新型コロナウイルスの感染拡大を受け、京都府内の産科がある病院で、入院する妊産婦との面会を制限するケースが相次いでいる。友人の見舞いだけでなく、家族による出産の立ち会いや新生児との対面ができない病院も出始めた。一方で「出産は家族にとって大切な瞬間」として、感染対策を徹底して立ち会いを継続する病院もある。新型コロナウイルスは出産を巡る家族の思い出にも影響を及ぼしている。

 「こんな状況で仕方がないけど、生まれてすぐに赤ちゃんを一緒に見てもらえないのは寂しかった」。京都府舞鶴市浜の舞鶴共済病院で今月、男児を出産した30代の女性は、1人で臨んだ出産を振り返った。第1子の出産時は夫や両親が付き添ったが、今回は病院の面会制限で家族は立ち会えなかった。
 女性は「助産師さんがいてくれたので不安は少なかった」といい、「正直言って、生まれるまでは陣痛がつらくて、家族がいようがいまいが、それどころじゃなかった」とも。「早く家族にかわいい赤ちゃんを抱っこしてほしい」とほっとした様子で話した。
 同病院は、2月末から病棟全体で患者との面会を家族も含めて制限。出産時も家族の立ち会いはできず、新生児の父親は母子が退院するまでわが子を抱けなくなった。同病院は「感染予防のため、できるだけ外部との接触は避けなければならない。立ち会ってもらえないことは入院前に了解をいただいている」とする。出産後は窓ガラス越しに新生児を見られるよう配慮しているという。
 一方、家族の立ち会いを続ける病院も多い。京都市中京区の足立病院では、友人らの面会は制限したが、せきや熱がない限り、夫や両親、子どもの立ち会いはこれまで通り可能という。ただ、待合室の窓を開けて換気をしたり、小児科の健診や診察の場所を別棟に移したりと感染対策を強化し、同院は「全体のリスクを抑えたい」とする。
 京田辺市東西神屋の井出産婦人科も、父親の立ち会いを認めつつ、近隣で感染が確認された場合に追跡できるよう面会簿に滞在時間などの記録を求めるようにした。井出哲正院長は「感染を防止するには面会を謝絶すべきだが、家族の気持ちも分かる。院内の消毒も徹底し、万一に備えたい」と話した。