新型コロナウイルスの感染に対する恐れから、毎日の暮らしを支える買い物に出かけていくことが負担となっている人たちがいます。地域に出向き、新鮮な野菜や果物を地域に届けようと奮闘している農家を取材しました。

1台の車の周りに並ぶパプリカやシシトウ、えんどう豆。地域に向かい、県産の青果を人々の下へ届けて販売する八百屋さん、「出張八百屋」と名づけられています。

運営しているのは、南国市のオクラ農家・堤健治さん。かつては、仲間の農家とともに日曜市に出店していましたが、新型コロナウイルスの影響で開催が中止に追い込まれたことを受け、3月上旬からインターネットで販売を開始。これまでに全国から200件以上の注文があり、農家と、買い求める人たち、それぞれから喜びの声が上がっているといいます。

そうした中、先月下旬から始めた新たな取り組みが、「出張八百屋」。きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大で買い物に行きづらいという人たちからSNSで届いた、移動販売を願う声でした。

出張八百屋に野菜を出品している農家の一人、鍵山浩一さん。およそ4ヘクタールのハウスでニラを栽培し、県内向けに出荷しています。外出自粛で家庭で料理をする機会が増えたことなどから、ニラの市場価格は3月中旬から例年のおよそ1.5倍に上がっていますが、鍵山さんは「出張八百屋」という新しい取り組みを応援したいと通常よりも安い価格で提供しています。

堤さんは、高知市や香美市など1日に3〜4か所をまわって販売しています。週に1度訪れる、香美市のデイサービス施設では、60代から90代まで15人が買い物を楽しみました。こちらの人たちは…

ほとんどが感染予防のため病院とデイサービス以外の外出を控えています。中には一人暮らしの人もいて、日々の買い物が負担になっているとのこと。到着を待ちわびていた人たちは、すぐ出張八百屋のもとに、集まってきました。

この日販売されたのは、鍵山さんのニラをはじめ、南国市や高知市、芸西村などから集まった20種類以上の野菜や果物です。集まった人たちは、椅子に座ってゆっくりと品物を眺めながら、買い物を楽しみました。出かける負担なしに野菜を購入できるだけではなく、ほっと一息つける時間にもなっています。

買い物を楽しむ人たちから一定の評価を得た「出張八百屋」。こうしたなか、まだ届けられていない地域からリクエストが続々と寄せられているといいます。店舗やインターネット販売に加えての新しい取り組みだけに、出向くことのできる地域が限られていますが、そうした中、いかに要望に応えていくか。堤さんは、次の展開を考えています。