ここ最近、若年層が教習所に殺到しており、数か月先まで予約が埋まっているといいます。なぜ、コロナ禍において運転免許を取得する人が増えているのでしょうか。

「若者のクルマ離れ」は本当?

 最近、都内の自動車教習所の多くが数か月先まで予約が埋まっているといい、なかでも予約者の多くは若年層が多いようです。一時期はコロナ禍で教習所自体の生徒数が激減していたものの、なぜ最近になって運転免許を取得したい人が増加しているのでしょうか。

「若者のクルマ離れ」がさけばれる昨今ですが、たしかに都市部では5分に1本のペースで電車が来るほど、公共交通機関が発達しており、移動に困るということはありません。

 最近では、都心に限らず、千葉、埼玉、神奈川や茨城など、都心と郊外を繋ぐ鉄道が開通して、より便利になりました。

 また、クルマを持っていれば維持費や駐車場代など普段の生活に加えて多くの支出が増えるなど、金銭的な負担も少なくありません。

 このように、現代社会にはわざわざクルマを所有する必要がなくなりつつあります。

 こうした傾向は調査データにも表れています。

 自動車保険大手のソニー損保が毎年実施している「2020年度 新成人のカーライフ意識調査 (有効回答1000人)」によると、新成人の56.4%が普通自動車運転免許を取得済みです。ちなみに、AT限定が36.1%で、 MT可の普通免許が20.3%という内訳です。

 クルマ自体を持っているかどうかについては、「クルマを持っている」は14.8%、「自分のクルマを購入する予定がある」は9.7%、「購入する予定はないが、いずれは欲しい」は42.1%、「購入を検討している」は51.8%という回答結果でした。

 また「購入するつもりはない」と回答した人は33.4%と3割以上を占めています。

 理由を聞いたところ、「購入費用が負担に感じる」「移動手段が充実していてクルマに乗る必要性がない」と答える人が5割以上を占めました。

 1990年代であれば、男性がクルマを持っているのがステータスであり、クルマにかっこよく乗っている姿は、女性にモテる要因のひとつでもありましたが、クルマ離れによりそういったことも少なくなってきたようです。

 そうしたなかで、2020年はこれまでとは違う世界的な事案が発生しました。それが、新型コロナウイルスです。

 この新型コロナウイルスの影響により、いままで当たり前だった生活様式が一変します。学校ではオンライン授業化が進み、仕事においてもリモートワークが活発化しました。

 これにより、普段の授業や仕事への接し方が変化し、昼間に空いた時間が出来たという人が増えたほか、3密を避ける移動手段として、クルマが注目されたことなどによって、新たに運転免許を取りに教習所へ通う人が増加したと推測されます。

 実際に都内の自動車教習所の担当者は次のように話します。

「新型コロナウイルスにより、例年であれば2月から3月がもっとも混んでいましたが、緊急事態宣言が明けてからは何か月先も予約がいっぱいといった状況です。

 都内はとくに、どこの教習所も予約すら取れない状態で、オプションで優先的に予約を取るようなシステムも利用されている人が多いです」

 また、学生の免許取得事情について、関東の私立大学スタッフは、以下のように話します。

「構内で合宿免許を受け付ける際は特別ブースが設けられるのですが、例年のこの時期ですと申し込んでいる学生はちらほらしか見かけません。

 しかし、今年に限ってはGoToトラベルが合宿免許の対象(2020年10月31日まで)だったこともあり、相当な数が集まったことに驚きました。

 また、当初のGoToトラベルでは合宿費用が半額近くまで安くなったと聞きます。

 若者のクルマ離れやそもそも免許を持っていない若い世代が多いなんて話を聞きますが、みんな本当は欲しいけれどお金が足りないのだと感じました」

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 このように、最近の都市部では必要性が低下していた運転免許ですが、奇しくも新型コロナウイルスの間接的な影響もあり、いま再び関心が高まっているようです。