現在、国産自動車メーカー各社は、海外にも生産拠点を持っており、現地のニーズに合わせたクルマや、グローバルで展開できるクルマの製造をおこなっています。そうした取り組みは1980年代に始まり、一部のクルマは日本にも輸入されるようになりました。そこで、海外生産車で日本でも販売されたモデルのなかから、特徴的なデザインのクルマ3車種をピックアップして紹介します。

初期の海外生産車は意外とスタイリッシュだった!?

 現在、各国産メーカーは、日本だけでなく海外にも生産拠点を展開しています。海外で生産されるクルマは、現地のニーズに合わせたモデルや、世界中に輸出されるモデルがあり、なかには日本にも輸入されているモデルも存在。

 海外生産の取り組みは1980年代から始まっており、現行モデルではトヨタ「ハイラックス」や日産「マーチ」、ホンダ「シビック ハッチバック」などが、海外で生産され、日本でも販売されているモデルです。

 そこで、初期の海外生産車で日本でも販売されたモデルのなかから、特徴的なデザインのクルマ3車種をピックアップして紹介します。

●ホンダ「アコードクーペ」

 ホンダは1982年に、他社に先駆けてアメリカでの生産を開始しており、現地生産第1号車は2代目「アコード」でした。

 そして、1985年に登場した3代目アコードでは、初の試みとして企画段階からアメリカホンダでおこない、アメリカ工場で生産するモデルとして、初代「アコードクーペ」が誕生します。

 アコードクーペは文字どおりアコードの2ドアクーペ版で、シャシはセダンと共通ながら内外装のデザインや装備、足まわりのセッティングなどをアメリカホンダが担当しました。

 1988年に日本へ輸入されて販売が開始されましたが、日本のアコードには存在しないクーペというボディ形状や左ハンドル仕様、BOSE製のハイエンドオーディオシステム、クルーズコントロールを標準装備するなど、アメリカらしさを感じさせる華やかな1台です。

 その後1990年には2代目、1994年には3代目へとモデルチェンジしましたが、日本での人気低迷もあり、4代目以降は輸入されませんでした。北米では7代目まで登場しましたが、それも2018年に生産を終えています。

 なお、ほかにも「アコードワゴン」や「シビッククーペ」、「エレメント」、そして現行モデルの「NSX」などが、アメリカ工場で生産され日本で販売されたモデルです。

●トヨタ「キャバリエ」

 トヨタはGMと提携して、1996年にシボレー「キャバリエ」を日本で発売。製造はGMが担当し、トヨタにOEM供給してトヨタブランドで販売するという、「日米産業協力プロジェクト」の一環で誕生したモデルです。

 日本で販売するにあたっては、右ハンドル化やウインカーレバーの移設、灯火類などが細かく改良され、当然、各エンブレムもトヨタのものに変更されています。

 ボディは2ドアクーペと4ドアセダンをラインナップし、サイズは全長4595mm×全幅1735mm×全高1395mm(セダン)と、アメリカ車ながらも国産ミドルクラスと同等でした。

 外観は当時のアメリカでのデザイントレンドを色濃く反映しており、トヨタ車としては違和感がありましたが、当時の日本では新鮮な印象に捉えられました。

 搭載されたエンジンは150馬力を発揮する2.4リッター直列4気筒で、スペック的には標準的です。

 キャバリエはCMキャラクターに所ジョージを起用するなど、販売促進は力が入れられ、価格も181万円(消費税含まず)からと安価に設定されましたが、ヒットすることなく2000年には輸入が打ち切られ、販売を終了。

 現在はごくわずかな中古車が流通していますが、路上で見かけることは滅多にありません。

三菱「スタリオン」の弟分として開発されたスタイリッシュなクーペとは

●三菱「エクリプス」

 三菱は1985年に、クライスラーと提携して「ダイヤモンドスター・モーターズ(現、三菱モーターズ・ノース・アメリカ)」をアメリカに設立。

 ダイヤモンドスター・モーターズ設立は、よりアメリカ市場のニーズにマッチしたクルマの開発をおこなうことを目的とし、1989年には同工場で生産された初代「エクリプス」が発売されました。

 エクリプスはアメリカ市場向けに企画・開発された3ドアハッチバッククーペで、当時、日本で販売していたセダンの6代目「ギャラン」がベースです。

 外観はリトラクタブルヘッドライトを採用した流麗かつスポーティなフォルムで、トップグレードの「GSR-4」には200馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせ、生粋のスポーツカーに仕立てられていました。

 初代エクリプスは1990年に日本でも販売を開始。内装は左ハンドルのままで、当時アメリカの法規に則って採用されていた、イグニッションキーをオンにすると自動的にシートベルトが装着される、電動フロントシートベルトを国内モデルで初めて装備していました。

 その後、1994年に2代目が登場し、2004年から3代目のオープン仕様「エクリプススパイダー」のみが日本に輸入されましたが、ニーズの低下から4代目以降は販売されませんでした。

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 今回紹介した3台はすべてアメリカ製のモデルで、1970年代から1990年代に日米間で大きな問題となっていた貿易摩擦の解消という政治的な背景もあり、アメリカ製のクルマが輸入されたということです。

 その後、現地生産の拡大によって貿易摩擦の問題はあまりクローズアップされなくなり、現在に至ります。

 面白いのは、近年、アメリカで日本専売車が人気となり、日本で1980年代から1990年代に生産されたモデルの中古車が、大量にアメリカへ輸入されていることです。

 あれほど過激なジャパンバッシングがおこなわれた頃を思うと、考えられない現象ではないでしょうか。