トヨタは、「ポルテ/スペイド」「プレミオ/アリオン」、「プリウスα」の生産終了を公式ウェブサイト上でアナウンスしました。従来、あまり大々的に生産終了を事前にアナウンスすることは稀ですが、なぜ今回の5車種は公表されたのでしょうか。

なぜ「生産終了」を事前にアナウンス? 異例なワケとは

 突如トヨタの公式ウェブサイト上に掲載された5車種の生産終了のアナウンス。

 コンパクトハイトワゴンの「ポルテ/スペイド」と、ミドルセダンの「プレミオ/アリオン」、ハイブリッド専用の「プリウス」の派生車となる「プリウスα」の生産終了が事前にアナウンスされました。
 
 これまで、事前に生産終了をアナウンスすることは稀でしたが、なぜ今回は事前に5車種の生産終了を公表したのでしょうか。

 華々しく登場したニューモデルも時が経つとその役目は終わります。しかし、その終わりをメーカー自らアナウンスをおこなうモデルは数少ないです。

 それもスポーツカーやメーカーを象徴するモデルならともかく、普通のモデルであれば尚更でしょう。

 そんななか、トヨタの公式ウェブサイトで、ポルテ/スペイドの生産を2020年12月上旬に、プレミオ/アリオン、プリウスαを2021年3月末で生産終了すると発表しました。

 ウェブサイトには「長い間たくさんのお客様にご愛顧いただきました。誠にありがとうございました」と記載されています。

 なぜ、このような発表をおこなったのでしょうか。

 それは事実上の後継モデルが存在しないため、「欲しい人は早めに注文してください」という喚起も込められているのでしょう。

 その背景には2019年に生産終了した「エスティマ」のときの反省があったと思っています。

 エスティマの生産終了はメーカーからのアナウンスではなく、くるまのニュースをはじめとする自動車メディアの発信で明らかになりました。

 しかし、すでにその時点でオーダーストップとなっており、「生産終了と聞いたので買おうと思ったが、買えなかった」という声も少なくなかったといい、実際に長年エスティマを乗り継いできた筆者の身内もそうでした。

 プレミオ/アリオンは今では貴重な「5ナンバーサイズのセダン」、ポルテ/スペイドは「ユニバーサルデザインのトールワゴン」、プリウスαは「ヒンジドアの7人乗り」という特長を持っています。

 そのため、決して凄い販売台数ではないが、一定の需要は見込めるという営業的な判断もあり販売が続けられてきました。

 結果としてプレミオ/アリオンは14年、ポルテ/スペイドは8年、プリウスαは10年というロングセラーモデルとなったわけです。

 では、なぜこのタイミングで生産終了なのでしょうか。

 それは2020年5月から始まった国内全系列での「全店舗で全車種の取り扱い」が大きかったのかもしれません。

 これまでトヨタ系列の販売店は、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店、そしてネッツ店(途中ビスタ店と統合)と5チャンネル化による専売モデルを設定していたため、膨大なラインアップを誇っていました。

 しかし、全店舗で全車種を扱うことになったため、車種整理が必要となり、2020年5月から約1年の猶予を含めると妥当なタイミングだったのかもしれません。

中国で発表された新型アリオン…日本には導入する?

 ただ、そのなかでもプレミオ/アリオンの生産終了はひとつの時代の終わりを感じさせます。

 プレミオ/アリオン自体は2001年登場ですが、元を辿るとトヨタのミドルレンジをカバーしていた「コロナ/カリーナ」です。

 コロナは1957年、カリーナは1970年と「カローラ」や「マークII」、「クラウン」と並ぶトヨタのビックネームであり、プレミオ/アリオンを含めた累計販売台数は1000万台を超えています。

 その一方で中国・広州モーターショーではトヨタの中国合併企業・一汽トヨタから新型アリオンが登場しています。

 このモデルは海外向けカローラセダンのホイールベース(2700mm)をさらに50mm伸ばした上位モデルで、例えるならば、現代版「コロナ・スーパールーミー」のようなモデルです。

 このモデルの存在から「プレミオ/アリオンがフルモデルチェンジ」というニュースも流れていますが、あくまでも海外専用モデルであり現行プレミオ/アリオンの後継モデルとして日本に導入されることはないでしょう。

 なお、車種整理という部分では、今回の5車種よりも先に2020年9月15日にコンパクトハイトワゴンの「ルーミー/タンク」がマイナーチェンジのタイミングでルーミーに統合され、タンクは新型ルーミー内の1グレードのデザインとして面影を残しています。

 この際は、タンクという車名が無くなったものの、ルーミーとして継続されるため、正式なアナウンスはなかったと思われます。