発達障害生徒の支援、期待と課題 通級指導、高校にも導入

発達障害生徒の支援、期待と課題 通級指導、高校にも導入

 発達障害などの子どもが普通科などで学びながら特性に応じて個別の授業を受ける「通級指導」が、来年度から高校に導入される。生活や学習上で抱える困難の改善または克服を後押しし、自立につながるとの期待がある。一方で、新たな制度であるためノウハウや専門性を持った教員の育成、通級指導が必要な生徒をどのように決めるかなどの課題が残っている。

 「総務企画部の先生お願いします」。場面に合わせた振る舞いを学ぶ男子生徒が、職員室での教員の呼び方を練習する。「もう少し声を大きくできたら、良いなと思います」と教員がアドバイスすると、男子生徒はうなずいた。

 昼間定時制の府立清明高(京都市北区)では、文部科学省の研究指定を受けて本年度から試行的に通級指導を始めた。男子生徒は状況に応じたコミュニケーションが苦手だったが、「場面によって言葉の使い分けができるようになった」と成果を実感している。

 重点を置くのは、コミュニケーションや人間関係の形成、自分が置かれている環境の把握などの自立活動だ。生徒の特性に沿って個別に学習計画を作る。同高では外部の専門家によるサポート体制もある。

 瀧本徹副校長は「高校は社会に出る一歩手前。就職や大学進学ができても、対応できずに途中で辞めてしまうケースがあり、社会で実践できる力を身に付ける指導がしたい」と話す。

 小中学校の通級指導はすでに実施されている。文科省の統計では公立小中学校の対象者は増加傾向で、2016年度には過去最多の9万8千人に上った。ニーズの高まりを受けて高校での制度化が決まった。新たな高校での通級指導は、卒業に必要な単位として認定することができる。

 文科省は専門知識を持った教職員の配置を行う方針で、各教育委員会には蓄積のある特別支援学校との連携も求めている。

 府教委高校教育課によると、府立高で来年度から実施が確定しているのは清明高のみという。同課は「学校の体制や人材の面で課題があり、すべての学校ですぐに実施は難しい。同高での事例を生かして、段階的に進めたい」とする。

 京都市立高では、文科省の研究指定を受ける伏見工業高定時制(伏見区)が通級指導に備えて夏休みに手厚い支援が必要な生徒3人を対象にマンツーマン形式の講座などをした。他の市立高については今後、通級指導に関わる小中学校や総合支援学校の教職員らによるチームを立ち上げ、各校を巡回する形で生徒の支援や学校へのアドバイスを行う予定だ。

 一方、通級指導では指導を受ける生徒本人や保護者の意思確認も必要になる。伏見工業高定時制の田中克典副校長は「高校生は多感な時期で、教員が『通級指導が必要』と判断した生徒でも本人が希望しない場合が想定できる。意思に反して受けさせることはせず、その場合は他の手だてを考えなければいけない」。本年度は講座以外にも、同校独自に始業前の時間を使って少人数で行う自由参加の補講も始めており、生徒を支えるための体制づくりを急いでいる。

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