京都大で開発した化合物が目の病気「網膜中心動脈閉塞(へいそく)症」の症状を改善することを治験で確認したと、京大医学部付属病院などのグループが発表した。今後さらに多くの患者への治験を行い実用化を目指す。米科学誌プロス・ワンに14日掲載された。

 同閉塞症は網膜へ向かう動脈が詰まって発症し視力低下などを引き起こすが、有効な治療法はない。同病院の池田華子准教授らは動物実験から、京大で開発し細胞を保護する性質を持つ化合物「KUS121」が同閉塞症による視力低下を回復させられると判断。治験を計画した。
 治験は2016年11月から約1年、30〜80代の男女9人の患者を対象に実施した。発症から48時間以内の患者に対して1日1回ずつ3日間、眼球に直接「KUS121」を注射し、それぞれ3カ月の経過観察をした。その結果、全員で視力改善が認められた一方、大きな副作用は見られなかった。世界保健機関(WHO)の定義で視力0・05未満の失明状態を9人のうち7人で脱した。
 池田准教授は「KUS121を使った初めての治験で効果が確認できた。緑内障などほかの病気への適用も目指していきたい」と話している。