ホンダが中国市場で新型「ライフ」を発表しました。「Z世代」に向けて開発されたといいますが、彼らが好むクルマとはいったいどんな車種なのでしょうか。

中国の若者に人気のクルマとは?

 2020年10月15日に、中国の武漢で武漢モーターショー2020が開幕しました。

 世界を震撼させた新型コロナウィルス感染症の発生源ということもあり、今回のモーターショーは完全に元通りに戻った武漢をアピールするという狙いもあったようです。そして、ホンダは武漢モーターショーの場で、新型「ライフ」を発表しました。

 ホンダ・ライフといえば2014年まで日本国内で販売されていた軽自動車を思い浮かべる人が多いと思いますが、今回発表された新型「ライフ(来福)」は既に広汽ホンダから発表されている「フィット(飛度)」の東風ホンダ版の姉妹車となります。

 東風ホンダのライフはその可愛らしさと、「人間主体」のシンプルさを兼ね備えたデザインをもって「Z世代」向けに商品開発をおこなったと強調しています。

「Z世代」とは、おおむね1990年代以降に生まれたデジタルネイティブ世代(生まれたときからパソコンが身近にあった世代)を指したもので、英語での「ジェネレーションZ」に由来しています。

 中国では「Z世代」よりも、生まれた年代で区分けする「80後」「90後」「00後」などの表現が一般的です。

 車格もデザインもまったく異なるものの、日本で親しまれてきた軽自動車のライフも、各時代の若者たちに支持されてきました。そのキャラクターが、今回発表された中国向けライフにも受け継がれているといえるでしょう。

 すでにティザーサイトも公開されており、日本のアニメ文化が好きな若者に人気のある動画共有サイト「bilibili動画」にて、100万以上のフォロワー数を誇る絵師の「比比比目魚」氏や「小熊紳士」氏とのコラボ企画も展開されています。

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 中国の若者たちに人気のクルマにはどのようなものがあるのでしょうか。

 1990年代以降に生まれた「90後」と呼ばれる中国の若者は、高価格帯の保守的な大型セダンよりも、低価格でスポーティな見た目を持つミドルサイズ以下の車種を好む傾向にあります。

 中国全体で見ればホンダ「シビック」や「アコード」が人気を集めていますが、それぞれの地域に絞るとその事情はまた異なってきます。

 比較的高級なクラスで見ると中国北部や東部、中央部の若者にはアウディ「A4L(A4のロングホイールモデル)」、東北部の若者にはメルセデス・ベンツ「Cクラス」が人気のようですが、南部の若者はどちらかというと環境性能で車種を選ぶことが多いとされています。

 中国国内の自動車ブランドに対しては、依然として“恥ずかしさ”を覚える若者も少なくないようですが、国内ブランドのなかでも先進的でスポーティなイメージを打ち出しているジーリー(吉利)の若者向けブランド「リンク・アンド・コー(Lynk&Co、領克)」は若者たちに大人気です。

 同ブランドはジーリーとその傘下のボルボが2016年にローンチさせた新興ブランドで、PHEVやEVなどの新エネルギー車はもちろん、購入もオンライン上でおこなえることや月額制での購入など、さまざまな新しい試みにチャレンジしているブランドとしても知られています。

 2018年10月には日本の富士スピードウェイへ合計500名以上の中国メディアや顧客を招待し、同社セダン「03」の走行会とローンチイベントを盛大に執りおこないました。

中国人も注目! 「赤いマツダ車」人気の訳は

 2019年の中国国内での新車販売台数を見てみると、販売トップ10は1位がフォルクスワーゲン(以下、VW)「ラヴィダ」で、以下、ハヴァル「H6」、五菱「宏光」、トヨタ「カローラ」、日産「シルフィ」、VW「サギター」、ビュイック「エクセルGT」、VW「ボーラ」、VW「サンタナ」、ホンダ「シビック」と続きます。

 トップ10のうち8台はCセグメントに属するセダンです。また、VWが4車種もランクインしていることから中国でのVW人気の高さがうかがえます。

 VWは欧州メーカーで最初に中国上陸を果たした歴史を持ち、とくにサンタナなどの車種は世代を超えて中国人に愛され続けているアイコニックな車種といえるでしょう。

 ランキング上位のなかでは唯一のアメリカブランドであるビュイックも非常に人気があります。アメリカのGM社が展開するプレミアム志向のブランドですが、いまでは本国よりも中国市場に力を入れています。

 2位のハヴァル・H6は長城汽車(GWM)が展開するSUVブランドのミドルサイズSUVで、毎年ランキング上位に君臨し続けています。3位の五菱・宏光は、上海汽車とゼネラルモーターズ(通用汽車)が設立した合弁企業、上汽通用五菱の7人乗りMPVです。

 依然としてVWの人気が高い中国市場ですが、日本メーカーも負けているわけではありません。

 2019年の国籍別販売シェアを見てみると、やはりトップに君臨するのはシェア39.2%の民族系と呼ばれる中国ブランドですが、それに次いでドイツ系は24.2%、日系は21.3%と続いています。

 品質の高さや壊れにくさ、そして手の届きやすい価格も支持される理由です。

 中国市場ではトヨタ、日産、ホンダ3社の販売台数は非常に近い数字となっています。2019年の累計ではトヨタは162万700台、ホンダは155万4433台、3位の日産は154万6891台を販売しました。

 やはり新エネルギー車への関心度が高い中国市場にて、積極的にハイブリッド車の投入をおこなってきたトヨタやホンダ、そして電気自動車が強みである日産への人気は必然的なものといえます。

 そのほかのメーカーでは、意外にもマツダが中国市場にて奮闘しています。とくに「マツダ3(中国名:マツダ3アクセラ)」は一世代前のモデルからそのスポーティさが若者の支持を集めました。

 現行モデルは2019年8月に長安マツダが現地生産を開始し、同年11月に開催された広州モーターショーにて2020年中国カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことも発表されました。

 マツダが2013年から採用している「魂動デザイン」も大きく影響しています。魂動デザインのテーマカラーとして大きく打ち出されているソウルレッドのボディカラーが「赤色を縁起の良い色と考えている中国人に対して、とても人気が高い」(マツダ広報)からだそうです。