クルマは、家の次に高額な買い物といわれています。そのため、新車などを購入する際に、ひと昔前は販売店で納車式を見かける機会がありました。しかし、最近では減少傾向にあるようです。なぜ納車式は減ってきているのでしょうか。

購入者のニーズの変化とともに納車式は減少気味に

 ひと昔前はメーカー系販売店でよく見かけていた納車式ですが、最近では減少傾向にあるようです。なぜ納車式は減ってきているのでしょうか。

 その主な理由として、購入者のニーズの変化が要因のひとつとなっています。

 2020年の日本自動車販売協会連合会が発表している新車販売台数をみると、2020年1年間の売上ランキングでは、トヨタの「ヤリス」、「ライズ」、「カローラ」がTOP3となっており、日常生活の取り回しの良さや乗りやすさに重点をおいたクルマが選ばれる傾向にあるといえます。

 昔に比べて、クルマは特別な1台を迎え入れるというよりも、移動の手段として購入する人が多くなってきているため、納車式のように大々的な演出は不要に感じる人が多いのかもしれません。

 トヨタの販売店スタッフの話によると、数年ほど前から「納車式は遠慮しておく」というオーナーが増えており、「恥ずかしい」「高級車を買ったわけでもないのに大層すぎる」などの声もあるようです。

 また、納車後に販売店が実施しているアンケートの回答では「大々的な納車セレモニーが不快」という声が寄せられたことを受け、オーナーの雰囲気によって納車式の可否を判断している場合もあり、それぞれの販売店によって対応が変化しているといいます。

 実際、納車式の内容は各店舗に委ねられている場合もあり、「納車式に使える予算が少なく、どうしても簡素になってしまう。高級車ディーラーと比べると安っぽくなる」と、現実的な問題として、納車式にかかる予算や労働力を捻出できないという部分も理由のひとつとして挙げられるようです。

 一方で、フォルクスワーゲンの販売店では、「メーカーの意向として納車式をおこなう方向になっている」という話があり、納車時にプレゼントするためのロゴ入りオリジナルグッズなどはメーカーから支給されているものが多いようです。

 販売するクルマの価格帯により、クルマを購入する客層とニーズの違いがあり、それぞれ対応が分かれているといえるでしょう。

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 新車を納車するオーナーの門出を祝福する納車式は、クルマを購入する人のニーズの変化とともに、減少傾向にあるようです。

 同時に納車スタイルの変化は、人々のクルマへの意識の変化を象徴しているともいえるでしょう。

新車の納車式はどんなことをするの?

 減少傾向にある納車式ですが、実際にはどのようなことがおこなわれるのでしょうか。

 トヨタ販売店のスタッフは、納車式について以下のように説明します。

「納車日の前に招待状を送付し、当日は手書きのメッセージボード、メッセージカードを作成して予約席を用意します。

 納車式では担当の販売スタッフによるクルマ説明と、店長やマネージャーからもお礼の挨拶をし、最後に記念撮影をおこないます。

 納車式が終わってオーナーが帰宅する際は、できるだけ店舗全員でお見送りをするようにしています」

 納車式でおこなわれる内容としては、クルマの説明、役職者による挨拶、写真撮影、職員全員のお見送りが基本なようです。

 記念撮影では、大きなレプリカキーを持って撮影する場合もあり、レプリカキーの用意は店舗によって異なりますが、写真映えするようなディーラーの工夫が見られます。

 販売店によっては、納車式の際に撮影した記念写真をその場でプリントアウトし、フォトフレームに入れてプレゼントしてくれるところもあるそうです。

 それぞれ趣向を凝らしたプレゼントやサプライズ演出で、オーナーの納車セレモニーを盛り上げようとしている様子がうかがえます。

 納車式は、メーカー系の正規ディーラー以外にもガリバーやコバックなどの中古車販売店でもおこなっている場合があるようです。

 中古車販売店では、手書きのメッセージカードやウェルカムボードの用意がされていたり、店舗によってはレッドカーペットやバルーンで納車するクルマを装飾しているといいます。

 また、輸入ブランドを販売する店舗の場合では、とくに豪華なセレモニーをおこなっているようです。

 フォルクスワーゲン販売店のスタッフは次のように話します。

「一般的な販売店がおこなっている納車式の演出に加えて、新車の納車専用に作られた個室の納車室があり、花束の贈呈、フォルクスワーゲンオリジナルグッズのプレゼント、納車のお客様専用の茶菓子の用意などをしています」

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 また、メーカーロゴの入った大きなレプリカキーの用意もあるようで、レクサスやアウディではオーナーへのメッセージカードとシャンパンの進呈をしたという納車式もあるようです。

 高額なクルマを販売しているだけに、クルマを買ってくれたユーザーへの待遇にも力が入っているような印象を受けます。

 納車式自体は減りつつあるものの、家の次に高い買い物といわれるクルマを購入する際には、記念として納車式をやってみるのもいいかもしれません。