売れるクルマの理由はさまざまありますが、もっとも重要な要素のひとつは外観のデザインです。見た目の第一印象で、好みか好みでないかに分かれるといっていいでしょう。しかし、決してヒットしなかったクルマでも、振り返るとカッコイイと思えるモデルも存在。そこで、思いのほかスタイリッシュなクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

ヒットしなかったけど意外とカッコよかったクルマを振り返る

 毎年、各メーカーから数多くの新型車が発売され、なかには大ヒットを記録するモデルもあります。そうした人気車種になる要因のひとつが、外観のデザインです。

 クルマに限らずデザインは主観によって判断されるため、万人が好むデザインは限られてしまいますが、やはり見た目の第一印象は重要です。

 一方で、大ヒットしなかったクルマでも、振り返ると意外と見た目の印象が良いクルマも存在。

 そこで、思いのほかスタイリッシュだったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「ジェイド」

 現在、3列シートのSUVは人気がありますが、逆に人気が低迷して淘汰されつつあるのが、リアにヒンジドアを採用したミニバンです。

 ミニバンというファミリー層をターゲットとしたクルマにおいて、使い勝手の点でヒンジドアは不利で、かつては各メーカーからラインナップされていましたが、次第に減少し、もはや風前の灯火という状況になってしまいました。

 そんな消えたモデルのなかの1台が、ホンダ「ジェイド」です。

 2015年2月に発売されたジェイドは、低い全高でクーペフォルムを採用したスポーティなステーションワゴンタイプの外観で、6人乗り3列シート車を設定したことからミニバンにカテゴライズされるモデルでしたが、ホンダはあえてミニバンと表現せず、「新しい時代のニーズに応えるクルマ」としていました。

 また、スタイリッシュなフォルムの副産物として、全グレードが全高1550mm未満となっており、ほとんどの機械式立体駐車場に駐車が可能な3列シート車という稀有なモデルです。

 発売当初、パワーユニットは1.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドのみでしたが、2015年7月には最高出力150馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した、よりスポーティな「RS」グレードを追加しました。

 足まわりはフロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架とし、重心の低いボディと相まって、高い運動性能を誇っていたことも特徴です。

 さらに2018年に2列シートの5人乗り仕様を投入し、スタイリッシュなステーションワゴンという一面も強調。

 しかし、ジェイドの販売は低迷し、2020年7月をもって生産を終了しました。

 現在、ジェイドと同様なモデルとしてトヨタ「プリウスα」がありますが、こちらも2021年3月に生産を終了すると宣言されています。

●スズキ「バレーノ」

 スズキは他メーカーに先駆けて、1980年代初頭からインドの自動車市場に進出を果たし、これまで数多くのモデルを現地生産したことからインドの国民車メーカーという地位を築き上げました。

 そうしたモデルのなかには他国に輸出されるモデルもあり、2016年にはインドで生産されたグローバルカーとして「バレーノ」が日本で発売されました。

 バレーノはベーシックな5ドアハッチバックのコンパクトカーながら、ワイド&ローなスタイルが印象的で、キャビンを小さく見せるデザインによって安定感のあるフォルムを実現。

 搭載されたエンジンは102馬力を発揮する1リッター直列3気筒ターボと、91馬力の1.2リッター直列4気筒の2種類を設定し、トランスミッションはターボが6速AT、自然吸気がCVTと組み合わされています。

 また、バレーノの特徴のひとつに、全幅1745mmの3ナンバー車ながらも自然吸気車が910kg、ターボ車が950kgという軽量な車体となっていたことが挙げられます。

 しかし、発売当初に指摘された内装の質感の問題や、当初1リッターターボ車はハイオク仕様だったこともネックとなり、販売は低迷。

 2018年の改良でターボ車もレギュラー仕様になりましたが、販売台数が好転することなく、2020年6月をもって販売を終了しました。

 なお、バレーノは生産国のインドではプレミアムコンパクトとして大ヒットを記録。2019年1月にはフロントフェイスの意匠変更など、独自にマイナーチェンジされたほどです。

 現在、トヨタにもOEM供給され、往年の名車である「スターレット」の名を冠して、2020年9月中旬から南アフリカでの販売を皮切りに、アフリカ47か国で販売される予定となっています。

●三菱「ギャランフォルティス スポーツバック」

 かつて、三菱を代表するセダンといえば「ギャラン」があり、1969年に初代が発売されて長い歴史を刻んできましたが、人気の低迷から2005年に8代目をもって国内向けの生産を終了。

 ところが、2007年に「ギャランフォルティス」の名で復活を果たし、スポーツセダンの「ランサーエボリューションX」のベースにもなりました。

 発売当初はセダンのみでしたが、2008年に5ドアハッチバックセダンの「ギャランフォルティス スポーツバック」を発売。

 フロントフェイスやキャビンはセダンと同様なデザインですが、後部をなだらかに傾斜したハッチバックとすることで、セダンと異なるワンモーションのスタイリッシュなフォルムを実現しています。

 エンジンは全グレードとも2リッター直列4気筒で、240馬力を誇るターボエンジンと、ツインクラッチSST(DCT)を搭載したスポーティグレードの「ラリーアート」が設定されました。

 足まわりは全車フロントがストラット、リアがマルチリンクの4輪独立懸架を採用したことで、優れた路面追従性を発揮。

 後に燃費の改善などの改良がおこなわれましたが、車種整理が進んだことから2015年に生産を終了。セダン以上に使い勝手の良いギャランフォルティス スポーツバックでしたが、ヒットすることなく、一代限りで消滅してしまいました。

クーペ全盛期を彩った2台のモデルとは!?

●スバル「レオーネRX/II」

 日本初の小型FF乗用車として、そしてスバル初の水平対向エンジンを搭載して1966年に発売されたのが「スバル1000」です。

 その系譜を受け継ぎ、1971年にデビューしたスバル「レオーネ」は、悪路だけでなく舗装路での走りにも4WDが有効であると証明した初の量産国産車であり、スバルが提唱する「シンメトリカルAWD」の原点といえるクルマです。

 ボディはセダンを基本として、2ドアクーペ、ライトバンをラインナップして代を重ね、1984年には4ドアセダンが3代目にモデルチェンジされ、当時の流行を取り入れた直線基調のシャープな外観となり、1985年に、スタイリッシュな3ドアハッチバッククーペの「レオーネクーペ」が追加されました。

 さらに、1986年には135馬力(グロス)を発揮する1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジンと、スバル初のフルタイム4WDシステムを搭載する「レオーネRX/II」が登場。

 前後駆動力配分は50:50で、低重心の水平対向エンジンと強化された専用サスペンションとの組み合わせで、高いコーナーリング性能を実現していました。

 外観ではフロントスポイラーやリアスポイラー、サイドステップなど、ボディ全周にわたってエアロパーツが標準装備されており、アグレッシブな外観を演出しています。

 しかし、レオーネは基本設計の古さが否めず、1989年に後継車の初代「レガシィ」が登場。1992年までレオーネセダンを併売していましたが、クーペやステーションワゴンはレガシィのデビューと同時に生産を終了しました。

●トヨタ「カレン」

 現在、国内メーカーのラインナップで、極端に減少してしまったのが2ドアクーペです。大型かつ高級なモデルは一定の需要があるため生き残っていますが、コンパクトなモデルはトヨタ「86」、スバル「BRZ」くらいとなり、フルモデルチェンジを控えているためすでにBRZの生産は終了しています。

 一方で、1980年代から1990年代にかけてコンパクトな2ドアクーペは数多く存在し、トヨタは「カローラレビン/スプリンタートレノ」を代表に、複数のモデルをラインナップ。

 なかでもスタイリッシュなクーペの1台が、1994年に登場した「カレン」です。

 カレンは海外向けに設定された6代目「セリカ」の2ドアクーペをベースに開発されたモデルで、フロントフェイスを専用のデザインに変更。

 薄型のコンビネーションランプとフロントグリルによる低いフロントノーズと、3代目「ソアラ」を彷彿とさせるエレガントなシルエットのボディと相まって、美しいフォルムに仕立てられています。

 発売当初、搭載されたエンジンは2リッターのみで、トップグレードには最高出力180馬力を発揮する直列4気筒自然吸気の「3S-GE型」を設定。セリカと異なりターボエンジンの搭載は見送られ、やみくもにパワーを追求するキャラクターではなく、走りもエレガントさを重視していました。

 足まわりには4輪操舵や高性能な「スーパー・ストラット・サスペンション」が設定されるなど、優れたハンドリングも実現。

 随所にこだわりをもってつくられたカレンですが、クーペ人気の低迷を受け、フルモデルチェンジされることなく1999年に一代限りで生産を終了。現在は中古車でも滅多にお目にかかれない、非常にレアなクルマです。

※ ※ ※

 クルマの販売台数を左右する要因として、いかにユーザーニーズを捉えるかということも非常に重要です。

 実際に出る時期が早すぎたと思えるクルマもあり、もう少し後に出たならもっと売れていたかもしれませんが、こればかりは結果論のため検証はできません。

 各自動車メーカーは入念なリサーチによって、5年後、10年後を見据えた新型車の企画・開発をおこなっていますが、ニーズの変化を完全に予想することは難しいということでしょう。