plus II”」を新設定し発売しています。

 同スタッフによれば、今回の一部改良は「2019年に池袋で発生した事故など、踏み間違いによる事故への対策という意味もある」と話しています。

 過去、プリウスのペダル踏み間違いによる事故は、インターネット上などでは「プリウスミサイル」と揶揄されるほど話題に登りました。

 今回の一部改良は、かつての事故により失ったイメージを回復するきっかけとなっているようです。

 プリウスへのユーザーの反応について、前出とは別のトヨタ販売店スタッフは以下のように話します。

「プリウスがこれまで獲得してきた、『人気のクルマ』というイメージは、今でも根強く残っています。

 今でこそほかの新型モデルのほうが売れていますが、現行プリウスは昨年までは販売台数トップのクルマでした。

 実際に、先日プリウスを契約された人は『ほかとは格の違うクルマ』と仰って頂きました」

※ ※ ※

 現行プリウスは、2015年の登場後、2016年、2017年、2019年と年間販売台数ランキングで、普通車(軽自動車をのぞく)のトップに君臨していました。

 新型モデルにはない「信頼」と「実績」こそ、プリウスが今も販売台数を大きく落とすことなく踏ん張っている要因なのではないでしょうか。