クルマの前部はフロントフェイスと呼ばれるように、まさに顔です。顔を構成する部品のひとつが目にあたるヘッドライトですが、近年はLEDヘッドライトの普及によってデザインの自由度も高くなりました。現在、吊り上がった形状のシャープなデザインがトレンドで、ほかのクルマを威嚇するような顔が増えました。そこで、とくに眼光が鋭いクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

相手を威嚇するような眼光鋭いクルマを振り返る

 クルマの見た目を印象づける大事なポイントはフロントフェイスではないでしょうか。その名のとおりクルマの「顔」にあたる部分で、構成するパーツで重要なのが「目」にあたるヘッドライトです。

 ヘッドライトは自動車製造の黎明期である19世紀には誕生し、最初は灯油や可燃性ガスを燃やした火で照らす燃焼式でした。

 その後電球が発明されると20世紀にはクルマにも搭載され、規格サイズのシールドビームがアメリカから普及すると、より長寿命で明るいハロゲンヘッドライトが登場。

 さらに放電によって光るHIDが誕生し、現在はLEDヘッドライトが一般的になりました。

 初期のLEDヘッドライトは高額だったことから高級車を中心に搭載されましたが、コストが下がったことで、いまでは軽自動車やコンパクトカーにも採用されています。

 LEDヘッドライトの利点としては、長寿命で明るくて消費電力が少なく、高機能化やデザインの自由度が高くなるなどが挙げられ、なかでもこれまで不可能だった形状のヘッドライトが可能となりました。

 近年は吊り上がった形状のシャープなデザインがトレンドで、ほかのクルマを威嚇するような顔が増えた印象があります。

 そこで、とくに眼光が鋭いクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「ノート」

 日産は2020年11月24日に、新型コンパクトカーの3代目「ノート」を発表しました。全車パワーユニットがシリーズハイブリッドの「e-POWER」となったことが、最大の特徴です。

 3代目ノートの外観は2代目のフォルムを踏襲した5ドアハッチバックですが、フロントフェイスをはじめ細部は大きく変わっています。

 なかでもフロントフェイスは日産のデザインコンセプトである「Vモーション」を強調し、フロントからサイドに回り込むような形状の薄型ヘッドライトによって、先代よりもシャープなイメージです。

 ヘッドライトは標準ではハロゲンですが、メーカーオプションでLEDヘッドライトが装着でき、フロントフェイスの印象が大きく変わります。

 ボディサイズは全長4045mm×全幅1695mm×全高1505mm-1520mmと5ナンバーサイズですが、ワイド感のあるフロントフェイスによって、数字よりも大きく見えます。

 3代目のパワーユニットは、発電用エンジンが1.2リッター直列3気筒と変わっていませんが、最高出力が79馬力から82馬力に向上。

 駆動用モーターも最高出力が従来の109馬力から116馬力にパワーアップしており、さらに加速性能の向上が期待できます。

 ほかにもアクセルペダルのみで発進から減速、停止までできる「e-POWER Drive」を継承し、「プロパイロット(ナビリンク機能付)」を日産の国内モデルで初搭載するなど、先進安全技術も大きく進化しました。

 価格(消費税込、以下同様)は202万9500円から218万6800円で、発売は2020年12月23日の予定です。

●トヨタ「カムリ」

 トヨタは1980年に、ミドルクラスセダンの「セリカ カムリ」を発売。その名のとおり、セリカのスポーティなイメージを継承するセダンとして企画されたモデルです。

 その後「カムリ」単独の車名に変えられて代を重ね、2017年に登場した現行モデルは10代目にあたります。

 カムリは「RAV4」や「カローラ」と並び、トヨタがグローバルで販売する主力車種の1台で、とくに北米ではトップセラーのひとつです。

 発売当初、10代目のデザインの大きな特徴として、フロントフェイスにトヨタのデザインコンセプトである「キーンルック」が採用され、これまでにない大きな開口部があるバンパーが挙げられ、大いに話題となりました。

 そして、2018年8月には「WS」グレードが追加され、フロントフェイスのデザインが大きく変わり、よりスポーティな装いとなっています。

 ヘッドライトは全車LEDを採用。スタンダードモデル、WSともに、力強い印象のフロントフェイスを演出しています。

 ボディサイズは全長4885mm×全幅1840mm×全高1445mmと、主戦場の北米を意識して大柄ですが、この大きさを上手に利用した伸びやかで流麗なフォルムは、美しさを感じさせます。

 なお、国内仕様のパワーユニットは、全車2.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドです。

 価格は348万5000円から464万8000円で、4WDも設定されています。

●マツダ「マツダ3」

 2003年にデビューしたマツダ「アクセラ」は、1963年に発売された大衆車「ファミリア」の流れをくんだコンパクトカーです。当時はマツダの基幹車種であり、世界戦略車として発売されました。

 そして、2019年5月のモデルチェンジで日本国内向けの車名がアクセラから「マツダ3」に変更となると同時に、内外装を一新。

 フロントフェイスは生命感をカタチにするマツダのデザインコンセプト「魂動」を深化させ、ボディは艶やかな曲面で構成された美しいラインのデザインが特徴です。

 同じく魂動デザインを採用する他のモデルに対し、マツダ3のヘッドライトは薄くデザインされており、よりシャープなイメージを演出しています。

 ボディバリエーションは5ドアハッチバック(マツダは「ファストバック」と呼称)と4ドアセダンの2タイプがラインナップ。

 搭載されたエンジンは、最高出力111馬力の1.5リッター、156馬力の2リッター直列4気筒の2種と、130馬力の1.8リッター直列4気筒ディーゼルターボ、少ない燃料で効率のよい燃焼を実現する「SPCCI」(火花点火制御圧縮着火)と、マツダ独自のマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた最高出力190馬力の2リッター直列4気筒「SKYACTIV-X」の4種類です。

 なお、2020年11月の改良で、ディーゼルとSKYACTIV-Xは出力向上が図られました。

 マツダ3の価格は222万1389円から368万8463円で、一部グレードには6速ATに加えて6速MTが設定されています。

もうすぐ登場する三菱の切り札となるSUVもイカツイ!?

●三菱「エクリプスクロス」

 1989年に登場した高性能でスタイリッシュな3ドアクーペの三菱「エクリプス」は、アメリカで生産され、1990年には日本でも左ハンドルのまま輸入車として販売したモデルです。

 その後、4代目までクーペボディのモデルのまま販売を継続していましたが、2012年に生産を終了。2017年に「エクリプスクロス」の名で、クーペスタイルのクロスオーバーSUVに生まれ変わりました。

 そして2020年9月に、フロントフェイスとリアまわりのデザインを大幅に変更し、PHEVモデルが追加ラインナップされた新型モデルが発表されました。

 フロントフェイスのイメージはマイナーチェンジ前から踏襲していますが、三菱のデザインテーマである「ダイナミックシールド」をさらに発展させ、より押し出し感を強めています。

 とくにヘッドライトが薄く切れ長になり、獰猛な印象です。

 また、PHEVモデルでは大出力のモーターにより、「ランサーエボリューションX」に匹敵する発信加速性能を手に入れたといいます。

 新型エクリプスクロスは2020年12月に発売予定です。

●ホンダ「NSX」

 ホンダは1986年から北米で高級車ブランド「アキュラ」を展開し、フラッグシップとなるスポーツカーとして、1990年に「NSX」が日米で発売されました。

 世界初のオールアルミのモノコックシャシに、新開発の3リッターV型6気筒エンジンをリアミッドシップに搭載。優れた運動性能と空気を切り裂くようなシャープなフォルムにより、和製スーパーカーと呼ばれます。

 その後、2005年に排出ガス規制の強化などを理由に生産を終了しましたが、NSXの灯は消えず、2016年に名実ともにリアルスーパーカーとなって復活。

 2代目NSXの外観はミッドシップスーパーカーにふさわしい低くワイドなフォルムで、クサビ型というよりもクサビそのものといえるシルエットです。

 フロントフェイスは歩行者保護を目的として初代よりも前端が高くなった印象ですが、切れ上がったLEDヘッドライトによって、獲物を狙う猛禽類のような精悍な顔を演出。

 パワーユニットは最高出力507馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒DOHCツインターボエンジンに、3基のモーターを組み合わせた「SPORT HYBRID SH-AWD」で、システム最高出力581馬力を誇り、まさに日本を代表するスーパーカーであり続けています。

 NSXの価格は2420万円からですが、現行モデルの受注は終了しており、2022年モデルの登場が待たれる状況です。

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 クルマのデザインはその時代によって流行がありますが、近年は軽自動車から高級セダンまで、どれも怒り顔のモデルばかりです。

 一方で、独自のアイデンティティを貫いているスズキ「ジムニー」や、トヨタ「センチュリー」といったモデルもあるのも面白いところではないでしょうか。

 優れたデザインとは見る人によって評価が異なりますが、10年後、20年後に見ても色褪せない魅力があるのが本当の優れたデザインといえ、いまのモデルは将来どう映るのか興味深いところです。