高級ミニバン市場ではトヨタ「アルファード」に人気が集まっていますが、そんななか、ホンダ「オデッセイ」と日産「エルグランド」がほぼ同時期にマイナーチェンジしました。マイナーチェンジ後の両車の販売に変化はあったのでしょうか。

独走態勢のトヨタの「アルファード」を追う2台

 日本国内の高級ミニバン市場ではトヨタ「アルファード」が1番人気となっており、2位以下との差を大きく引き離しています。
 
 日本自動車販売協会連合会が発表した2020年の年間販売台数ランキングでは、アルファードが9万748台を記録しており、全体の5位にランクインしています。

 アルファードのライバルである他社の高級ミニバンでは、ホンダ「オデッセイ」が9717台でランキング47位、日産「エルグランド」に至っては順位が公表される50位以内に入ることができず、ランク外という結果でした。

 販売面では苦戦を強いられているオデッセイとエルグランドですが、それぞれ2020年10月、11月にマイナーチェンジをおこないました。

 マイナーチェンジをおこなったことで、どのような変化があったのでしょうか。

 オデッセイは、2020年11月6日にマイナーチェンジが施されたモデルが発売されました。

 今回のマイナーチェンジでは、大胆なフェイスリフトを含めたエクステリアデザインの変更が注目されています。

 最近のミニバンのフロントデザインは、グリルの大型化やメッキ加飾などにより存在感を強調する、いわゆる「オラオラ系」のデザインが主流ですが、オデッセイのフロントでは、オラオラ顔の進化はおとなしめです。

 昨今のホンダのデザインテイストを取り入れた、シンプルさのなかにも個性のあるデザインへと進化しています。

 また、これまでは標準仕様と迫力のあるスタイリングの「アブソルート」が用意されていましたが、アブソルートのみに一元化されました。

 インテリアは質感が向上するとともに、メーターパネル内に設置された液晶パネルを3.5インチから7インチへと拡大し、これまでの1眼式メーターから一般的な2眼式メーターへと変更になっています。

 装備面では、ドアノブに触れずにLEDの光に手をかざすことで、パワースライドドアの開閉ができる「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」を日本国内で初めて採用したほか、パワースライドドアが閉まり切る前に施錠が可能となる「予約ロック」をホンダとして初めて採用しています。

 ジェスチャーコントロール・パワースライドドアは他車にはない装備なので、注目を集めそうです。

 安全装備では、後方に障害物がある際にアクセルペダルを踏みこんだ場合、パワーシステムを抑制して急発進を防止する「後方誤発進抑制機能」が新たに追加されました。

 一方のエルグランドは、2020年10月12日にマイナーチェンジして発売されました。

 エルグランドもエクステリアデザインの変更、さらには全方位運転支援システム「360° セーフティアシスト」の全車標準装備化。

 エクステリアの変更点で目を引くのは、「繊細な作り込みで力強さに磨きをかけた」と日産が説明する新デザインのフロントグリルです。

 漆黒メッキの「ブラッククローム」と高級感のある「サテンクローム」の2パターンが展開されています。

 また、オデッセイと同様に、エルグランドも標準仕様がなくなり、スポーティなスタイルの「ハイウェイスター」に統一されました。

 ただ、オデッセイのように印象を大きく変える変更ではないので、進化を期待していたユーザーにはややインパクトが弱く感じるかもしれません。

 安全装備では「セレナ」や「ノート」にも採用される360° セーフティアシストが全車に標準装備されました。

 360° セーフティアシストは、「ハイビームアシスト」「インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)/ LDW(車線逸脱警報)」「踏み間違い衝突防止アシスト」「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」「RCTA(後退時車両検知警報)」などからなる運転支援システムです。

 今回のマイナーチェンジでは新たに、前方2台前の車両を検知し、回避操作が必要となった場合に警報でドライバーに注意を促す「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」と、隣り合う車線の後側方を走行する接近車両と接触の危険がある場合に、回避のためのステアリング操作を支援する「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)/ BSW(後側方車両検知警報)」や、これまで進入禁止のみだった標識検知機能に、最高車速標識と一時停止標識の検知機能が追加されています。

 最近の日産を代表する運転支援技術「プロパイロット」は残念ながら、搭載されていません。

 エルグランドのマイナーチェンジでは、特別仕様車「アーバンクロム」シリーズが設定されたほか、新たにオーテックジャパンが手掛けるスポーティモデル「AUTECH」が設定されたのも注目ポイントです。

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 このマイナーチェンジによってネット上に寄せられたユーザーの反応を見ると、オデッセイに関しては「おとなしめのデザインでいいかも」「うまくまとまってる」「フルモデルチェンジかと思った」と比較的好評の意見が多いようです。

 一方のエルグランドに関しては、「e-POWERがないのはキツイ」「アルヴェル(アルファード/ヴェルファイア)に寄せてきた」「リアデザインも変えるべき」と、ファンには不満の残るマイナーチェンジだったことをうかがわせる意見が多く見られました。

オデッセイ&エルグランドのマイチェンは成功? 失敗?

 ほぼ同時期にマイナーチェンジしたオデッセイとエルグランドですが、最新の販売状況はどのように変化したのでしょうか。

 オデッセイは、マイナーチェンジした2020年11月の販売台数が1720台と、前年比213.4%を記録。12月も1140台で前年比127.7%とテコ入れの効果が数字に表れているようです。

 今回のマイナーチェンジについてホンダ販売店のスタッフは以下のように話します。

「これまで迫力のあるフロントマスクに抵抗感がありミニバンの購入をためらっていたお客さまからも評価をいただいています。

 より派手さを望む人には物足りないかもしれませんが、おおむね好評をいただいているといった状況です」

 また、アルファードとの競合について別のスタッフは、「アルファードやエルグランドとはあまり競合しません。その点では、落ちついた上質なデザインになったのはお客さまに好まれると思います」と話します。

 一方のエルグランドは、マイナーチェンジをした10月以降も販売台数が発表される乗用車ブランド通称名別順位50位以内を記録できず、販売面では依然として苦しい戦いを続けています。

 これについて日産販売店のスタッフは次のようにいいます。

「やはりハイブリッドがないのは販売面で厳しいです。ですが、走りを求めるお客さまはエルグランドを指名買いされます。

 車高の低さからくる運動性能の高さはミニバントップクラスですので。その点では、スポーティなデザインのAUTECHが設定されたのはオススメの材料になります」

 別のスタッフも「e-POWERを求める声は正直いって大きいです。ただ、クルマ好き、ドライブ好きの人には積極的に選んでいただけると思います」とコメントしています。

 オデッセイや販売好調なアルファードにはハイブリッド車が設定されていますが、エルグランドはガソリン車のみです。

 日産にはエンジンで発電したモーターで駆動するハイブリッドシステムとして「e-POWER」がありますが、エルグランドには搭載されませんでした。

 ユーザーや販売店スタッフの声にもあるように、やはりハイブリッドがないことが販売面に影響しているようです。

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 現行モデルが発売されてオデッセイは7年以上、エルグランドは10年以上が経過しており、モデル末期といえます。

 テコ入れを図った両車ですが、大きくイメージチェンジしたオデッセイはマイナーチェンジの成果が出ています。

 しかしアルファードの現行モデルが6年目を迎えるにもかかわらず販売が好調であることを考えると、単に古さだけが販売面で大きく水をあけられている理由ではなさそうです。

 今回のマイナーチェンジでその差を縮めることができるのか、今度の動向が注目されます。