能舞台が異例のマスク姿で再開された。新型コロナウイルスの影響で京都市内では2月以来となる能楽の定期公演が28日、京都観世会館(左京区)で開かれた。謡曲を斉唱する地謡は全員、飛沫(ひまつ)を防ぐため、そろいのマスクを着けて謡うなど、主催の京都観世会が「観客に安心して楽しんでもらうため」独自の工夫や対策を取った。

 マスクは口に着けても謡いやすいよう3月以降、試作を重ねたという布製の特注品。地謡の8人は通常より間隔を空けて座り、笛方も少し後ろに下がった。同会の片山九郎右衛門会長(55)は「見栄えなどでご批判はあるかもしれないが、できる限り策を取り、模索を続けたい」と語る。
 この日は京都観世会六月例会として、京ゆかりの「賀茂」「班女(はんじょ)」など能の3演目を上演。公演時間短縮のため狂言や仕舞は省略した。観客数は通常の半分以下の200人に抑え、間隔を空けて座ってもらう形にした。久々の公演に開演前はいつもと異なる雰囲気もあったが、舞台が始まると普段通りの笛や鼓、謡が響き、観客は能の世界に浸っていた。