3代目へとフルモデルチェンジを遂げた日産新型「ノート」。あらゆる部分が刷新されましたが、その魅力とはなんなのでしょうか。そして…噂されるNISMO&派生車は出てくるのでしょうか。

新型ノートは、スゴい進化を遂げていた!? その魅力を徹底解剖!

 2020年11月24日にフルモデルチェンジが発表された日産新型「ノート」。実際の発売は12月23日になるのですが、ひと足お先に一般道を模擬したクローズドコース(日産グランドライブ)で試乗してきました。

 パワートレイン/プラットフォーム共に刷新されていることもあり、先代の走りから大幅に進化していると思われるので、ハードルを高めて乗りましたが、筆者(山本シンヤ)の予想を超える仕上がりに驚きました。ここではその驚きを細かく伝えていきたいと思います。

 エクステリアですが、写真で見るより日の光の下で見たほうがより良く感じました。

 リーフと同時に新型ノートを見る機会があったのですが、ノートはボディサイズがひとクラス小さいにも関わらず先進性と堂々とした存在感はリーフより上です。

 個人的にはサイドの造形にボリューム感があるともっといいのにと感じましたが、ボディサイズを5ナンバー枠(全幅1695mm)に抑えるためと思えば納得です。

 今回用意されたモデルは上級のXでしたが、オプションのアルミホイールと標準のホイールキャップを見比べると、ホイールキャップは想定外のカッコ良さ、アルミホイールは想定内かなと思います。

 インテリアもエクステリアと同様の印象です。統合型ディスプレイ採用のインパネ周りとブリッジタイプのロングコンソールが目を引きますが、全体の調和が取れた質感の高さが印象的です。

 そして高価な素材をふんだんに使っているわけではありませんが、スイッチ類の刷新や合わせ面の隙間や精度の良さなど、いい意味で日産のコンパクトカーらしくない仕上がりです。

 個人的には久しぶりに「モダンリビング」というキーワードが頭のなかに浮かびました。

 だからこそ、気になってしまったのが、2020年6月に登場した新型コンパクトSUVの「キックス」から流用の事務的な空調スイッチで、全体がレベルアップすると細かい部分が目立ってしまいます。

 居住性はフロント/リア共に十分以上のスペースが備えられています。とくにリアは実際に座ってみましたが、ホイールベースが20mm短くなった影響はほとんどなく、むしろ、先代が広すぎたのかもしれません。

 パワートレインは第2世代e-POWERと控えめな表現をしていますが、個人的には「e-POWER 2.0」と呼んでいいくらいの進化です。

 まず感じたのはいい意味で「電動車感」がより強まったことです。アクセルを踏んだときの応答性の良さや力強さは先代譲りですが、新型は「滑らかさ」と「静かさ」のレベルが全然違います。

 先代はエンジンが掛かったときの「静」と「動」のギャップに正直興ざめしましたが、新型は巧みな充電制御(充電量に応じた発電制御や路面状況に応じた発電制御)も相まって普通に乗っている限りはエンジンの存在はほとんど感じないレベルです。

 もちろんアクセル全開時にはエンジンサウンドは聞こえてきますが、体感的にはエンジンが遠くで回っているイメージなうえに音色に雑味がないので、あまりノイジーには感じませんでした。

 新型は静粛性にはかなりこだわったと聞いていますが、新プラットフォームと共に、パワートレインをe-POWERのみに割り切ったことにより、マウント類の最適化も大きく効いているはずです。

 絶対的な力強さでいうと、先代の109馬力/254Nmから115馬力/280Nmにアップされていますが、体感上はそれ以上の差であると共にこのクラストップレベルといっていいと思います。

 ドライブモードはEco(デフォルト)/ノーマル/スポーツの3タイプを用意していますがEcoは「これがノーマルでいいのでは?」と思うくらいオールラウンダーな特性。先代のS(スマート)から変更されたスポーツはその名の通り力強く元気いっぱいといった特性です。

 個人的にはこのふたつのモードで十分で「ノーマルは必要ないのでは?」と思ってしまったくらいです。

 ブレーキは先代で話題となった1ペダルのe-POWERドライブを採用していますがアクセルOFFだけでの完全停止はやめ、その代わりにクリープが可能になっています。

 これはユーザーからのフィードバック(車庫入れなどで微速コントロールが難しい)だといいますが、「より滑らかに…」という点では賛成ですが、先代ユーザーの乗り換え時にはシッカリ伝える必要もあるでしょう。

 実はe-POWERドライブの減速Gは先代と同じですが、先代のようにカックンブレーキのような唐突な感じはなく、上手なドライバーのようにGを感じさせない滑らかな制御になっているのでブレーキの度に頭が前後に揺すられることはありません。

 パワートレインより驚いたのは走りの進化です。先代はあまりレベルが高いとはいえなかったVプラットフォームをセットアップでカバーしていた感がありましたが、新型は新プラットフォーム(CMF-B)の採用で基本性能が大幅に底上げされています。

 走りはじめてすぐにわかるのがステア系で、ステアリング剛性90%アップはダテではありません。先代は操作感が軽い以外の取り柄はありませんでしたが、新型は芯があるうえに滑らかで直結感の高さと激変レベルです。

 フットワークも同様です。ノーマルモデルなのでロールは深めですが、操舵に対する応答性が高いこと、そこからのクルマの動きが滑らかかつ連続性があること、内輪を上手に使えているなど、当たり前のことが当たり前にできるようになっています。

 その結果、ハンドリングの正確性、車両の安定性、ドライバーへの安心感という部分では、ボディ/サスペンション共に専用チューニングが施された先代の「ノート e-POWER NISMO S」を大きく超えるレベルで、クルマが素直かつ気持ちよく動いてくれます。

 タイヤはブリヂストン「エコピア」でいわゆるエコタイヤを履いていますが、通常走行ではそれを感じさせない走りを実現しているので、恐らくタイヤを変えるだけでさらに化けるような気がしています。

 それでいながら乗り心地は先代のノーマルを遥かに超えるしなやかさと優しさが備えられています。

 今回は比較的路面状況が良い所での試乗でしたが、突起の乗り越えではショックの少なさ、アタリの柔らかさなどは実感できるレベルでした。

 この辺りは車両重量も効いていると思いますが、やはり基本性能の底上げが大きいのは間違いありません。

気になるAUTECH&NISMO…そして派生車の可能性は?

 新型はナビゲーション連携式のプロパイロットが設定されていますが、今回はそこに関してはチェックすることができていません。

 これはリアルワールドに持ち越しですが、ハード側の基本性能アップと相まって期待度は高いです。

 従来のプロパイロットとは異なり、新型ノートにはNissanConnectナビゲーションシステムと連動するプロパイロットを国内の日産車として初設定。これは、ナビと連動することで、地図情報から予めカーブやジャンクションの大きさを把握して、スムースに曲がれるように車速をコントロール。

 さらに高速道路上では停止後約30秒まで追従走行を継続するという、これまでのプロパイロットと、「スカイライン」に搭載されたプロパイロット2.0の間に位置するものです。ただ、プロパイロット(ナビリンク機能付)というネーミングが解り辛いので筆者は「プロパイロット1.5」と呼ぼうと思います。

 今回は展示のみでしたが、AUTECH仕様も用意されていました。

 ノーマルがどちらかというとカジュアルな印象なのに対して、内外装共にプレステージ性を高めた印象ですが、先代よりも小さな高級車感が増したように感じました。

 現時点では見た目の違いのみですが、機能面のプラスαが施されたモデルにも期待です。

 個人的にはSACHSダンパー採用の「エクストレイルAUTECH」のように、さらに乗り味を重視したフットワーク、そしてe-POWERを活かす静粛性のレベルアップ(タイヤの変更や遮音材の追加)などを施した「ツーリングスペック」などを期待したいです。

 そして、現時点ではまだノーアナウンスのNISMOにも期待です。

 ダメ元で開発陣に聞いてみましたが、NOともYESともいわない微妙な回答からすると、開発しているのは間違いないでしょう。

 先代はボディ側に大きく手を入れていましたが、新型はその必要はないでしょう。個人的には高出力エンジン+3.5kWから50kWと大幅に出力アップした電動4WDを組み合わせることで、現代版「パルサーGTI-R」のようなモデルも不可能ではないかなと思っています。

 トヨタ「ヤリス」、ホンダ「フィット」、マツダ「マツダ2」、スズキ「スイフト」と実力派揃いのBセグメントカテゴリーのコンパクトハッチバックのなかで、新型ノートはトップに躍り出たと思っています。

 かつて901活動で元気だった頃の日産が戻ってきた感があり、まさに「やったぜ日産!」です。

 ネットでは「価格が高い」という声も聞かれますが、他車のハイブリッド同士で比べてみると、決してそうではないこともわかると思います。

 筆者は「ノートはグローバルモデル、だからここまで手を入れられたんだろうな」と思っていたのですが、開発陣に聞くと「新型は99%日本専用モデルとして開発しました」と聞いてビックリしました。

 つまり、欧州は「マイクラ」、アジアは「マーチ」と先代ノートなど、各地をカバーする車種があるという判断から「選択と集中」を取ったということなのでしょうか。

 それともネットで噂されているノート派生モデル(ノート・オーラ!?)が3ナンバーボディを身に纏ってグローバルモデルとして展開されるのでしょうか。今後の展開も気になるところです。

 ちなみに日産の事業構造計画「NISSAN NEXT From A to Z」という動画で、2021年末までに12の新型車の存在を発表済みですが、「A(=アリア)」と「Z(=フェアレディZ)」のちょうど中間の位置に、日産のビジネスの観点で見ると非常に重要な存在の「N(=ノート)」がいるのは、偶然ではなく必然だったと思っています。