クルマの調子が悪いと感じることがあるのなら、その原因はオルタネーターの不具合かもしれません。クルマの電気依存が進むなか、重要度が増しているオルタネーターですが、どのような役割を果たすものなのでしょうか。

オルタネーターで常に発電・蓄電してクルマは走っている

 2020年10月30日、プジョーからリコールの届出がありました。

 その内容は、2015年から2016年に製造された「208」で、走行距離6万kmを超えると「オルタネーター」の出力電圧が下がる不適切なプログラムが設定されていたというものです。

 6万kmでクルマが勝手に故障に似た不具合を引き起こしてしまうことから、全車エンジンコントロールユニットを対策プログラムに書き換える改善措置をおこなうことが明らかになりました。

 今回不具合が発覚した部品であるオルタネーターとは、どのような機能を持つものなのでしょうか。

 オルタネーターは、簡単にいえばエンジンの回転を動力源にした発電機です。以前は「ダイナモ」と呼ばれる直流電流を生み出す発電機が搭載されるケースもありましたが、現在のクルマは整流器が内蔵されたオルタネーターが主流になっています。

 意外に勘違いしやすいのが「クルマの電力はすべてバッテリーから供給されている」と思いがちなこと。

 確かにバッテリー経由で電力が供給されるのですが、その容量は思いのほか少なく、実際は常にオルタネーター経由で発電された電力をバッテリーに蓄えて使っているのです。

 このオルタネーターは消耗品です。稼働部品である以上、消耗するのは仕方ない部分ではありますが、バッテリーやオイルフィルターなどと違い、交換を必要とすることすら認識されていない傾向があります。

 オルタネーターの寿命などについて、秀自動車(栃木県宇都宮市)の整備士・高島氏に聞いてみました。

「最近はステアリングが電動化されたモデルも増え、先進安全装備の各種センサー類も電動がほとんどです。それだけ電力を必要としており、オルタネーターの重要度は高まっています。

 現在のバッテリーの蓄電量がいきなり増加するわけでもないので、走行中の発電量が重要です。

 昨今のオルタネーターも十分耐久性や発電量を考慮されていますが、今後は需要が高いぶん、オルタネーターに負荷が集中しトラブルも増えそうです」

 最近では多様化する電動デバイスの増加を受けて、クルマのバッテリーを高圧化し、さらに電流容量も大きくしようとしています。

 では重要なパーツであるオルタネーターの寿命はどれくらいなのでしょうか。

「各メーカーの公称では10年または10万kmが交換の目安とされています。しかし今回のプジョーのように6万km前後で不具合が出るケースもありますし、乗り方次第ではさらに寿命が短い可能性もあります。

 とくに新品のバッテリーに交換したのにすぐにバッテリー上がりなどが発生する場合は、オルタネーターの故障が原因の可能性が高いでしょう」(高島氏)

 また、以前は、走行中は常にオルタネーターが発電していたためバッテリーが満充電されやすかったのですが、現在では電圧が一定になるようにオルタネーターを自動制御するシステムが組み込まれているケースが多いのだそうです。

「自動制御するシステムがトラブルを起こすこともあります。またオルタネーターはその性質上エンジンのすぐそばに設置されるため、夏場などでは熱にさらされやすく、壊れやすかったり、不具合を起こしやすい環境下にあるパーツともいえます」(高島氏)

知っておきたい、オルタネーター不調の前兆

 それほどまでに重要度が増しているオルタネーター。未然にトラブルを回避するためにも、不調になる前兆などがあれば知っておきたいところです。

 一概に全部当てはまるとはいえませんが、いくつか不具合の前兆があると高島氏はいいます。

●エアコンやオーディオの動作が不安定になる

 どちらも電圧が安定しないと動作が不安定になりやすい傾向がある装備です。

●エンジンの吹き上がりが悪くなる

 エンジンは燃料を噴射し燃焼させる必要がありますが、そのためのインジェクションは電動ですし、点火させるスパークプラグにも電力が必要です。エンジンの回転が吹き上がらない場合は、故障を疑う必要があります。

 またエンジンのかかりが悪い場合も、単なるバッテリーの劣化だけでなく前回の走行で十分な発電・蓄電ができていない可能性もあります。

●異音が発生する

 オルタネーターに設置されているプーリーの軸に取り付けられたベアリングがダメになると異音が発生します。これはオルタネーターが正常に作動していないサインですので、修理が必要になります。

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 オルタネーターに不具合が生じた場合、修理が必要になります。

 修理にはいくつかの方法があり、装着されているオルタネーターを分解し部品を交換して組み直す「オーバーホール」、型番などでメーカーから取り寄せる「新品」、パーツショップなどで入手する「中古品」、オーバーホール済みの「リビルド品」、といった4パターンが考えられます。

 中古品は状態や品質を判断しにくく、オーバーホールは時間と労力がかかります。そう考えると新品パーツを使うのがもっとも確実なのですが、やはりお値段は高めで工賃まで入れれば10万円コースは確実です。

「お勧めなのはリビルド品です。適合するリビルド品が必ずしもあるとはいえないので探す必要がありますが、使える中古のパーツは再利用し必要なパーツのみ新品に交換しており、品質もチェックされ新品同様の性能が保証され、価格は新品の半額程度で済みます」(高島氏)

 整備工場でも、実際にリビルド品を使える場合は、オーナーにお勧めして全体の予算を抑えるようにしてくれているそうです。